第8回 「離島観光に思う:奥尻島編 ③」 著者 木村 宏


 近年、観光客や島民の減少の影響から、フェリーや旅客機が減便され、訪れる人も減少傾向にある奥尻島。それでも島の魅力に取りつかれた若い移住者がゲストハウスを開き、アウトドアアクティビティーの提供や、移住希望者の受け入れなどをしながら生計を立て始めている。
 島の若者もキャンプサイトの運営に興味を持ち始めた。島のとっておきの食材を供する料理屋の跡取りが育ってきた、などわずかながらではあるが活気戻りつつある奥尻島。本号はあえてアウトドアの聖地としての奥尻島を紹介した。

 島といえば景勝地を見て回る、海産物をほおばって日帰りする、何かの目的を果たすために島に渡るなど海外のリゾートを除けば観光客の島の滞在時間は少ない。奥尻島には通り一遍の観光の島の側面も持ちながら、北の離島ならではの自然資源を満喫し、少し滞在時間を延ばして楽しみたいという気持ちにさせる、そんな素材が転がっている。ぜひ一度帰りのチケットを取らずにこの島に渡ってもらいたい。帰りたくなくなる人がきっといるはず。

 そして、今のうちなら奥尻でしか味わえない食の楽しみや、アクティビティーが十分味わえるのではないだろうか。またいつ離島ブームがやってきて、小さなキャパシティーの島に人が、わんさか押し寄せないとも限らない。
 まさに今が旬。アウトドアアクティビティーと島文化。楽しんでほしい。



■バックナンバー
北海道のアウトドア雑感 1
北海道のアウトドア雑感 2
北海道のアウトドア雑感 3
北海道のアウトドア雑感 4
北海道のアウトドア雑感 5
北海道のアウトドア雑感 6
北海道のアウトドア雑感 7
北海道のアウトドア雑感 8

■著者紹介

木村 宏(きむら ひろし)
東京都生まれ
北海道大学 観光学高等研究センター 教授
信越トレイルクラブ 代表理事、日本ロングトレイル協会 常務理事、日本トレッキング協会 理事
大学卒業後ホテル・リゾート開発会社の勤務を経て、長野県に移住し宿泊施設の経営の後、飯山市の観光推進組織において滞在型の自然体験施設、温浴施設、道の駅、新幹線飯山駅内の観光施設やアクティビティーセンターの立ち上げに関わるなど施設運営や観光まちづくりに取り組む。信越トレイルやみちのく潮風トレイルの立ち上げにも関わり、ロングトレイル、トレッキングの普及活動にも従事する。2016年から現職。