- 第7回 -著者 小日向 孝夫


「鍋ラーメンや、チゲラーメン、カモ鍋ラーメンがほしい!」

 気象庁の長期予報では、今年の冬は例年より暖かいといっていたのが、どうも今年は寒いということになって、何度も修正になりましたが、皆さんはどう思いますか?
普通の年より寒いと思いませんか?

 こういう年は、暖かくなるのが早いような気がします。2月下旬から3月に入れば、きっと暖かい日が続いて、桜は昨年のように早いのではないかと思います。
 アウトドア業界の人達はみんなそんなふうに言っています。

今年は低山でも雪が多い
 さて、今回は冬の低山ハイクについて、お話しましょう。
 2,000m~3,000m級の本格的な山は別として、冬型の気圧配置では、関東や関西の太平洋側の低山は、あまり雪は降りません。ところが今年は少し様子が違い、1月に中央沿線にある大月の猿焼山、富士山麓西湖の足和田山、高尾山から陣場山、西武沿線の物見山から日和田山と行ってきましたが、南側はチラホラ日陰に雪が残る程度だったのが、北側はどこへ行っても雪だらけの道でした。
 当然、ガイドブックやツアーの注意書きには、念のため、低山でも軽アイゼンくらいは必要とは書いてありますが、殆どの人は持っていないのではないでしょうか。
 そこで、そんな雪の上を歩く場合の注意点をいくつか挙げておきましょう。

雪山歩きのポイント
1.まず、雪質を確認する。やわらかい雪に足を置いてみて、靴底のブロックパターンの跡が残る様なら、まず滑りません。したがって、できるだけやわらかい雪の上を歩きましょう。ただし、急な斜面では、靴のトウの部分を使ったキックステップか、サイドのエッジを使わないと滑ります。左右の木や草などを利用して、補助としましょう。

2.雪が降って、何日か経つと雪は硬くなったり、凍ったりします。こんな場合は、即、軽アイゼンを着けることになるわけです。中には、そこを通過する登山者達がつけた登山道のほぼ真ん中に、靴底の泥が、黒く帯状になったところがあります。その場合は、その一番色が濃いところを、ソロソロと歩けばまず滑りません。つまり、道が凍っていても、その部分の距離が短ければ、その辺にある土やドロ、あるいは、砂を撒いて、その土の上を歩けば滑らないのです。

 木の葉や枝、草などでも、滑り止めの効果があります。もし滑っても、急斜面でなければ、ザックのウエストベルトをしっかり締めておけば、大抵はザックの方が早く地面に付くので、あまり痛くありません。

3.いずれにしろ、登り坂では、滑ったところでけがをすることはあまりありませんが、問題は下りです。まず、下山路は北側でなく、南側へ下りるコースを選ぶようにしましょう。登りのコースは、北側からでも良いのですが、下りは必ず南側、つまり、日当たりが良いほうをコースに選ぶことです。そうすれば、たとえ凍っている場所があったとしても、大した距離ではないはずです。

 ということで、冬のハイキングのミニ知識を書きましたが、さて、本題のラーメンの話です。

鍋ラーメンや、チゲラーメン、カモ鍋ラーメンがほしい!
 冬のハイキングでは休む場合も、あまり長時間休むと、身体が冷えて、良くありません。短時間で暖かい食事をするのが、一番良いのです。バーナーを使って、お湯を沸かすのが一番ですが、テルモスにお湯を入れておいても良いでしょう。カップメンなら、3分で出来上がりなので、10分くらいの休み時間で、アツアツのラーメンとスープを楽しめることができます。
 もちろん、味噌汁やカップスープでも良いのですが、私の場合、やはりラーメンとおにぎりが、一番パワーが出て満足感があります。
 低山の良いところは、ハイキングコースの所々にテーブルや展望台、トイレなどの設備が結構多いので、休んだり、昼食を摂る場所に苦労することはありません。
 風が弱くて、日当たりの良い場所を選んで、ゆっくりと昼食を摂るのが良いでしょう。ビールでもあればもっと良いのですが…!!
 現状のカップメンでも、いろいろな種類が楽しめて結構なんですが、できれば冬季限定の直接コンロに掛けられる、鍋ラーメンや、チゲラーメン、カモ鍋ラーメンなどを作ってくれるとうれしいんですが、駄目ですかね? 



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■著者紹介

小日向 孝夫(こひなた たかお)
1949年生まれ
(株)山と溪谷社に入社ののち、「OUTDOOR」編集部、「SKIER」編集長などを経て、現在事業部に在籍。取材などを目的にパタゴニア、ネパールヒマラヤ、ヨーロッパアルプス、ニュージーランドなどを歩く。厳冬期の谷川岳で数々の登攀記録をもつ。趣味は山登り、ヨットなど。海洋記者クラブ幹事。