![]() ![]() ![]() 第2回 著者 山口 章
2回目はフランス側のガヴァルニーの大峡谷を紹介しよう。ここも世界遺産の地だ。 ガヴァルニーはフランス南西部の大都市トゥールーズから車でおよそ3時間走ったスペインとの国境にある小さな町だ。しかしながら夏はハイキングに、冬はスキーにと一年中訪れる人の耐えない山岳の町のひとつになっている。 ガヴァルニーの大峡谷は、大きな素晴らしい円形劇場で、北アルプス・穂高岳涸沢をもっと大きくしたようなところだ。
ガヴァルニーの町から歩き始める。歩くのに自信のない人は馬でいくこともできる。一車線ほどの車道をガヴァルニー川の右岸を登っていく。ガヴァルニーの町が1365m。左にマルボレ(Pic Marbore,3248m)を見上げ、正面にシルク(Cirque)大岩壁を仰ぎ見るように上っていくと、ホテル・シルク(Hotel Cirque)に着く。ここで車道は終わり。馬で来た場合の終点でもある。ここからは真正面にシルクの大障壁が1000mの高度差をもって迫ってくる。ここでも十分に大峡谷を楽しむことができるが、時間的、体力的に余裕があるなら、ぜひとも滝の真下まで行ってみたい。
道は突然ざれたがらがらの道になり、滑りやすいので注意したい。いくつも歩いた後があるが、適当に歩きやすいところを行けばホテルから1時間ほどでガヴァルニーの大滝の真下にでることができる。ここで標高はおよそ1770m。ガヴァルニーから400m上ったことになる。この滝は高さが422mあり、ヨーロッパ一のものだ。これだけの滝なのに、水はあちこちに散ってしまい、滝つぼは思ったよりも小さい。ここにしばらくいると寒くなってくるので下りに注意してホテルまで戻る。 ホテルを出て車道を500mほど下ると左手に小道の分岐があるのでそれに入り、一気に下ってガヴァルニー川を渡るとなだらかな、素晴らしい草原地帯に入る。ここはお花畑になっており、背後の大障壁とのコントラストがなんともいえない。 この草原の終点に小高い丘があり、それに登ると、ガヴァルニーの大峡谷が迫り、反対側には町がきれいに見えている。歩行時間はおよそ4時間30分。 ■バックナンバー ![]() ![]() ![]() ![]() ■著者紹介 山口 章(やまぐち あきら) 1947年京都市生まれ。「山と渓谷」編集長を経て、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構常務理事事務局長、浅間山麓国際自然学校顧問。クライミングインストラクター。国内外のほかヨーロッパや北アルプスの登山、登攀等の経験多数。 |