- 第6回 -  著者 椹木 喜雄


『中型カメラあれこれ(意外に簡単な)“趣味のカメラ”』

中型カメラ解説をしていきます。中型カメラといっても最近は一部のカメラ愛好家が使っているような風潮ですが、ブローニーカメラといって歴史が古く、古くは、二眼レフカメラがありました。(現代にもあります。)さらにビューカメラ(蛇腹のカメラ)もあります。アウトドアで使うには、どういった部分で有効なのでしょうか。フィルムカメラは、意外に小型なものもあります。フィルム面積が大きいことから、35ミリカメラよりも高画質な画像が得られ、広大な風景を写すのには適しています。趣味性の高いジャンルのカメラになりますが、しっかり撮影出来たときの達成感は、格別なものがあります。やや撮影は難しいのですが、カメラの基本を抑えながらの撮影をすればトーンの豊富な写真が出来上がります。ピントが35ミリカメラよりも薄いので、ポートレートなどレンズのボケを生かした撮影でも活躍します。35ミリカメラよりもレンズによる制限はあります。フィルムを巻きながら撮影出来ますので、多少の連射も出来ます。あまりよく知られていませんが、デジタルカメラもこの中型カメラにも存在します。

<デジタルカメラ>
1.基本的は、一眼レフのフィルムカメラを使います。(ビューカメラにもつけることが出来ます。)フィルムホルダーが交換できるタイプのカメラで、フィルムホルダーの部分をデジタルパックに交換します。デジタル部分を別に購入しますので、中型サイズのデジタルカメラそのものは現在ありません。
2.デジタルパックに対応しているカメラをお持ちの方は、今までのカメラやレンズの資産が生かせます。ですが、フィルムサイズよりもデジタルの受光素子が、小さなものが多く、フィルムカメラと同じようには使えません。
3.スタジオ撮影を目的にしているものが多く、直接パソコンにつないで撮影するといったことをすると、使い勝手がいいものが多いので、野外撮影をするには、大量のバッテリーや記録メディアなど必要となり、アウトドアにはあまり向きません。
4.非常に細密な表現が出来ますので、うまく利用すれば、すばらしい写真が撮れます。
5.専門的にはマルチショットといって、一回シャッターを押しただけでは、写らないものもあります。(当然、動くものは撮影出来ません。)画質に関しては、別格になります。
6.現在非常に高価です、単品で150万円から400万円台位します。
7.値段が下がり、使いやすさが向上すれば、風景写真で大活躍する可能性があります。それほどに高画質なのです。日進月歩のデジタルカメラですから近い将来期待がもてます。筆者も期待している一人です。
8.撮影したその場で、画像の確認が出来ます。
9.画素数が大きいので大伸ばしのプリントや印刷に適しています。1600万画素~4000万画素くらいです。


<フィルムカメラ>
1.長年作られてきた完成度があります。あまりモデルチェンジしませんので、気長に使えます。一眼レフタイプからレジファインダー、二眼レフなど、種類が豊富で、フィルムサイズも6×4.5から6×17のパノラマサイズまであり、カメラによってさまざまなサイズのものがあります。35ミリカメラのように36×24ミリのような比率ではなく、正方形の画像や、パノラマサイズなど自分に合った比率のカメラを選べます。
2.高性能のフィルムが生かせる能力を持っています。厳密な撮影をこなすことによってすばらしい映像が作れます。(好みのフィルムが選べます。)
3.デジタルカメラのように、撮ったその場で、写真の出来具合を確認できません。
4.一眼レフタイプは、モータードライブやファンダーなど拡張できるものがあり、用途によってスタイルを変えることが出来ます。(拡張しすぎると重くなります。)
5.基本的にオートフォーカスカメラは少ないですが、(6×4.5のみオートフォーカスカメラが存在します。)ファインダーが大きいのでピントが合わせやすく、年配の方でも使いやすいと思われます。(右左逆に見えるものがあります。)
6.フィルムサイズが大きいため高画質で、出来上がったフィルムも鑑賞しやすい大きさです、わざわざルーペでのぞく必要がないくらいに見やすいのです。
7.基本的に小型で安価なレンズはありません。レンズも大きく重いのですが、欲張らなければ、35ミリカメラのシステムよりも以外と軽量に組めます。35ミリカメラが高性能に寄りかかったものが多いためです。これは、野外撮影には有効です。
8.近年、35ミリデジタルカメラが、普及してきたこともあり、フィルム撮影は、中型カメラにする人が増えています。
9.一眼レフタイプは、ミラーショックが大きいので、しっかりとホールディングしたり、三脚を使わないとぶれた写真になりがちです。 ミラーショックとは、ファインダーに光を送り込む鏡が動く時の振動です。それを動かしてフィルムに感光させるのです。この鏡が大きいため、動くときのショックが大きくなります。
10.35ミリカメラのように機能的な進歩が遅いですし、その機能を付けると大変高価なカメラになりがちです。
11.フィルムは、カメラ店なら容易に手に入ります。
12.現像してからのフィルム管理には、高温多湿の場所を避けなければなりません。フィルムサイズが大きく保管をするのは大変ですが、その分、喜びも多いものです。
13.フィルムパッケージのゴミが、発生しますので、ゴミ管理をお忘れなく。

<総合的にみると・・・>
1.いろいろとレンズなど拡張できるので、被写体に対する守備範囲が大きいです。(一眼レフタイプ)登山などには、軽量に作られているレジファインダータイプや6×4.5の小型タイプのものが考えられます。
2.重量は、そこそこありますので、専用バックが必要です。レジファインダータイプも交換レンズを欲張らなければ、リュックの中に入れることも可能です。
3.簡単に写せるオート機能もありますが、被写体にあわせて独自の使いこなしが、やりやすいカメラとなっています。夜景や望遠レンズを使うときなど三脚は必修になってきます。特にピントが35ミリよりも薄いので、必然的に低速シャッターになります。三脚は用意しましょう。(絞りやシャッター速度の関係は、カメラ専門雑誌などをご覧ください。)
4.撮ったときの充実感は格別です。

★どんな人が中型カメラを使えばいいのでしょうか?

これは、私独自の考えです。みなさんイメージしてください。このクラスのカメラは、大き目のフィルムが使えるとう、画質にかかわる部分に有用性があります。デジタルカメラも35ミリタイプに比べて画質では上です。カメラメーカーごと使い勝手は違いますが、基本は同じです。近年35ミリカメラを卒業して中型カメラを使っている人も増えています。一部ですが、中型のデジタルカメラを使って自然写真に取り組まれているプロのカメラマンもおられます。基本的には35ミリカメラよりも重量もあるのですが、場合よっては、35ミリカメラよりも安価で軽量に組めるという意外性もあります。筆者は、広角レンズで広く風景を撮影する場合は、中型カメラを使うこともあります。

1.きれいな写真、自分の世界を表現したい人。
2.いろいろな写真を撮影したい人。
3.ゆっくりと撮影したい人。
4.カメラのシステムの組み方により、時間をかけて写す方法や、機動力優先に出来たりします。そのシステムを組むことが出来る人。
5.カメラが荷物の半分以上となってしまうこと覚悟出来る人。
6.印刷や大きくプリント(全紙以上)する必要がある人。
7.写真の仕上がりにこだわりがある人。

★カメラの補助道具は、どうでしょうか?

1.ストロボも大型の外付けから、マクロ撮影用のストロボまであります。どれも撮影領域を広げるものです。
2.三脚を用意しないと、撮影が難しくなることが多いようです。


■バックナンバー
カメラの種類あれこれ
コンパクトカメラ&使い捨てカメラあれこれ“遊べるカメラ“
高性能コンパクトカメラにあれこれ“通好み、情報カメラ”
一眼レフカメラ(35ミリ)あれこれ“いろいろな顔を持つカメラ”
レンズ一体型一眼レフ風カメラあれこれ(私のお勧め)“小さな何でも屋”
中型カメラあれこれ(意外に簡単な)“趣味のカメラ”
大型カメラなどの特殊カメラ(カメラ付携帯電話など)あれこれ“芸術カメラ?”

■著者紹介

椹木 喜雄(さわらぎ よしお)
1968年滋賀県生まれ。写真家。91年、京都精華大学美術学部造形学科卒業。在学中から独学で写真を学び、26歳から本格的に自然をテーマに地元の琵琶湖から撮影を始めた。自分自身も自然の一部として、感じるままを表現し自然と調和して生きることが出来たら、そこは"天国"だと思う。写真集「Winter」(光村推古書院)、がある。滋賀県草津市在住。
ホームページは、「自然写真物語」http://www8.plala.or.jp/sawaragi/