![]() ![]() ![]() 第3回 「エベレスト、のぼりますか?」著者 近藤 謙司
実は、ヨーロッパでは「国際山岳ガイド」と言われるカテゴリーのガイドと(その勉強途中の「アスピラントガイド」というインターン的な制度もある)ロープを使わないハイキングを案内する「マウンテンリーダー」というガイドの2種類しかありません。山岳地を案内する人は全て「国際山岳ガイド」であり、とても理解しやすいのです。 日本山岳ガイド協会には「自然ガイド」と言われる自然観察や、環境を案内するガイドもカテゴリーされているのでさらに複雑です。私も協会の役員となり協会とガイドの将来を考える立場となりましたので、一般の人が見て、誰もが聞いて、一目瞭然で理解できるガイドのカテゴリーとなるように、今後も模索と議論をしていきたいと思います。この現在の結果のこの細かさが、現状の日本らしいカテゴリーでもあるのかとも思ってしまいます。名称の整理は近い将来にしていきたいですね。
さて、その本質のガイドとしての仕事ですが、単純に人を山に案内して無事に下山させるだけがガイドの責務ではなく、ゲストの希望に合わせた環境や地形に対応し、技術的な講習やスキルアップ、楽しい話やアカデミックな話題の提供、そしてゲストの夢に向けての相談にのり、その道筋などのアドバイスと実践的な指導をしていくこともガイドの仕事です。 ![]() そして、何よりも楽しんでいただくこと。安全に下山する事。また、山に自然環境に戻り、更にゲストの皆さんが「山の魅力」を誰かに伝えてくださるような環境づくりをしたいと思っています。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という精神を忘れずに。 さて最後になりますが、東南アジアの山々、ヨーロッパアルプスの名峰、7大陸の最高峰、そして世界最高峰のエベレストの山頂へ!夢を大きく持っていただき、このコロナ禍の先に見える明るい未来を、是非想像してほしいと思います。 これはよく初めてのゲストから聞く言葉ですが、「100名山もまだなのに他の国の山なんて…」「冬山もろくに登ってないのにアルプスなんて…」というもの。よく考えてくださいね。日本の観光地を全て巡った訳でもないのに、海外の観光旅行は行きますよね?今までやっていた趣味やスポーツを極めてないのに、別の趣味を始めますよね?体力も機会も制限があるものです。世界の山々、神々の頂きは、チャンスがあり、まだ身体が動けるうちに歩きたいと登っておかないとね! ![]() 現在は、好きな山へ自由にいけない、好きな仲間と旅に行けない、行きたい国へいけない、家族と一緒にいられない。そんな大変な時期ですが、考える機会がたくさんできたと思います。仕事や勉強に追われることも多いと思いますが、その先の夢もしっかり見てくださいね。行ける時に行ける場所に!やれるうちに夢の実現を!チャンスがきたらすぐ掴みましょうね!「エベレスト、登っちゃいましょう!」 ■バックナンバー ![]() ![]() ![]() ■著者紹介 近藤 謙司(こんどう けんじ) 1962年東京都生まれ。 1983年、今井通子が率いるエベレスト冬季北壁登山隊に参加し8,450mまで到達。 その後、ヨーロッパアルプスで山岳ガイドのほか、ヒマラヤなどの高所登山を行い、日本初のエベレスト公募登山隊を組織する。エベレストを7回登頂のほか、8000m峰は19回以上、マッターホルン80回以上、アイガー25回以上のガイド登山。2013年コジオスコ峰(2,228m)を登山し、七大陸最高峰をすべてガイドとして登頂した。 (株)アドベンチャーガイズ代表取締役、全国山の日協議会運営委員・山の日アンバサダー、国際山岳ガイド連盟公認国際山岳ガイド、日本山岳ガイド協会国際委員長、日本山岳会会員など。 |