第5回 著者 大西 かおり


野外で一工夫おいしい楽しい食事

 さて、暑い暑い夏がやっと到来、といった感がある今日この頃です。皆さんの夏の自然体験は、いかがでしたでしょうか?夏のキャンプといえば、野外での食事がつきものですが、大杉谷自然学校で、実施した簡単な野外での一工夫の調理を2つ、ご紹介したいと思います。

魚の捕り方と保存法一夜干し
 暑い夏、釣りをしながら川を登っていくと、釣った魚が腐らないか、心配なときがあります。また、大きいのが釣れたけど、すぐに食べられないな、という人もいるはずです。そうすると結局、逃がすかということになってしまいます。そういう時は、ぜひ、一夜干しにチャレンジしてみてください。背開きで魚を開いて、干すのです。こんなときに、ぜひしてみて欲しい方法があります。これは、必要に迫られなくても、魚のおいしい調理法の一つです。

●魚の一夜干し

さあ、特に大き目の魚が、これに最適です。なぜって、一枚開きに開くのにコツがいるので、初めての人は、失敗すると、ほとんど食べるところがなくなってしまうからです。でも、開くのに、万が一失敗して小さくなっても、味は格別です。資料を参考にして、挑戦してみてください。なお、刃物を普段とは違う角度でも使うので、お気をつけください。

<一枚開きの方法>
(1)まず、魚を平らなところにのせ、胸ビレのすぐ下に切っ先をあて、背骨にあたるまで切り込みを入れる。※このとき頭を、全部切り落とさないで。
(2)頭の下から尾の付け根まで、背身を開く。このとき包丁の先は、腹皮のきわまで切り開く。
(3)一枚に開き、内臓とエラをとる。
 ここまでできれば、成功したも同然です。この一枚開きの上部1mくらいから、軽く塩を落とします。これを外に吊るして干したら、出来上がりです。虫等が気になる人は、日干し用網に入れると安心です。また、釣りながら開いていく場合は、ササなどにさしていくといいでしょう。
 この一夜干しは、もう次の日にはできています。軽く炭火であぶって、食べてみてください。生で食べるのとは又全然違い、魚のうまみが倍増して、とてもおいしいですよ。私たちは、アマゴを使いましたが、アユなども宮川村では、一夜干しにします。ほんの少しの一手間で、別のおいしさが楽しめる一夜干し。野外で挑戦してみる価値のある調理法です。


●ちょっと変わった魚の捕り方

 おいしい魚を食べてみると、さらに捕ろうという意欲がわきます。次は、魚を捕るちょっと変わった方法をご紹介します。
 昔は、川の向こう岸が見えないほど、魚がびっしり泳いでいたという宮川。ところが、ダムができて以来、残念ながら、昔話に聞くような魚の数はありません。ですが、川の向こう岸は見えるようになりましたが、まだまだ魚と一緒に泳げるほど、川には色々な魚がいます。ところが、一緒に泳げるのに、泳ぎながら魚を捕ることは、まず不可能です。「水を得た魚」ということわざがありますが、それだけ魚は水の中では、すばしっこく、自由自在に動き回るのです。
 これだけ動きが速い魚を実は簡単に観察したり、捕ったりする方法があります。

●夜の魚

 夜の魚を見たことがありますか?夜の魚は、いったい何をしているのでしょうか?実は、実際に川の魚を観察する最高の時間は、夜なのです。夜の魚は、川の流れがゆるくなっているところに集まる種類が、たくさんあります。また、夜にしか見られない、夜行性の魚もいます。そんな魚たちに会いに、ぜひ、夜の川に出かけてみてください。強力な懐中電灯さえあれば、快適にたくさんの魚が観察できますよ。そして、動きも大変鈍くなっているので、網を持っていけば、簡単にすくうこともできます。30分も川を歩けば、オイカワ、カワムツ、アジメドジョウ、そしてアマゴも、すくうことができます。昼間は、生きている魚に触るなんてことは、考えられないほど、魚というものはすばしこいものです。ところが、夜にはまったく異なる表情を、見せてくれるものなのです。
 ただ、難点は取れる魚は、小さいので食べるのには向きません。残念ですが、泳いでいる魚を見たり、観察したり、そして魚の生態を知るという目的で、この活動をしてみてください。子どもたちに、すごく人気がある活動で、子どもたちでも、いろんな大物を捕ってくれました。

●一工夫で楽しい調理 ~チキンラーメンを材料に~

 さて、この夏は、幼児対象のキャンプ「ちびっこ夏の大杉谷」を実施しました。このキャンプの中では、4歳から6歳の子どもたちをが、主な参加者でした。さて、この子たちが楽しく、家に帰ってからもちょっとできる調理はないかと考え、チキンラーメンを材料にした、楽しい簡単メニューを考えました。方法はとっても簡単です。基本はチキンラーメンなのですが、トッピングに一工夫加えるというものです。材料はチキンラーメンと茹で、卵、それとお好みの薬味です。この一工夫とは、ゆで卵の細工です。花形のかわいいタマゴを飾って、野外での簡単調理を楽しみました。


<花形タマゴの作り方>
材料:爪楊枝、20cmの木綿糸、もしくはテグス、黄身が真中のゆで卵
(1)茹でタマゴを横に寝かせ、中心に糸のついた部分がくるように、爪楊枝を突き刺す。
(2)糸を上下に、ギザギザになるように動かす。
(3)一周したら、黄身が壊れないように、気をつけて半分に割る。
 最初は、ゆで卵をまわして、小さい子でも簡単にできて、食卓が楽しくなります。
 ぜひ、チャレンジしてみてください。

簡単な工夫でも、味がいつもと違ったり、とても楽しくなったり。外で食べるものは、それだけでもおいしいですが、さらに一工夫してみるとさらにおいしくなるようです。野外でするからこそ、ぜひ、いつもと違った一工夫に挑戦してみてください。


■バックナンバー
大杉谷自然学校の自然プログラム(1)
大杉谷自然学校の自然プログラム(2)
大杉谷自然学校の自然プログラム(3)
大杉谷自然学校の自然プログラム(4)
大杉谷自然学校の自然プログラム(5)

■著者紹介

大西 かおり(おおにし かおり)
三重県多気郡宮川村・大杉谷自然学校代表