2007年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
19 財団法人 神奈川県ふれあい教育振興協会 神奈川県 「長期自然体験活動事業「ワンウィーク体験活動『森』」~山と湖の冒険旅行~」
小学4年生から高校生までを対象にした、異年齢集団による6泊7日の自然体験キャンプ。環境教育のプログラムなど多彩な活動を企画。

「長期自然体験活動事業「ワンウィーク体験活動『森』」~山と湖の冒険旅行~」 [8/5-11]

 日  時:平成19年8月5日(日)~8月11日(土) 6泊7日
 場  所:県立足柄ふれあいの村、県立芦ノ湖キャンプ村 ほか
 参加者:県内から公募した小学校4年生~高校生 48名

財団法人神奈川県ふれあい教育振興協会では
8月5日(日)から8月11日(土)まで、県立足柄ふれあいの村等において
6泊7日の「ワンウィーク体験活動」を実施しました。
当協会が実施する事業の中でも長い歴史のあるこの事業は
今年で13回目を迎えました。
参加したのは、県内から公募した小学校4年生~高校生の48名。
参加者を異年齢の6名で構成した8班に編成し
大学生のキャンプカウンセラーが付いて、子どもたちの活動支援を
行いました。
今年のメインプログラムは、
足柄ふれあいの村から県立芦ノ湖キャンプ村までの約20キロを徒歩で移動する、2泊3日の遠征旅行です。
ここでは、速報レポートとして、この「箱根遠征」の模様を中心にお知らせします。

 <実施日程>

8月 5日 であいのつどい、活動オリエンテーション、ウェルカムパーティー
8月 6日 遠征のためのスキルトレーニング、野外炊事
8月 7日 里山ウォーク(ショートハイキング)、遠征準備
8月 8日 ふれあいの村~明神ヶ岳~芦ノ湖キャンプ村まで徒歩移動(約20km)
8月 9日 箱根探検Ⅰ・Ⅱ(寄木細工体験、芦ノ湖海賊船乗船)
8月10日 箱根探検Ⅲ(箱根ビジターセンター)、バス移動
8月11日 班装備の点検・返却、活動のふりかえり、さよならのつどい



 <8月5日(日) 1日目/7日間 天気:晴れ~夕立>

午前10時、集合場所の大雄山駅前に大きな荷物を背負った参加者が続々と集まってくる。
「行ってきま~す!」見送りに来た保護者の不安げな顔をよそに、子どもたちはふりかえりもせずに出発する。
「であいのつどい」を行った後は、アイスブレイクゲームの時間。
、初めて出会った班のメンバーが顔合わせをする。
これから1週間をこの仲間と過ごすのだ。みんなの顔には、まだ不安げな表情が見られる。
班ごとに集まって、旗を作る。初めてのグループワークの時間だ。それぞれの思いを込めた旗ができあがっていく。
最初の夜は、ウェルカムパーティー。みんなで火を囲んで、楽しいひとときを過ごした。

 <8月6日(月) 2日目/7日間 天気:晴れ>

今日のプログラムは、名付けて「トレジャーハンティング」。
指令書を元に、班行動で課題をクリアしながら、道具の使い方やテントの建て方など
遠征に必要な「スキル」という“宝物”を手に入れていく。
最後の課題は、覚えたばかりのバーナーとコッフェルで紅茶をいれ、菓子パンをおやつにティータイム。
続いての夕食は野外炊事。メニューはキャンプの定番、カレーライス。
カレーって、全く同じ材料なのに、班ごとに違う味ができあがるから不思議だ。
明日は、遠征に先駆けて、里山へのショートハイキング。ふれあいの村の敷地から初めて外へ出る日だ。

 <8月7日(火) 3日目/7日間 天気:晴れ>

午前9時出発。ふれあいの村周辺の里山から最乗寺へと、集落の中を歩く。
最乗寺にたどり着かないと、お弁当がもらえない。
マップを頼りにひたすら歩く・・・はずであったが、みんな集落の中を歩くことで安心したのか
地図なんか見もせずにどんどん先へ先へと歩いて行ってしまう。
二つ目のチェックポイントで、早くも行方不明の班が出た。
山間の複雑な地形で無線が使えないため、サポートカーは、行方のわからない第5班を探して往ったり来たりする。
12時、何とか無事に全員が最乗寺に到着する。
一番に到着したのは、間違えて近道をしてしまった5班だった。
お弁当を食べ終わっての帰り道、あれほど「帰りはよく地図を見るように!」と説明したにもかかわらず
帰り道の入口を間違える班が続出。
こんなことで、明日は、無事、箱根にたどり着けるのだろうか。スタッフに一抹の不安がよぎる。
午後3時、班毎に明日の遠征の準備に取りかかる。
明日はいよいよ箱根への遠征出発だ。物品の準備も整った。必要な知識も学んだ。これで準備完了・・・。
そろそろ疲れが出てきたのか、みんなぐっすり。さあ、起きたら箱根へ出発だ!

 <8月8日(水) 4日目/7日間 天気:晴れ>

午前3時、起床の時間だ。眠い目をこすりながら、出発準備に取りかかる。
遠征をサポートする6人のボランティアさんも合流した。
午前3時半、初日にみんなで作った班旗を持って、まだ暗いうちからふれあいの村を出発する。
最初の目標地点は、箱根外輪山の1つ、標高1169mの明神ヶ岳山頂。この山を越えて、芦ノ湖を目指す。
みんなのライトが長く連なり、山道を照らす。夜明け前の山道、歩くペースはいっこうにあがらない。
午前5時、昇り始めた朝日をみんなで見る。その輝きに感動の声が上がる。
歩き始めて2時間、体調を崩す者も出てきた。一人、どうしても歩けなくて
山頂との中間に当たる「見晴らし小屋」で、本隊から離れることになった。
班の仲間はその子の名札を預かって、山頂での再会を約束し、ひと足先に出発して行った。
午前8時9分。予定より1時間以上遅れて全員が登頂成功。
名札を預けたあの子も、無事に班員との再会を果たした。
登頂に歓喜したのか、景色に感動したのか、泣き出す者もいる。

参加者の感想文より
・山頂に着いたとき、そこからのすばらしい景色と、それまでの辛さに、思わず涙が出てきました。(中1・女)

ここで、みんなで朝食を食べる。サンドウィッチとバナナ、魚肉ソーセージ。
朝食を終えて一息つくと、もうすぐ9時になろうとしている。先を急がねば、これからどんどん気温が上がる。
ここからしばらくは、長い下りの尾根道が続く。
木陰は、ほとんどないが、雲が丁度よく太陽を隠してくれる。しかし、夏の日差しは強く、とにかく暑い。
休憩ごとに水をがぶ飲みしてしまい、飲み水が底をつく者も出始めた。
12時、矢倉沢峠を通過。仙石原の給水ポイントまではあと30分。
水筒やペットボトルに残っている水をみんなで分け合った。
ようやくたどり着いた仙石原で、遠征をサポートするスタッフから飲み物とお弁当を受け取る。
水の本当のありがたみを知るのは、こんなときなのだろうか。みんな、ペットボトルの飲み物を大事そうに飲む。
もうクタクタだけど、目的地までは残り7キロ・・・。今度は班ごとに芦ノ湖キャンプ村を目指す。
別々に出発したはずが、途中、他の班と一緒になってゴールを目指す。

午後3時15分、最初の班が芦ノ湖キャンプ村に到着した。
山越えのあとの7キロを約2時間で踏破してしまった。
他の班も続々と到着し、午後3時42分には最後の班が到着した。
みんなよくがんばった!みんな無事だった!感動して一番泣いていたのは、担当のスタッフだった。
しかし、のんびりしている暇はない。テントを立てたり、夕食の準備をしたり、ここからがけっこう忙しい。
遠征前に練習した使い方を思い出しながら、バーナーとコッフェルで中華丼を温める。
午後8時、芦ノ湖キャンプ村のお風呂にみんなで入った。
朝3時頃から山を越えて歩いてきた、長い長い一日が終わっていく。

参加者の感想文より
・みんなから元気をもらったからこそ、山のてっぺんまで登れたと思います。
 みんな にたすけてもらったり、「がんばれ」とか「あと少しだから」って言われて
 ぼくは その言葉だけで、最後の力をふりしぼって「よし、がんばろう」と思い
 またどんどんどんどん登って、てっぺんにつきました。(小4・男)

 <8月9日(木)5日目/7日間 天気:曇り>

今日は箱根探検の1日。
午前中は、箱根の伝統文化の寄木細工に挑戦した。
午後は、芦ノ湖の海賊船に乗って、歩いてきた山並みを振り返った。
箱根の外輪山がぐるりと周りを取り巻いている様子がわかる。

参加者の感想文より
・海ぞく船が動きだしたとき、強い風をうけて思いました。
 「海ぞくは、毎日こんな くらしをしたんだなぁ~」と。(小4・女)
・海賊船ロワイヤル号に乗って、私たちは海賊になりました。風が空を切る音がすごかったです。(高2・女)

夕食は、スパゲッティミートソース、パンにサラダにヨーグルト。バーナーを使った本格的な調理だ。
短時間で上手に作るには、ちょっとコツが要る。限られた道具で、みんなで工夫して調理する。
このキャンプも中盤を過ぎた。まだ5日目だというのに、お互いのことが昔からの友だちのように思えてくる。

参加者の感想文より
・野外炊事をした時、みんながきびきびと動いてくれたおかげで、はやくご飯が作れて
 あまりおいしくなかった時もあったけど、みんなで協力したので味なんて関係なくなりました。(中2・男)
・もう、半分以上が終わった。本気で悲しくなってきた。(高2・女)

 <8月10日(金) 6日目/7日間 天気:晴れ~(夜)霧雨>

2泊3日を過ごした芦ノ湖キャンプ村とも今日でお別れ。
みんなで、テントサイトや炊事場をきれいに掃除する。装備をまとめて、出発準備だ。
芦ノ湖キャンプ村を出発し、箱根ビジターセンターへ移動する。
迎えのバスが来るまでの間、広場でみんな一緒になってへとへとになるまで遊んだ。
花いちもんめ、どろけい、だるまさんがころんだ・・・。
ゲーム機がなくても、仲間がいればこんなに楽しい時が過ごせるんだ。

参加者の感想文より
・子どもの広場で5・6班で遊んだ。疲れた。そして、4・7班も合流!ドロケイで年の差を感じた。
 だるまさんがころんだは、本当に楽しかった。(高2・女)

迎えのバスが来た。
歩いて歩いて、山を越えて、また歩いて・・・。あんなに辛かった道のりも、バスで帰るとあっという間だ。
そして、ふれあいの村に到着。なんだか、すごく久しぶりに戻ってきたような気がする。
最後の夜のパーティー「森の感謝祭」を仲間と過ごす。
1週間生活した仲間と、やさしさや厳しさを教えてくれた自然に感謝するお祭りだ。
食事は、特別メニューの野外バイキングとバーベキュー。おなかいっぱい食べたあとは、みんなで火を囲んだ。
明日で終わりなんて信じられない。もっと、この仲間と一緒にいたい。
こうしているうちにも最後の夜は更けていく。

参加者の感想文より
・バンダナに3班と4班の女の子にいろんなことをかいてもらいました。
 バンダナに かいてもらったことをよんだら、うれしくてうれしくてなきそうになったけど
 がまんしておさえました。(小5・女)

 <8月11日(土) 7日目/7日間 天気:快晴>

午前9時、荷物をまとめて、宿泊コテージをあとにする。箱根遠征で使ったテントをきれいに畳み直して収納する。
そのあとは、各自ふりかえりシートを記入する。辛かったこと、楽しかったこと、時にやさしく、時にきびしく
いつもそばにいてくれた仲間やカウンセラーの笑顔、1週間の出来事が頭の中をぐるぐると駆けめぐる。
午後1時、さよならのつどい。
所長さんからもらった「ワンウィーク体験活動修了証」を、宝物のようにリュックにしまう。
でも、本当の宝物はみんなの心の中にあるんだよ。
午後2時、ふれあいの村を出発し、来たときと同じ駅までの道を歩く。
駅までは約3キロだが、20キロの山道を歩いた自信と体力が足取りを軽くする。
午後3時、大雄山駅に到着。事後交流会での再会を約束して、それぞれの家路につく。
1週間前に出会ったときよりも少し日に焼けた笑顔は、やり遂げた自信に満ちていた。

参加者の感想文より
・1週間という短い期間で、わたしがまなんだことは、みんなのことを信じるのと
 自分でどうすればいいかのはんだん、みんなで協力することです。(小4・女)
・たった7日間だったけど、家族みたいな班になりました。他の班ともすごくなかよくなって
 すごくうれしかったです。ワンウィーク「森」自体がすごくきれいな宝物でした。(小6・男)
・初めて会った時は、友だちになれるかなとすごく心配だったけど
 今になって考えると、昔の事のように思えます。(小4・女)

こうして、私たちの6泊7日「ワンウィーク体験活動」は、参加者48名全員が最後までやり通し
大きなけが人もなく無事に終了しました。
1週間、このキャンプを支えていただいたスタッフの皆さんをはじめ、関係各方面の皆様に御礼申し上げます。
ありがとうございました。



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