- 第2回 -著者 小日向 孝夫


岩崎元郎さんも「山ではやっぱりカップメン」派だった!!
 7月6、7日は、ここ数年ほど続いている日本百名山西吾妻山(2,035m)に登るイベント「岩崎元郎と登る西吾妻トレッキング講座」の為、山形県米沢市の天元台に行ってきた。
 6日は麓の白布温泉の温泉センターで地元の方や参加者を含めたトレッキング講座で、岩崎さんから「安心登山の十カ条」の話があり、地元登山家から吾妻連峰の素晴らしさや冬のスキーの話、最後は名デモンストレーター佐藤正人氏の樹氷の話で締めくくられた。夜は、心配されていた雨もなんのその。星空の下、大きなキャンプファイヤーと米沢ワインで盛り上がった。岩崎さんも司会の私からマイクを受け取ったとたん、連続5曲も山の歌を歌いっぱなしで大ゴキゲン。古い枕木を重ねたキャンプファイヤーが燃え尽きるまで、歌声が天元台高原いっぱいに響きわたっていた。
 翌7日は梅雨前線が北に押し上げられ、朝から快晴。例によって岩崎さんの「ゆっくり歩き」の指導を受けた後、標高1,800mまでリフトで登り、グループに分かれてトレッキング。
 凹窪から、いろは沼とお花畑の中をボン天岩へ。みんなで記念写真を撮った後、西吾妻山へ。頂上から吾妻小屋経由でボン天岩へ戻って、いよいよ昼食タイムとなった。
 西吾妻の山頂は森林帯の中で、ほとんど展望がないので、このボン天岩が一番展望が良い。足下には、いろは沼の向こうに一切経山、東吾妻連峰、安達太良山、磐梯山塊、左には飯豊連峰を望むことができる。そんな絶景を前に、さっそくいつものようにお湯を沸かして、ラーメンの用意。私は登山で汗をかくことが多いので塩味のラーメンをよく食べる。なぜかというと、塩分が不足すると足が痙攣を起こすことが多く、足がツッて歩けなくなることがあるからだ。さて、なぜ足がツルのだろうか。これは、汗をかいて塩分が不足すると、乳酸がたまり、アルカリバランスが狂うことで起きる。ベテラン登山者は梅干しを食べているとツラないとよく言うが、これはアルカリバランスの調節ということに役立っているのです。
 つまり塩分をしっかり摂っているとツリにくいということで、私は塩味のシーフードヌードルを食べているわけだ。
 さて出来あがって、食べようとすると、岩崎さんが「いいなー、僕ももらっていい?」と言う。「僕もやっぱり、頂上でラーメンというのが一番好きなんだよ」とのこと。いいですよ、とさしあげ、私はもうひとつのカップウドンをつくった。岩崎さんは、まわりの参加者の人達に「センセー、おいしそうね」と声を掛けられ「やっぱり昼食はラーメンだよ」と答えている。というわけで、絶景とおいしい弁当とラーメンの豪華な昼食後、みんなでゆっくり下り、一人の落後者なくトレッキング大会を終わった。せっかく今年も米沢に来たのだからと、二人ともおみやげに米沢牛とサクランボを買うことは忘れなかった。



■バックナンバー
カップ麺は山で食べるのが一番美味い(1)
カップ麺は山で食べるのが一番美味い(2)
カップ麺は山で食べるのが一番美味い(3)
カップ麺は山で食べるのが一番美味い(4)
カップ麺は山で食べるのが一番美味い(5)
カップ麺は山で食べるのが一番美味い(6)

■著者紹介

小日向 孝夫(こひなた たかお)
1949年生まれ
(株)山と溪谷社に入社ののち、「OUTDOOR」編集部、「SKIER」編集長などを経て、現在事業部に在籍。取材などを目的にパタゴニア、ネパールヒマラヤ、ヨーロッパアルプス、ニュージーランドなどを歩く。厳冬期の谷川岳で数々の登攀記録をもつ。趣味は山登り、ヨットなど。海洋記者クラブ幹事。