2007年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
9 山里自然学校ねぎぼうず 新潟県 「体験ラリー」
4~5人の少人数編成で、コンパスワーク、木登り、ツルクラフト、弓矢作り、火おこし、飯盒炊飯、橋かけなどのプログラムをクリアしながら進む、自然体験ラリー。

「体験ラリー」 [9/3]

 日  時:平成19年7月30日(月)~31日(火)
 場  所:森と風のがっこう(岩手県葛巻町)
 参加者:小学生19名(1~6年生)、スタッフ15名

 不便な森の中で自分たちの身体と頭を使い、食糧調達をする。
 班の仲間と協力しあい、課題を乗り越えていく。

 <活動の概要>

6人一班の編成。昼食をかけて体験メニューに挑戦していく。
各班に渡される道具はノコギリ、小刀、園芸鋏、マッチ一箱、飯盒と米。
以下の事柄をクリアすると食糧などを獲得できる。スタッフがカレーを準備。
1.ロープを使った木登り・・樹上約8m地点に完熟トマト。
2.弓矢作成と的を射る・・生の虹鱒とトウモロコシ。
3.火をおこし飯盒で米を炊く・・カレーをかけてもらえる。
4.切倒した丸太運び(10人がかりでも動かないもの)・・名誉。
5.道具の完全返却・・桃。

生の食材、米を炊くために火をおこす必要がある。
焚き火の燃料を森の中で調達し、白樺の皮を着火材として用い、火を育てていく。
飯盒を吊るす三つ又と自在カギを作り、米を炊き、魚を焼き、トウモロコシを焼く。
課題をクリアできればメニューはカレーライス、虹鱒の塩焼き、トウモロコシの蒸し焼き、トマト
そしてデザートに桃である。
どれもできなければ道具を放棄して桃だけでしのぐと言う手もある。
指導員はやり方の説明と安全確保に重点をおき、活動の手助けは基本的にしない。
活動終了時刻までに食事が出来るかどうか。

 

 <活動の様子>

班の中で得意分野ごとに分かれて課題に同時に取り組む所、全員一緒にひとつづつ課題に取り組む所と分かれた。

木登りは安全の為ハーネスをつけ、下で指導員が確保。地上8m地点までは枝ひとつない木に登る。
ロープを幹に巻きつけ足場をひとつひとつ作りながら登っていく。ロープの持ち方ひとつで作業効率が変わる。
全身をフルに使い集中して取り組まないとクリアできない課題である。
難しいからこそ挑戦しがいがあると考える生徒が多かった。
トマトが設置してある場所まで到達したものの、それを下ろすことを考えている生徒は少なく
ポケット等に入れるが班員全員分の確保はできない。

弓矢は森の雑木を選んで切り自分で作成した。
弦を張る場面で弓に切り込みを入れるなどの工夫を凝らしていた。
また矢にふさわしい材料にも工夫をする。
まっすぐ飛ばす為に矢の先に錘をつけたりする生徒もいた。
自分で作った弓矢を持ちかえる生徒がほとんどであった。

火のおこし方は指導員から口頭と実演でレクチャーを受ける。
それでも実際におこすまでには時間がかかる。
次々と燃やす燃料を確保するよう動くことが最初なかなかわからない。
燃やすことに集中しすぎ、燃えつくしてしまうのだ。
調理までスムースに進む班は班員で手分けして行動していた所で、正午過ぎに飯盒の飯が炊けていた。
手間取る班は午後2時過ぎにようやく飯が炊ける。
その後魚とトウモロコシを焼くのであるが、それを考えて焚き火の調整をしたところは非常に少なく
トウモロコシは生に近いまま食していたようである。

丸太運びは班を超えて方法を考えた場面であった。
てこの原理を使ったり、滑車を駆使して取り組む。
びくともしない丸太が少し動くと、興味が倍増し
自分の考えを披露し実践しようとする生徒が多く現れだした。
最終的には滑車2個とロープを使用し、30mほど移動することに成功した。

道具を放棄する班はひとつもなかった。
全班使用後に返却しデザートを獲得した。

 <指導者の感想>

どんな集団の中にも
「言われなくとも行動する人」「言われたことをやる人」「言われたこともしない人」が共存するものだ。
この活動では行動しなければ空腹に耐えなければならず、不名誉のレッテルも貼られる。
行動しなければ何も得られないという状況設定により、自発的な行動を促すことに成功したと思う。
現代の都会の中学生の傾向として、
面倒なことはしたくない・一生懸命取り組むことはかっこ悪い・指示とおりに動くことが身についている
というものがあると考える。これらの状況を覆すには工夫した場面設定が必要である。
設定した「体験」は、サバイバル的要素が強く、かつどれも出来なければ自分たちが困る程度のものとした。
また中学生の知力を刺激するものでもあった。自然と中学生の挑戦する意欲を刺激できたと思う。
時間差はあったものの、全員が食事にありつけた。その味は格別であっただろう。



支援団体活動レポート