著者 岡島 成行


ジャック・モイヤーさんを悼んで

 ジャック・モイヤーさんが正月9日に亡くなった。

 日本の子どもたちのために50年以上も三宅島で「海の自然学校」を運営してきてくれた。海洋生物学者としても一流で、幾つもの新発見をしている。しかし、三宅島の噴火により、すべての歯車がかみ合わなくなる。フィリピンにいる奥さんが経営する自然学校の借金や日本での活動費用がままならず、金銭的にもかなり苦労していた。自然が好きで、インタープリターとしては一流だったが、経営的なことには疎かった。その弱点が、噴火という事件で表面にでてきてしまった。

 遺書があり、死因は自殺という。昨年暮れから金策に走っていた。74歳という年齢にも弱気になっていたのではないか。その日には友人や支援者とも善後策を話し合っていた。アパートの一室で一人考え込んでいるうちに絶望感に叩きのめされたのだろう。

 噴火がなかったらなあ、と悔やみ切れない。そしてまた、日本をあれだけ愛し、子供たちを育ててくれた人をなぜ助けることができなかったのか。日本人の自然体験活動に携わる一人として、慙愧に耐えない。

 このHPで書いた「モイヤー基金」をどうするか、思案中です。とりあえずは一時停止して、お金ではない形でモイヤーさんの遺志を継ぐ方法を考えたいと思います。



■バックナンバー
自然体験の夜明け
自然体験活動のすすめ
自然体験に追い風が吹いてきた
幼児と自然体験
若者たち
私の原風景
シャワークライミング
思い出の黄金色のトンネル
ジャック・モイヤーさんのこと
ジャック・モイヤーさんを悼んで
環境教育推進法が動き出す
NGOから見た環境教育推進法
冬山
都市と農山漁村の交流を考える

■著者紹介

岡島 成行(おかじま しげゆき)
環境ジャーナリスト、大妻女子大学ライフデザイン学科教授教授、(社)日本環境教育フォーラム専務理事、自然体験活動推進協議会代表理事 など。
1944年1月 横浜市生れ。上智大学山岳部OB
読売新聞解説部次長をへて現職。 
主な役職:国土交通省・社会資本整備審議会委員林野庁・林政審議会委員・環境省・中央環境保全審議会臨時委員。環境省・政策評価委員会検討員。文部科学省・中央教育審議会臨時委員など。
著書:「アメリカの環境保護運動」(岩波新書、90年)、「レモンジュースの雨」(共著、築地書館、90年)、「Only One Earth」(桐原書店、91年)、「Green Issues」(桐原書店、93)「はじめてのシエラの夏」(翻訳・ジョン・ミューア著、宝島社、93年)
「地球救出作戦」(翻訳・チルドレン・オブ・ザ・ワールド著、小学館、94年)
「林野庁解体論」(洋泉社、97年)「Echoes of the Environment」(鶴見書房、99年)
「自然学校をつくろう」(山と溪谷社、2001年)など多数。