2007年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
41 丹波市恐竜を活かしたまちづくり協議会 兵庫県 「丹波竜サマーキッズ・スクール ~触れる、感じる、楽しむ7day's体験~」
化石クリーニング、化石や動物の歯のレプリカつくり、恐竜模型工作など、いま話題の丹波竜の体験学習プログラム。

「丹波竜サマーキッズ・スクール ~触れる、感じる、楽しむ7day's体験~」 [8/3-9]

 日  時:平成19年8月3日(金)~8月9日(木)
 場  所:丹波の森公苑(丹波市柏原町柏原5600)
 参加者:スクール・・・小学生290名、保護者231名
       化石展示・・・1,239名

 小学生を対象に
 恐竜化石に “触れる、感じる、楽しむ” ことを
 モットーとした事業により、好奇心と遊びを通じて
 自然に対する興味や関心、学習意欲を育て上げる機会づくり。

 <事業内容>

・恐竜化石と尾分部の復元模型展示
 第一次発掘で産出された化石展示とともに、尾部分の復元模型の展示で
 20数メートルといわれるティ“丹波竜”(ティタノサウルス)の実際の大きさを体感する。
・化石発掘体験 
 第一次発掘時の化石含有地を持ち込んで、実際の“丹波竜“と同じ化石の発掘体験。
・恐竜模型作成 
 ダンボール製の恐竜骨格模型を組み立て、恐竜の身体の仕組みを学習。
・レプリカ(複製)作成 
 実際の化石からとった型を使っての色々な動物の歯の複製を作成。歯の仕組みを知る。
・恐竜映像の放映
 古生態学を取り入れたNHK及びイギリスBBC制作の映像をハイビジョンで放映。



 <あれれっ~?>

一番人気と思っていたレプリカ作成、大部屋も用意していたのですが
全スクール応募超過の中で欠員を出してしまいました。
「大人が、今の子どもはこうだと決め付けているのかな~」と、スタッフ一同意気消沈してしまいました。

 <なんと―!競争率4倍!?>

逆に当初は、屋外でハンマーを使う化石発掘体験が一番人気がないと思っていました。
スタッフ曰く、「屋外で暑いしね~」「石を叩いて地味だよね、面白くないよな~」。
これには理由があって、一月ほど前に実施した小学生アンケート調査で
「どこで遊んでいるの?」との設問の回答1位がなんと断トツで「市民センターで任天堂DSで遊ぶ」。
2位が「友だちの家でゲームをして遊ぶ」であったため、いささか失望していたからです。
しかし実際は全く逆で、定員30名に113名の申し込みが県内外からあり
急遽指導者に無理を頼み、追加開催分を設けました。
しかしそれでも53名が抽選漏れとなり、申し込んでいただいた皆さん、ごめんなさい。

 <百聞は一見にしかず>

百聞は一見にしかず、やはり自分で体験し自分の頭で考えることが何より重要です。
少し私たちは行動することを忘れ、知識優先な頭でっかちになってはいないでしょうか。
自然の本質を自分の能力で解明し、自分のことばで訴えるという作業を覚えるには
知識の習得よりも実際の経験による「感性」だと改めて感じました。
かっての子どもたちが川や山という自然と遊び、動物と遊んで、経験から本質を判明させたように
実際の現場での経験こそがすべての基本となるのでしょう。



 <初めに読んでほしいあとがき~かっては子どもであったお父さん、お母さんへ>

日本の農地は、真夏の気温を2度下げる天然クーラーの機能があると言われています。
平成16年度の国の地球温暖化対策の予算要求額は8299億円ですが
農地・森林が持つ環境機能、いわば公益的機能は
森林が74.9兆円、農地が6.9兆円と、それぞれの関係機関から公表されています。
これをそれぞれの土地面積に換算すると
ヘクタール当たりで森林が約300万円、農地が約140万円となり
国民一世帯当たり200万円程度の便益が森林や農地から得られていることになります。
現在、「自然との共生」は人類共通の命題ですが
丹波市での「自然との共生」と、都市におけるそれとは同じものではありません。
都市では人口過密という人的資源に富む一方、失われた自然を取り戻す復元・創出が求められていますが
ここ丹波市のような里地では、食料供給や二酸化炭素の吸収、国土保全などの役割を果たすべく
自然の保全が求められてきました。保全とは、人の手を入れつつ現状を維持することですが
しかしながら昨今の森の荒れように見られるように、もはや現状維持ではなく
回復育成という、より積極的な自然への理解と働きかけが必要とされています。
しかし近年、このように環境面から自然に対する人々の関心は高まりを見せてはいるものの
日常的な自然との関わりは逆に薄れており、大人も子どもも、特に将来の担い手である子どもたちは
丹波市という豊かな自然の中で暮らしていながら、自然に接する機会が著しく減少し
自然への身近さを感じることのない生活をしているのが実際です。
平成18年8月7日、大型草食恐竜の化石がほぼ一体分埋まっている可能性が高い“丹波竜”の一部が発見され
速報展では、約60センチにも及ぶ肋骨を目の前にして、子どもたちは驚嘆の声を上げていました。
高松塚古墳は考古学と地学、“丹波竜“化石は古生物学と地学とほぼ同じですが
恐竜には、子どもたちを魅了する「夢」「かっこいい」「強い」というような好イメージがあるように感じられます。
知識を詰め込むだけの体験では興味は持てません。
恐竜という好奇心と遊びを通じて、子どもたちに自然に対する関心が生まれ
自然について理解する力が養われればと期待します。子どもたちには、未来を変える力があります。
子どもたちが自然の大切さを理解することで、周囲の大人たちも変わっていくのではないでしょうか。



支援団体活動レポート