![]() ![]() ![]() - 第2回 - 著者 星野 敏男
私が普段相手にしているゼミの大学生に、キャベツとレタスの見分けがつかない学生がいました。イワシやアジ、サバなどの見分けがつかない学生もいます。キャベツやレタス、イワシやアジをいわゆる「野菜」とか「魚」という概念(がいねん)としては知っているのです。ところが、いざ実物を前にした時、それがどちらか見分けがつかないのです。 ![]() これは、何も野菜や魚に限ったことだけではありません。「仲間」「友情」「努力」「おもいやり」といった、生きていくためにとても重要な多くのことがらについても、「ことば」や「知識」としては知っているのですが、体験や身体を通した実感としては、「何もわかっていない」というこどもたちが確実に増えています。 現代に育つ青少年は、ものごとを学んでいくのに、体験を通さずに、まず最初に、言葉や文字で覚えていくことが多くなります。もちろん、たくさん知っていることは、それだけ生活も豊かになりますので、好ましいことではあります。しかし、その分、「知っているけど、わからない」ということも多くなりがちです。立松和平さんもコラムの中で言っているように、遊んで初めて身につくこともたくさんあるのです。 いわゆる学力としての勉強ももちろん大切ですが、世の中には、教室や教科書では絶対に教えることができないこと、実際の体験を通さないと学べないこともたくさんあるのです。要は、いかにバランス良く学んでいくかです。週末や夏休みは、このバランスを取り戻す絶好の機会です。 この夏は、思いっきり自然の中で遊んでみませんか。 ■バックナンバー ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ■著者紹介 星野 敏男(ほしの としお) 1951年栃木県生まれ。 明治大学 教授 東京教育大学卒業。筑波大学大学院で野外活動を研究。 野外教育全国会議実行委員長、日本野外教育学会理事、日本キャンプ協会理事などを務める。自然体験・野外教育の研究分野では日本の第一人者のひとりとして著名。 著書、論文多数。 ■関連情報 ![]() |