![]() ![]() ![]() 第7回 「離島観光に思う:奥尻島編 ②」 著者 木村 宏
さらに、ここからが本題であるが、奥尻には自然を体感できるアクティビティーがいっぱいだ。まずは当然四方海に囲まれたロケーションなので、マリン系のアクティビティーは充実している。シーカヤックやサップ、シュノーケリングに磯遊び、海水浴も楽しめる。海の透明度も抜群だ。磯釣りは4つの海岸や港、定番スポットなど15を超えるポイントが点在している。さらにキャンプ場は3つ。トイレやシャワーが完備された港に面した便利なロケーションのものから、海に突き出た岬に設営されたワイルドな環境のもの、海水浴場に近接したものとバリエーションが楽しめる。 どこも町営にして料金は控えめ。さらにびっくりするのは、ブナの森が広がる森の存在だ。奥尻島の約8割は森林で、そのうち6割が国有林。その国有林はほとんどブナの木である。ブナの木の離島最北限でもあり、他の地域のブナとも遺伝的には特異なブナとして貴重なものだといわれている。 ![]() また、島内3箇所にはフットパスコースが整備され、ブナの森や、港町、草原や田んぼの脇を歩くコースなど歩く目線で楽しめ、おのずと島を知ることができるコース設定がされている。 極めつけは「神威脇温泉」(かむいわきおんせん)。かつてフェリーが着き、奥尻島の主要な漁港でもある神威脇漁港の淵に建つ日帰り温泉施設で、40年以上たった施設はさすがに老朽化してはいるが、泉質は申し分ない。鉄分を含んだナトリウム泉で、潮の香りがほのかに漂う。体が温まること請け合いだ。アウトドアアクティビティー後の汗を流し、秋や冬の寒さを吹っ飛ばすのに最適。まさに極楽な気分にさせてくれる名湯である。 奥尻島の魅力はこれだけにとどまらない。島の最高峰 球島山(きゅうじまやま 標高369m)に登れば、島を俯瞰して360度のパノラマが広がり(島山百選にも選定:日本離島センターの選定)、森と牧草地で覆われた奥尻を眺めることが出来る。 また、島の周りには奇岩、景勝岩の風景や晴れた日には朝日も夕日も島のどこかでその昇り沈みが見えるなど、奥尻島の魅力は盛沢山なのである。 ■バックナンバー ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ■著者紹介 木村 宏(きむら ひろし) 東京都生まれ 北海道大学 観光学高等研究センター 教授 信越トレイルクラブ 代表理事、日本ロングトレイル協会 常務理事、日本トレッキング協会 理事 大学卒業後ホテル・リゾート開発会社の勤務を経て、長野県に移住し宿泊施設の経営の後、飯山市の観光推進組織において滞在型の自然体験施設、温浴施設、道の駅、新幹線飯山駅内の観光施設やアクティビティーセンターの立ち上げに関わるなど施設運営や観光まちづくりに取り組む。信越トレイルやみちのく潮風トレイルの立ち上げにも関わり、ロングトレイル、トレッキングの普及活動にも従事する。2016年から現職。 |