2007年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
45 広島県山岳連盟 広島県 「わんぱく登山部」
山登りや沢登などの山遊びを通して、子どもたちに「楽しい」「好き」といった、気持ちの原体験を提供する活動。

「わんぱく登山部」 親子で山遊び!~山遊びの楽しさを、家族の人にもおすそわけ! [10/28]

 日  時:平成19年10月28日(日)
 場  所:広島県山県郡北広島町 臥龍山・八幡高原(標高1223m)
 参加者:部員7名(男子3名、女子4名)※小学校3~5年生、保護者7名、スタッフ4名
 ねらい:・保護者に山遊びの楽しさを感じてもらう。
       ・保護者にわんぱく登山部の活動を体験的に理解してもらう。


きのこ発見!ナメコかクリタケか・・・!?秋の山は紅葉にきのこに楽しみいっぱい。お父さんたちも夢中です。

お昼はお弁当のほかに、みんなでトン汁を調理しました。また、保護者のおひとりがぜんざいを作ってもってきて、みんなに振舞ってくださいました!すごーい!
 <タイムスケジュール>

07:30  横川集合・出発
09:00  八幡高原千町原着(9:30出発)・ストレッチ後出発
11:00  8合目着・昼食(調理あり)
12:30  頂上へ
13:10  猿木峠へ向けて下山
15:00  自然館着・ストレッチ
15:30  現地出発(途中でお土産タイム)
17:30  横川駅着

 <運営ポイント>

どんな山か、どんなハイキングにするかなど
事前の概要説明とイメージを伝える。
自己紹介で保護者のための軽いアイスブレイキングを。
ペースは保護者にあわせて。
きのこ狩りなど寄り道も十分楽しみながら
こどものペースをコントロールして。

 <実施の概要>

こどものみでの活動を続けてきたが
今回は保護者にも参加してもらっての山遊び。
シーズン真っ盛りの紅葉と
きのこ狩りも楽しみながらハイキングを行った。
当日は秋晴れ。
快晴の空に紅葉がまぶしいほどに映え、絶好の行楽日和でもあった。
縦走ルート。長者原登山口から臥龍山、その後、掛頭山へむけて歩き、猿木峠から自然館への道路へ向けて下山。
行程約6km(水平距離)。

 <参加者の様子>

ナメコとクリタケはトン汁に入れよう!キノコに積極的な大人たち・・・。

この日はまさに秋晴れ!紅葉がひときわ輝いていました。

ほとんど初めての保護者顔合わせ。
仕事に追われなかなか体を動かす時間がない、などで
体力に自信がないと不安がる保護者も多い。
しかし、「なかなかない機会なので」とか
「こどもがいつも、絶対良いから行こう!と誘うので頑張ってきてみました」
と、集まってくださった。
こども達の「大人もニックネームをつけて!」という
ちょっといじわるな(?)提案にも快くのってくださった。
「トム」「なかやん」「やまねっち」などなど、遊び心あるニックネームがでる。
こども達は自分のお父さんやお母さんの
思いがけないユニークなニックネームに大喜びだった。

こども達は団員同士とても仲良くなっていて、
徒党を組んでどんどん歩いていく。
親と一緒に歩く姿は半分より少ないくらい。
友達と早く行きたい、一番に行きたい、という雰囲気。
山歩きになれた保護者が時々見かねて止めに入る、という感じであった。

こども達のペースを落としたい気持ちもあって、きのこ狩りも促していたが
やっていくうちにこどもよりも保護者、それもお父さん達に受けたようだ。
そのうちこどもがナメコやクリタケなど食べられるものも見つけてきて
お父さん達の狩猟本能(?)に火がついた。
きのこを求めてがさがさと藪にはいる姿も。
その後、見つけたナメコやクリタケは昼食のトン汁に入れて調理し
どきどきしながら全員でいただいた。
“とったものを食べる”というようなことも、こどもよりも大人の方がわくわく度は大きいようだ。

集合時、「こどもはいつもどんな風にしているのかな、大丈夫かな」と見てみたい気持ちや
また「今日はどんなことになるのか」「山登りは大丈夫か」といろいろな不安も抱えて参加されているようだったが
リラックスして元気いっぱいに遊んでいるこどもの様子や、他の友達に受け入れられている様子などを見て
まずはほっとした、といった表情が見受けられた。
朝のそんな緊張から解けて、次第に保護者自身がだんだんと山遊びに集中していったという感じ。
終わるころにはお互いの会話も増え、とても良い表情での解散となった。

 <運営について>

わんぱく登山部年間チームでは初めての保護者参加ということもあり、スタッフも少し緊張・遠慮がちに。
展開方法もあまりカッチリとしたものにはしなかった。
が、実際にはもう少し明確なインストラクションや説明があった方が
保護者にとって参加のイメージや目標を明瞭にして効果的だったかもしれない。
また、スタッフがもっと積極的に保護者へアプローチしても良かった。


こども達は秋の森でたくさん遊びます。

岩に登るのはもうお手のもの。お父さんやお母さんの心配をよそに、あっというまに登って、つるんとした顔です。

下山の道すがらも、楽しむことを忘れません。わなを作ろう!(なんのわなだ?)
 <プログラムの設定について>

当初、別の山を考えていたが、負荷を落として臥龍山に。
負荷を落としたことは初めて参加する保護者にとって良い効果をもたらした。
また、「体力に自信がない」といっていた保護者にも余裕が出来
山歩きの良さや自然を感じてもらえることも出来て、秋の一日を楽しんでもらえた。
一方、こどもは4月以来2度目の臥龍山。
スタッフからは「同じ山では楽しくないのでは?」と心配の声も出ていたが
同じ山を季節を変えて歩くのも、こどもにとっては興味深いものであったようだ。
「同じ山へ行く」ことは、特にこどもの興味をそぐものではないようだった。
こどもは秋の臥龍山を大いに楽しんだし、知っている山道を仲間と元気に歩いてとても生き生きしていた。
また年齢が上がったことでの身体発達や2度目ということも考慮すべきと思うが
今回の山行でこども達の体力が以前に比べて随分上がっているように感じられた。
主観ではあるが、同じ山を行くことでそれらを比較することが出来るのではないかと思う。
臥龍山は天然の広葉樹の森で紅葉も良く、きのこも良く出てこちらも楽しめる。
傾斜も比較的緩やかで距離も適当。
初めての山歩きや家族ハイキングのフィールドとしては最適な山であると、改めて感じた。

 <安全管理>

保護者向けにウォーミングアップとクーリングダウンの時間を入れる。 休憩のタイミングはこちらで管理。水分補給なども促して。 個人装備として雨具・防寒着・手袋などの携帯。


倒木も楽しく。見て!上で立ち上がれるんだから!今日はお父さんがいるから見てもらいたい?(立ち上がると保護者からも思わず拍手が・・・。)

植林エリアはツタが比較的多いようです。見つけたら見逃しません。ターザンごっこ!

「今年最高の紅葉かも!」と山登り暦の長い保護者からも。確かに!全山美しく彩られて、神様からの贈り物のような一日でした。

 <総合評価>

山歩きでは、始終こどもと大人がほとんど分かれた状態で
「親子で、というところを楽しめているか?」と心配もしたが、気持ちではつながっていたようだ。
小学校4年生以上が中心ということもあってか、親と一緒という状況が
こどもにとってあまり素直に喜べないのかもしれない、という印象も受けた。
活動後の思い出シート(いわゆるふりかえり用のシート。帰宅後に作ってもらう)には
お父さんやお母さんと登ったことや、それらが嬉しかったことなどが垣間見られた。
特に、日頃「今日行った山は絶対良いから家族で行こう!」と訴えていたこどもなどには
親を案内出来たり、またお母さんが山が楽しかったと言ってくれたことなどが嬉しいという気持ちにもなったようだった。

保護者からは、こどもの様子を見ることが出来て「ほっとした」「安心した」といった言葉が出ていたり
いつもこども達が遊んでいる「山」や「山遊び」にふれて
「山の空気っておいしい!」「山で食べるおにぎりがこんなにおいしいなんて」などの感想や
「(こどもは)いつもこんな大変な思いをして、あの美味しい山水を私達に持ってきてくれていたんですね」と
こどもの気持ちに思いをはせている言葉も返されていた。
フィールドの選択も成功。体力に不安を抱えていた保護者にも「山って楽しい!」と喜んでもらうことも出来た。
この親子ハイキングは、こどものためよりも大人向け。
山遊びの楽しさを感じてもらうことや、わんぱく登山部の活動を体験的に理解してもらう場として提供したが
はじめての試みとしては、まずまずの成功であった。



支援団体活動レポート