2007年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
45 広島県山岳連盟 広島県 「わんぱく登山部」
山登りや沢登などの山遊びを通して、子どもたちに「楽しい」「好き」といった、気持ちの原体験を提供する活動。

「わんぱく登山部」 おおきな山にのぼってみよう!(親子編) [9/8]

 日  時:平成19年9月8日(土)
 場  所:広島県庄原市比和町 吾妻山(比婆道後帝釈国定公園内・標高1239m)
 参加者:部員7名(男子6名、女子1名)※小学校3~6年生、保護者、スタッフ2名
 ねらい:・こどもとともに自然遊びをすることによって、自然のなかで活動することの
       おもしろさ・よさを再発見してもらう。
      ・親子で山遊びをすることを通して、わんぱく登山部の理念と活動を体験的に理解してもらう。
      ・親子で山遊びをすることを通して、親子間の絆をふかめる機会を提供する。
      ・保護者が遊びこみ、自然の良さ・楽しさなどを体験的に理解し
       「楽しい」という感覚を再構築・再認識することによって
       潜在的なところで、家庭での自然体験に関する教育力の返還を図る。


9月上旬、吾妻山は初秋の花々に彩られます。この日はマツムシソウで草原が薄紫色。今日は比婆山山系の壮大な草原の山に遊びます。
 <タイムスケジュール>

07:30  横川集合・出発
09:50  吾妻山国民休暇村着
10:10  登山開始
11:20  山頂(大膳原へくだる)
12:00  大膳原で昼食
13:40  下山開始(森のコースで)
14:50  下山・入浴タイム
16:00  現地出発
18:30  横川着

 <運営ポイント>

ゆるゆるハイキング。道草も楽しみながら。
こどものみの参加について、参加の保護者にもサポートしてもらうようあらかじめインフォメーション。

 <実施の概要>

大きな山のハイキングを親子で楽しもうという単発の回。
フィールドは牧歌的でダイナミックな山容が楽しめる、国定公園内の吾妻山。
草原の山と青空のコントラストが美しく、また初秋の花々が咲き乱れ
秋のシーズンの吾妻山と大膳原(だいぜんばら)を親子で楽しんだ。


登山口すぐの小弥山は小高い草原の丘。
ころがって遊ぶのにうってつけ。誰が一番長く転がることが出来るか競争!

秋のトンボがそこらじゅうに舞っていました。
とまってくれるかな?トンボよ、来い来い。

大きなミミズを発見。

 <参加者の様子>

すでに何度か活動を重ねてきた参加者で、とてもリラックスした雰囲気。
安心して、またわきあいあいと山遊びの一日を楽しんだという感じ。
保護者も、自分のこどもだけでなく、分け隔てなくどの子にも積極的に関わってくださっていた。
こどもの遊びをサポートしてくださったり、保護者との参加でないこどもに声をかけて気遣ったり
(こどものみの参加もあり)などといった様子がみられた。


さあ、吾妻山の山頂をめざします!遠くからみるとなだらかな山容ですが、中国地方が誇る比婆山山系のひとつだけあって、意外と登り応えがあるのです。

保護者の関わりで遊びが広がったケースも。
たとえば、登山口からすぐの草原の丘「小弥山(こみせん)」に
あがった時のこと。
「転がって下りよう!」とひとりの保護者がその場でこどもに提案し
しかけてくださった。
こども達は大喜びで草原に寝そべり、斜面を転がっていく。
出来るだけ上手に転がろうと、体を縦にのばしたり、足を曲げてみたり。
大人もこどもも一気に「遊ぶぞ~!!」という開放された雰囲気になった。
この日一日の雰囲気がここで決まったという感じであった。

吾妻山自体は山容はなだらかだが、大きい分結構登りがいがあり
「しんどいなあ」という思いをしながら上がった。
一方で、眼下に広がる景色に「きれい!」と感動する場面も。
山頂の展望も良く、眺めに満足しながら、それぞれに達成感も感じられた。
大人もこどもも、草原でゆったりした時間を感じたり、山登りで頑張ったり、森を楽しんだり、など
吾妻山のもついろいろな「良さ」を味わいながら、一日自然の中での濃密な時間を過ごした。
という感じであった。


向こうに見えるのが吾妻山の山頂です。鳥が羽を広げたような美しい姿。手前の尾根でお母さんと一休み。シーズンに入り、他の登山者も多い日でした。

ちょっとしんどい思いもして、ようやく登った山頂の景色はやっぱり爽快!

お昼ご飯を目指して(?)、大膳原(だいぜんばら)へと下ります!大膳原はとっても素敵な大きなはらっぱ。向こうに見えるのは比婆山の核心「御陵」。その昔、イザナギノミコトが「御陵」に眠る妻・イザナミノミコトを思い「我妻よ」と偲んだことから「吾妻山」となったとか。
 <運営について>

少人数の良さを生かした密度の濃い、良いハイキングが出来た。

 <プログラムの設定について>

ハイキングコースとして整備されているが、ある程度の登り応えもあり眺望も良い。森も豊か。 大きな山にのぼった!という達成感も得られた。

 <安全管理>

ポイント・・・ペースが速すぎないように。道草を含めてこまめに休憩をとりながら。

事例・・・下山時、先頭のこども2名がペースをあげ、グループと大きく離れてしまった。 スタッフが追いかけ、発見した時は今回のルートと別の道に少し入ってしまったところであった。 (要因分析) どんどん先に行きたい気持の強いこどもと、他のメンバー(特に保護者と)のペースと差がある。 また、保護者は普段歩きなれていない人も多く、疲労がともなった下山はつらい場合があり ペースを落としたり休憩を挟んだりする必要があるため、持久力のあるこどもと差が出てしまいがち。 また、先頭スタッフが離れる距離を許しすぎていた。 (今後の対策) 先に行きたいこどもの気持を考慮しつつも、全体の安全管理をコントロールできる範囲内にとどめる。 こどもが今どこにいるか、ということをスタッフが確実に把握しておきたい。


大膳原だけに?ここでお昼ご飯。
こどもは原っぱで走り回って遊びました。向こうに見えるのは、大膳原から振り返った「吾妻山」。

原っぱにはススキやツリガネニンジン、ワレモコウがいっぱい。みんなはススキを利用してかくれんぼをして遊んだのでした。

降りて登山口近くの水場で吾妻山の水をお土産に。みんな山水が好きです。お父さんやお母さんがいると、こどもの表情には甘えたような安心感が漂っています。こどもの時だけの山遊びとはちょっと意味が違うみたい。そんな時に入ってくる自然の風景や感触は、大人にもこどもにも心の深いところで知らず大事にされていくような気がします。
 <総合評価>

吾妻山の良さを活かしながら、親子でのゆったりした自然遊びの時間を提供することが出来た。
親子参加の場合、こどもの表情には甘えたような安心感がある。
これらは、こどものみでの山遊びの時には見られない特徴。
親子山遊びと、こどもだけの山遊びでは、それぞれに違った意味を持つようである。
こどものみの山遊びは自然「冒険的」な要素があって、全体を通してこどもに緊張感のようなものもあり
さらに彼らの動きも発想もダイナミック。
親子ではそれがちょっと違うのだが、こちらもまた良い。
穏やかに親と子が深いところで気持ちをつなげていく、という不思議な雰囲気がある。
一方で親子参加の中、こどものみの参加がうまく機能する場合とそうでない場合とある。
そのこどもの性格や日常が関わっているところでもあると感じるが、今後の課題のひとつとして詰めていきたい。



支援団体活動レポート