皆さま新年おめでとうございます。今年も元気にがんばりましょう。
ところで、今年は日本の自然体験活動が一段と進展する予感がします。2002年に学校の週休2日制がスタートし、徐々に社会に浸透してきました。一般の人々もようやく働きバチの世界からゆとりある生活に転換しつつあります。

自然に入っていく人が増える
 ゆっくりと来し方行く末を考える機会が与えられて、自分の人生について落ち着いた歩き方をするのが妥当だということに気がついたのでしょう。
 そうすると、自然の中に入っていく人が増えるはずです。スケッチをしたり、写真を撮ったりするのもいいでしょう。ガーデニングも田舎暮らしもいいでしょう。お金を使って楽しむことより自然の中で、ゆっくりするような時間の使い方が上品に感じられるようになります。世の中の流れはそういった方向に向かっているのは間違いないようです。

自然学校特区で地域の活性化を図る
 千葉県では「自然学校特区」を検討しています。いくつかの市町村をまとめて、その地域のセンター的な自然学校を一つ設置し、各町村には小規模な自然学校を配置します。
 海に面した町では漁港の利用転換を緩和してもらい、山の村では都市住民が農業に就業できるようにする。自然学校に一般の学校のような機能を持たせ、都市部の学校と行き来ができるようにするといった規制緩和を求め、地域の活性化を図ろうという計画です。

自然学校で新しい公共事業
 また、自然学校を利用して新たな公共事業を作り出そうという動きもあります。自然学校は、子供の教育的な側面だけでなく、大人やお年寄りの心身の健康作りや環境教育としての価値、国土保全、過疎地域の活性化などさまざまな効果が考えられるので、それらを組み合わせて新しい公共事業を組み上げようという考えです。
 欧米型とはやや違う形の展開になりそうですが、大地にしっかりと根を張った日本型自然学校システムへの期待が広がります。2003年はその序章となると思います。楽しくなりそうですね。



■バックナンバー
自然体験の夜明け
自然体験活動のすすめ
自然体験に追い風が吹いてきた
幼児と自然体験
若者たち
私の原風景
シャワークライミング
思い出の黄金色のトンネル
ジャック・モイヤーさんのこと
ジャック・モイヤーさんを悼んで
環境教育推進法が動き出す
NGOから見た環境教育推進法
冬山
都市と農山漁村の交流を考える

■著者紹介

岡島 成行(おかじま しげゆき)
環境ジャーナリスト、大妻女子大学教授、(社)日本環境教育フォーラム専務理事、自然体験活動推進協議会代表理事 など。
1944年1月 横浜市生れ。上智大学山岳部OB
読売新聞解説部次長をへて現職。 
主な役職:国土交通省・社会資本整備審議会委員林野庁・林政審議会委員・環境省・中央環境保全審議会臨時委員。環境省・政策評価委員会検討員。文部科学省・中央教育審議会臨時委員など。
著書:「アメリカの環境保護運動」(岩波新書、90年)、「レモンジュースの雨」(共著、築地書館、90年)、「Only One Earth」(桐原書店、91年)、「Green Issues」(桐原書店、93)「はじめてのシエラの夏」(翻訳・ジョン・ミューア著、宝島社、93年)
「地球救出作戦」(翻訳・チルドレン・オブ・ザ・ワールド著、小学館、94年)
「林野庁解体論」(洋泉社、97年)「Echoes of the Environment」(鶴見書房、99年)
「自然学校をつくろう」(山と溪谷社、2001年)など多数。