平成16年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援30団体の企画より、その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。

  活動レポート    

NO団体名主な企画内容
8NPO法人 国際自然大学校(東京都)「にいはる1WEEKキャンプ~自然が先生、田舎が先生~」
低学年の5泊6日の長期キャンプ。築100年の古民家で、薪をつかったの生活。天然記念物オオサンショウウオを探せ!など。

にいはる1WEEKキャンプ~自然が先生、田舎が先生~

会場 にいはる自然学校 群馬県新治村
期間 8月3日(火)~8月9日(月)
参加者 26名 (小学1年~小学4年)
スタッフ 10名

8月3日(火)
今日のビックイベントは、なんと言っても、これから1週間暮らす古民家との出会い。最初の印象は、「ふるーい」「おっきーい」でした。みんなで入口を探し、見つけたと同時に突入。部屋から部屋へ移動しているうちに、最初の部屋に戻ってしまって。「あれれ?」という表情をしている子ども達。さらに、部屋には名前をつけてルールをみんなで作りました。『仙人の部屋』には、必ず1礼をしてから入ること。『げんこつ部屋』は用事がある人のみ入っていいこと。『いたごちの間』では、・・・・などなど。
そして、今日のニュースとしては、「蜂に刺された!」と「階段から転落?」です。
蜂に刺されたのは、キャンプネーム「いのっぺ」。びっくりして泣いてしまいました。幸いあしなが蜂だったので病院にいかなくてもすみました。 階段から転落したのは、「いちご」。古民家の階段はとっても急です。その階段を登る際、手すりを頼りに登ろうとして3段目当たりで転んでしまったとか。でもでも、よく見たら、階段に手すりなんて付いていません。彼女のおうちと間違えてしまったようです。
そんなハプニングもありながら、初日を終えました。

8月4日(水)
2日目はまだまだ、生活のリズムとルールができていないので、午前中は荷物の整理と生活スペースを作ることをしました。4年生はほとんど自分達でできますが、さすがに1年生はカウンセラーといっしょにやりました。それから、2003年3月に廃校になって、現在、にいはる自然学校として活用されている旧入須川小学校の校庭に行って遊びました。リヤカーに乗ったり、竹を切り出して、カブトムシのかごを作るなど、それぞれが興味を示したことをやりました。午後は、川遊びです。石を積み上げて囲いを作ると露天風呂の出来上がり。こんな時は、みんなのチームワークで動きます。石を運ぶ子、石を並べる子など自然に役割分担が決まって行きました。

8月5日(木)
夜半から降り始めた雨は、朝まで続きました。そのため、気温もぐっとさがり半袖では肌寒いくらいです。そのため、予定していた沢登りを変更して、滝見学にしました。雨具を着て車に分乗して滝を目指します。15分ほど歩くと落差25mの「不動の滝」が目の前に現れました。子ども達は最初「すごーい」といって立ち尽くしていましたが、「この水飲めるよ」と一言スタッフが声をかけると、雨も水も気にせずに滝の真下で口を大きく開けて飲み始めました。「どんな味?」と尋ねると「レモンの味!」、「自然の味!」などなどそれぞれの感想を聞くことができました。そしてそれがエスカレートして、最後には頭から滝の水を浴びる「修行体験」への移行していきました。せっかく雨具を着ているのにこれでは、びしょ濡れです。でも、子ども達の表情は、とても笑顔。悟りをひらいたのでしょうか?
民家に帰ってからは、自分達で昼食を作りました。BBQで焼きそばを作り、ダッチオーブンでベイクドポテトを作りました。しかし、これが大変でした。作り始めたのは、11:40。そしていただきますをしたのが14:30。火をつけるのにとても時間がかかってしまったのです。煙と格闘して、涙涙の3時間でした。お腹ぺこぺこでしたが、我慢して作った焼きそばをとても美味しいそうに食べていました。

夕食後、お母さんに会いたくなってしまって泣いてしまっている「いちご」に「まさる」が声をかけます。「俺だってさびしいんだよ。がんばろうな。」。そんなまさるも毎晩1人では寝ることができない男の子なのです。

友達と小競り合いをして午前中ずっとカウンセラーのわかめと一緒にいて何もしなかった「れっくーざ」。ごはんの後にはわかめに向かって「ケツ爆弾」連発。このスイッチの入れ替えの早さが子どもの武器です。

8月6日(金)
今までは子ども26名が大家族のように暮らしていましたが、今日からは少しグループを意識した活動になります。お昼ごはんのチャパティをみんなで作って食べた後、「隠れ家作り」をしました。まずは、フィールドの下見を全員でしてから、グループ毎に分かれて作る場所、作る家の名前などを決めていきます。意見はたくさん出ますが、それを一つの方向にまとめていくのは時間がかかるもの。そんなことをやっているうちに「いちご」が泣き出してしまいました。真剣にやってくれない男の子に注意したら逆に反撃されてしまったのです。それがきっかけでグループの中で口げんかが始まり、結果、そのグループの女の子、「ねーね」「シナモン」「みかん」の全員が泣き出してしましました。よくよく聞いてみると、「隠れ家作り」の話合いをしていたけれど、結局はこのキャンプが始まってからずっと自分の中で溜め込んでいた思いがいっぱいになってしまったようなのです。「何よあんたは威張ってばっかりで!」「自分のことしか言わないくせに」。激しい口論の後、カウンセラーが一人一人と話をして1時間後、仲直りをしました。30分後、女の子は今まで以上に仲良くなって遊んでいました。さすが、子ども達。

8月7日(土)
昨日に引き続き秘密基地作りです。各班ごとに場所はそれぞれ。まずは、材料になる竹の切り出しから始めます。ナタで切り倒した竹は10m。それをみんなでお神輿のように肩で担いで運びます。その竹を柱にするグループもあれば真っ二つに割って地面に敷き詰めて床を作ったグループもあります。常に「おまえもやれよ」「働かざる者、入るべからず」など大声を叫びながら楽しそうに作りました。1年生のグループでは、基地の中で、いつしか演劇が始まったり、合言葉を決めるのにまた一悶着したりといろいろです。4年生のグループはさすがに立派なものができました。ちゃんとターザンごっこができるように遊び場も作っています。それを見て3年生は俄然やる気を出して負けないものを作ろうと意気込んでいました。途中、「ゴロゴロ、ピカッ」と大空が雨雲に覆われるとみんな急いで屋根作りです。雷が苦手な子は早くも基地の中で待機。なんとか雨を凌ぐことができました。 この日の夜は、希望者のみ、自分達で作った秘密基地で寝ました。寝袋を持って真っ暗な道を歩いていき、さぁ、怖い話でもしようかと思っていたら、あっという間に寝てしましました。

食事は、キッチンスタッフの手作りです。毎日、大皿で出されるおかずを争うように食べています。3、4年生が集まっている激戦区では、毎日戦争です。でも楽しそうです。 また、おかずもそうですが、人気の食べ物の一つにきゅうりとトマトがあります。味噌をつけて食べるのですが、みんな「おかわり!おかわり!」と言ってきゅうりやトマトを食べていました。この野菜たちは、地元の無人販売で1パック(5個いり)100円で売られている新鮮な食材です

8月8日(日)
この日は、フリーDAYになっているので、それぞれがやりたいことをやる1日でした。秘密基地で遊ぶ子もいれば、カブトムシやクワガタを求めて林の中を駆け回る子もいます。みんなで名づけた『むしむし屋敷』(これは、自分達が暮らしている古民家のことで、虫がたくさんいるのでこの名になりました)で、麻ひもクラフトをやる子もいました。そして、夕方からは、「にいはる夏祭り」に参戦です。夕食のお弁当をもって出かけて、お祭り気分を味わった後、花火大会も見ました。湖畔から打ち上げるのですが、まさにその湖畔から見たので迫力が違います。大きな爆発音がお腹に響き渡りました。
実は、この日は、「よしゆき」が帰らなければいけない日でした。夜、もう帰るぞ、と言う時になって4年生の「よしゆき」が突然泣き出しました。もう、手で涙をぬぐっても止まらないようで、ずっと下を向いたままです。みんなで毎日歌った「名前の歌」を大合唱して、しかも、この日の午前中に大けんかをした「れっくーざ」が最後に握手をしてお別れをしました。まさに、出逢いと別れでした。

8月9日(月)
いよいよ最終日です。朝から1週間分の荷物と格闘し続け、ようやくお昼ごはんです。みんなで食べる最後の食事。作ってくれたスタッフに感謝の意を表して、何杯もおかわりしました。 1週間暮らした「むしむし屋敷」。いつもみんなで集まって「名前の歌」を歌った「はっくん部屋」。入ってはいけない「げんこつ部屋」の表札を取り外してお別れをしました。
この1週間。けんかやいざこざが絶えない毎日でした。しかし、それ以上の笑顔がたくさんの毎日でした。自然の中での共同生活によって、子ども達は子ども達のかかわりの中でたくましくなっていきました。



支援団体活動レポート