![]() ![]() ![]() これから自然体験活動を行おうとする指導者の方や先生、お父さん・お母さんにもぜひ読んでいただきたい、おすすめの本を紹介します。 ■『ロングトレイルという冒険』 「旅こそ人生」であり、「人間は本来、社会人である以前に自然人であったはずだ」。これが著者のフィロソフィーであり、バックパッカーとしての基本姿勢でもある。この姿勢は、3,500kmのアパラチアントレイルを6ヶ月かけて踏破した「スルー・ハイク」で、しっかり具現化されている。本著はこのアパラチアントレイルをはじめ、米国の主なロングトレイルでの経験を「好奇の宝」として、バックパッカーの理想を凝縮している。国内外のロングトレイルを歩き通した経験から、バックパッカーを目指す、中でも、若い人たちに著者の想いを伝えようとするバイブルでもある。著者の理念を実現した信越トレイルや、国立公園内の自然歩道なども紹介しながら、日本の旅ほど贅沢なものはないと「人と森とのハーモニー」を綴っている。また、「ぼくのバックパッキング術」として、数々のエピソードを紹介しながら、必要な装備やウェアなどを、そのブランドの歴史にも触れて興味深く解説している。 トレンドになりつつあるロングトレイルを歩くためにも、ぜひ読んでいただきたい好著である。 加藤 則芳 著 技術評論社 刊 定価 1,580円 + 税 ■『スリーカップス・オブ・ティー』 米国の登山家がカラコルム山域(パキスタン)に、子どもたちの教育のために学校を建設する、ノンフィクションドキュメンタリー。全米でベストセラー(N.Yタイムズ紙30週間1位)になった、K2の登頂を断念し、失意の中下山する途中、バルトロ氷河の上でポーターたちと逸れてしまう。ほうほうの定で、ようやくたどり着いた麓の村で、村人に助けられた。だが、その村は予定のコースから外れた貧村だった。 滞在中に学校もなく、乳幼児の死亡率も高いこのような村では、教育こそ人々を幸せにする方法だと考えるようになった。帰国後、自分の生活費を切り詰めながら、学校建設のための資金集めに奔走する。やがて、宗教の壁を乗り越えて、カラコルムに学校が続々と建設される。 その後、9.11の同時多発テロが発生し、イスラム圏のパキスタンやアフガニスタンに、学校を建設するという運動にも、非難が向けられた。しかし、「教育によってテロはなくなる。テロとの戦いは武器ではなく、学校をつくることだ」という著者の強い信念と熱意は、やがて人々の共感の輪となって、大きく広がっていった。 途上国の子どもたちの教育には何が必要か、民族や宗教の違いを超えて、どのような支援がふさわしいのかなど、数多くの示唆を与えている。 グレッグ・モーテンソン、デイヴィッド・オリバー・レーリン 共著 藤村 奈緒美 訳 サンクチュアリ出版 定価 1,900円 + 税 ■『湖のそばで暮らす』〜インディアンの友だちから教わったこと〜 著者が小さな女の子だった頃、米国ウィスコン州の小さな湖のそばに住むインディアンと友達になった。そのインディアンの友達から数々の野外技術を教わった。野外生活の知恵には大切な習慣が二つある。ひとつは「目に入るものすべてをよく『見る』」。つまり、知ること、状況をよく観察すること。もうひとつは「備えよ」。備えるとは、野外では用具や道具などを、しっかり準備しておくこと。インディアンは誰よりも、この習慣を身につけているという。まさに、インディアンの生活技術や知恵は、私たちにとって野外技術そのものである。ひも結び、ブランコロープ、石垣つくり、草木染、簡易テーブルの作り方など、米国の生活文化やライフスタイルの違いを差し引いても、アウトドアで役に立つ知恵と技術が溢れている。イラストもきれいでわかりやすく、読み物としても楽しい。 1994年「本の雑誌」ベスト10に選定されている。 M・ウィルキンス 著 蓮尾 純子 東 馨子 訳 筑摩書房刊 定価 1,560円 + 税 ■『メインの森をめざして』~アパラチアントレイル3500キロを歩く〜 米国ジョージア州のスプリンガー・マウンテンから、メイン州のマウント・カタディンまで、アパラチアン山脈沿いに南北3500kmを縦貫する「山道」が、アパラチアントレイルである。この長大なロングトレイルを踏破した人のみが、手にすることができるワッペン(Appalachian trail Georgia to Main 2000 miler)を「ぼくはそのワッペンをもらうための目的で歩くことに、子供のように単純な喜びを感じていた。」と、著者は正直にその動機を述べている。本書は2005年4月3日から10月6日までの187日間にわたる、アパラチアントレイル踏破(thru-hiker)の長編記録である。出会うバックパッカーとの友情や数々のエピソードは、まさに人と自然の物語である。639ページという分厚い本書であるが、ページを追うごとに、あたかもトレイルを歩いているような錯覚に陥ってしまう。そして、バックパッカーは、なぜ歩くのか、という答えが見えてくる。 アパラチアントレイルとその山麓には、緑豊かな自然と、先祖が培ってきた生活文化がある。南北14州にまたがる文化、宗教、政治など、米国の建国の歴史とオーバーラップさせながら、トレイルの社会学的な考察も大変興味深い。著者のネイチャーライターとしての視角が随所に表現されていて、優れた作品になっている。アウトドアファンには、是非とも読んでいただきたい好著である。 加藤 則芳 著 平凡社 刊 定価 2,800円 + 税 ■『BE-PAL 5月号』緊急特集 いざというときに役に立つアウトドア用具の選び方と野外生活マニュアル 「『生活技術』は、誰もが身につけておくべき基本スタイルです!」いうメッセージが、この特集のコンセプトだ。「生存技術」は、いまや私たちにとって身につけておかなければならない必須事項になった感がある。また、遊びで使う数々のアウトドア道具は、いざというとき身を守ってくれる重要な用具となる。東日本大震災で、緊急時に対する私たちの意識も、大きく変化したように思う。知っているようで知らないアウトドア用具や生活技術が、緊急時の対応という視点で紹介されている。「外出中の事態に備える」などは、すぐに参考になる。こんな時期だからこそ目を通してみたい特集である。『正しいナイフの使い方』が付録になっている。小学館 刊 定価580円(税込み) ■『fly Fisher』5月号 特集 釣りとカメラ 釣りに出かけるとき、いまや、デジカメは必携である。コンデジの性能や機能は飛躍的に向上したが、釣りをしながら写真を撮るというのは難しい。狙っていた魚がヒットすると、アドレナリンが分泌して、撮影どころではなくなりがちだ。釣り上げた魚をリリースしてから、撮影するのを忘れていたことに気づくこともしばしばである。また、重くなりがちな機材を、釣り道具と一緒に持ち歩くのも大変で機材選びも難しい。さらに、水辺での撮影は露出補正のテクニックも必要で、とかく釣りと撮影には苦労がつき物である。本誌の特集は、釣り人の目線に立って「コンデジは、数打てば、の精神で」や「魚をきれいに撮るベーシック」などのハウ・ツゥが紹介されている。また、水辺の撮影についてのエッセイなども掲載され、読み物としても面白く、写真も美しい。巻末の「In the Middle of No-When 」や「イーハートーブ野遊び手帖」などのエッセイは、渓流へと足を向けさせてくれる。 つり人社 刊 定価 1,200円(税込み) ■『ウルトラライトハイキング 〜Hike light, Go simple.〜』 欧米にはロングトレイルが数多くある。米国の東海岸を南北に縦断するアパラチアントレイルは35,000kmにおよぶ。ロングトレイルを踏破するには、数ヶ月から半年を費やさねばならないこともある。このような「トレイルを踏破する『スルーハイカー』によって生みだされた」のがウルトラライトハイキングだ。リュックサックに入れる荷物を極力おさえ、できる限りシンプルなスタイルにしておかないと、トレイルを長期間にわたって歩くことはできない。本書は「ウルトラライトハイキング」について、発祥の歴史、哲学から装備や食事、さらには「気遣い」にいたるまでを、わかりやすく詳細に記述した、日本でははじめての解説書である。ウルトラライトにすることで自然がより近くなり、ロウインパクトにもつながる。国内でも新しいハイキングスタイルとして注目されていく予感がある。自然体験活動の指導者だけでなく、中高年登山者、さらには山ガールにも読んでいただきたいお薦めの一冊である。 土屋 智哉 著 山と溪谷社刊 定価1,500円(税含む) ■『山と溪谷』2011年1月号(特集 登山白書2011) 高尾山の1日の最高登山者数は、74,359人だそうだ。まるで通勤ラッシュなみである。富士山は6合目で40万人、8合目が32万人訪れた。それに山ガールブームが巻き起こって、登山人口は1,230万人だとするデータもある。この数値が確かだとすると、近代登山が始まって以来の登山ブームである。本誌はそんな現状を登山雑誌の相次ぐ創刊や、観客動員数200万人を超えた映画『剣岳 点の記』、今年公開される『岳 みんなの山』、あるいはアウトドアファッションブームの火付け役のひとつになった野外フェスなど動向を紐解きながら、登山ブームの背景を論じている。この登山ブームは果たして本当なのか、定着していくのか、さらには若者たちに波及するのか、専門誌のみならずとも自然体験活動の指導者にとっても非常に興味深い。この国の地勢から登山は、自然体験活動の主要なアクティビティのひとつだ。登山の現状を的確に捉えておくことは、マーケティングとしても重要である。山の便利帳2011が付録になっている。 山と溪谷社刊 定価1,200円(税含む) ■『生物多様性100問』 帯に「Q&Aでわかる生物多様性入門!」とあるように、生物多様性とは何かから始まり、「生物多様性国家戦略」「生物多様性基本法」さらには、先ごろ開催された「COP10」の意義まで、幅広く解説された入門書。Q&Aで書かれているので大変わかりやすい。COP10が閉幕し、生物多様性の言葉自体が、すでにメディアには登場することが、少なくなった。そのうち人々の関心も、すっかりなくなってしまうかもしれない。
生物多様性は、私たちに突きつけられた大きな課題である。人間が生きていくためには絶対に欠かせない生物多様性の保全を、持続的に考え、行動に移していく必要がある。盛山 正仁 著 福岡 伸一 監修 木楽舎 刊 定価 1,000円+税 ■『野宿大全』〜究極のアウトドアへの招待〜 アウトドアで「歩く」、「移動する」、「食べる」、「寝る」などの技術や知恵・知識が経験的に書かれた教本である。「野宿の楽しみを知らずに生きている人は可哀想だ」が本書のコンセプトになっている。野外で活動するための体の鍛え方、歩きかた、バイクパッキングの方法、テントで寝るための知識、食料計画、宿泊地の選定などが、これまでの数多くあるアウトドアのマニュアルとは一線を画して、心憎いほどポイントを突いた解説がされている。例えば、ウォーキングのペースでは「『ゆっくり』と『もっとゆっくり』のふたつである。楽に歩くこと。ただそれだけである」。また、バックパックでは、「何年も使える大事な道具ですので、買うときは値札を見ないで決めること」。「残念ながらシュラフは価格と性能が比例する。予算が許す限り、高級品を選んだほうがいい」など、とてもわかりやすい。アウトドアのマニュアル本は数多く出版されているが、メーカーを名指しで製品の良し悪しを指摘している例は少ない。本著では具体的に製品名をあげながら、長所や欠点などを記述している点が、読者にとって大変参考になる。あとがきに「この本は、バックパッカーからサイクリスト、さらにはオートキャンパーまで、野外活動の初心者から中級者まで、役立つことは保証しよう。」とある。アウトドアの教本としてお奨めできる一冊だ。 著者 村上 宣寛 三一書房 刊 定価1,800円 + 税 ■『孤高の人』 新田次郎の山岳小説「孤高の人」を原作とするコミック版全5巻。週刊「ヤングジャンプ」の連載が、コミック本としてまとめられた。原作は山岳小説の最高峰のひとつで、人はなぜ山に登るのかを問いかけている。本書は原作とは時代もストーリーも違っているが、人が山に魅せられるのはいつの時代でも同じである。高校生の主人公森文太郎は転校生で、心をとざし、誰とも交わろうとしない。そんな彼は、からかわれ半分で校舎の垂直の壁を素手で登ってしまう。この達成感が彼を山へ、登攀へと目覚めさせた。コミックではあるが、「孤高の人」森文太郎の世界に魅せられ、はまり込んでいくのが不思議である。現代登山の最先端を知る、という意味でも興味深く、登攀についての緻密で正確な表現も秀逸だ。 著者 坂本 眞一・高野 洋 原案 新田次郎著「孤高の人」 集英社刊 全5巻 各刊定価514円 + 税 ■『東京発信州行き鈍考列車30年』東京から北アルプスの山麓に移り住んで30年が経過した著者が、田舎暮らしで感じたこと、見えてきたことを社会学の視点で、ときには文化人類学的な視角で解析しながら、「これからの私たち日本人の生き方」に、さまざまなヒントを示そうとしている。 田舎の生活を「時速4キロの文化」とし、都会の生活に「時速50キロの文化」というユニークなキーワードを与え、ムラ社会のなかで、いい塩梅のライフスタイルとは何かの模索がいまも続く。「田舎をことさら特別視して、そこへ移住することでこれまでの生活、人間関係がリセットされると思う都会人が少なからずいる・・・・」が、「田舎に思い描いた暮らしが実現できる保障はどこにもない・・・」は、著者の都会人への率直なメッセージである。 田舎暮らしとは、実は人と自然暮らしの楽しみであり、生活の中に自然を取り込みながら、そこに住む人々との付き合い方の間合い、微妙な距離感をいかに保てるかどうかだと説いている。そして、森羅万象に抗うことのないライフスタイルとともに、都会ともいい距離と関係をもつことで「田舎型暮らしの魅力」が発見されるひとつの方法とも述べている。 地域社会で活動する自然体験の指導者、なかでも若い人たちにはお薦めの好著である。 扇田 孝之 著 現代書館 刊 定価1,800円 + 税 ■『ブルータス』11月1日号 山特集あいついで、トレンド誌が「山」の特集をおこなった。『ブルータス』は、「ワンダーフォーゲル主義」をコンセプトにした構成で、米国のジョン・ミューアトレイルやヨセミテなどを紹介している。また、「HISTORI OF GREAT BACKPACKING GEAR」ではアウトドア用具の歴史と進化がイラスト入りで詳しく解説されている。この種のテキストでは稀に見る秀逸さといっていい。そのほか日本の登山史とトレイル、さらには山岳文学などもわかりやすく記載していて、登山のもつ文化的要素がよく理解できる。 http://magazineworld.jp/brutus/651/ マガジンハウス刊 630円(税込み) ■『Esquire 12月号』エスクァイア日本版『Esquire』は、「美しき日本の山々へ」をテーマに、北穂高、京都北山、白馬山麓、富士山、谷川岳などを山岳文化の視角で紹介しながら、「今、山へ行こう」と呼びかけている。中でも「ヒマラヤ登山とエコロジーのゆりかご、京都・北山」は、「北山からヒマラヤへ」を合言葉に、1,000mにも満たない藪山から憧れのヒマラヤを目指した、いまや中高年となった岳人には懐かしいフレーズである。数多くの著名な登山家を輩出したのが京都北山だった。『Esquire』誌が特集を組むと、「山」もトレンディでオシャレになる。 エスクァイア マガジン ジャパン 700円(税込み) ■『基本がわかる野鳥ECO図鑑』巻頭に「野鳥の出会いや、彼らが繰り広げている日々のドラマに気づかずに暮らしている人が多い」とある。私も含めて、多くの人たちがそうなのだろうと思う。本書は知っているつもりでも、実はほとんど知らなかった野鳥の基本を、「やさしくわかる図鑑」をコンセプトに明快にまとめられている。 野鳥の見分けかたを、大きさ、仲間、水辺、河川、習性などの簡単なキーワード別に解説しながら、「あるがままに親しむ」方法を、著者のすぐれた感性でわかりやすく著している。終章の「鳥と人とエコライフ」では「野鳥がわかると命のつながりが見えてくる」。そして、野鳥との出会いは、人生を豊かにし、持続可能な楽しみ方が生まれくると述べている。カラーイラストもきれいで、いつも手元に置いておきたくなる「安西式バードウォチング図鑑」である。 著者 安西 英明 イラスト 谷口 高司 東洋館出版社 刊 定価 1,900円 + 税 ■『日本型環境教育の知恵』日本を代表する環境NGOのひとつとなった日本環境教育フォーラムが、設立20周年を記念して、「自然体験をと通して地球環境を考えよう」をコンセプトに、記念出版をおこなった。世界と日本の環境教育の歩みを検証し、日本型環境教育のあり方を具体的な事例をあげながら、21世紀型ライフスタイルの提案を試みようとしている。また、自然学校による地域の活性化の実践例から、人づくりと企業、あるいは行政とのパートナーシップの意義と課題に論及するなど、様々な視点で環境教育を解析し、多くの課題を提起している。また、第7章の未来へのメッセージでは、東大名誉教授の月尾嘉男氏が「一神教と近代合理主義が環境問題の背景にある」と論及するなど、読み物としても興味深い記述が多い。さらに環境教育の年表など、資料としてもよくまとめられていて、指導者には必携の知恵本としてお薦めである。 編著 (社)日本環境教育フォーラム 小学館クリエイティブ 発行 小学館 発売 定価1,890円 + 税 ■おひさまのほんシリーズ『むしのもり』主人公のさっちんは、むしのもりに住んでいるオオクワガタと友達だ。むしのもりでおこなわれた、相撲大会やお祭りに招待され、クモやゲンゴロウなど数多くの昆虫たちにであう。昆虫好きの子どもたちにはたまらない夢の絵本だ。主人公の好奇あふれる目線が、むしたちの不思議の世界を愉快にとらえている。カブトムシやオオクワガタは、デパートなどで買うものだ、と思い込んでいる子どもたちにもぜひ読み聞かせたい。 「私たちが住んでいる地球は、人間だけのものではない。自然にはさまざまな生物がいるから安定している。昆虫の生命を無視することなく、仲良く共生していかなければならない」というレイチェル・カーソンの思想を思いおこさせてくれた。生物の多様性と環境学習の原点について、ちょっと立ち止まって考えてみたくなるヒントが多い。大人でも十分に楽しめる、お薦めの絵本である。 著者 タダ サトシ 小学館 刊 AB版32頁 定価 1,300円 + 税 ■『日本の生きもの図鑑』野外に出かけると、道端に咲く野草や森の樹木、野鳥の名前などが気になる。出会うたびにこの名前は、種類はなんだろうと思うのだが、だいたいは知らないことのほうが多い。 まして、昆虫になると正しい名前などは、ほとんど分からない。そんなとき、図鑑でもあればと思うのだが、何種類もの分厚いものをアウトドアに持ち出すのは大変だ。 この『日本の生きもの図鑑』は、街、里、山、水辺、海とフィールド別に「ふつうにみることができる」700種の野鳥、昆虫、樹木、花草、哺乳類、魚などがカラーイラストで解説され、分かりやすく一冊にまとめられている。また、漢字にはふりがながふられているので、子どもたちでも楽しめる図鑑である。全てに英文名が記されているのもうれしい。この一冊に紹介されている全ての名前がわかれば「生きものの博士」だそうだ。 監修 石戸 忠 今泉 忠明 講談社 刊 定価2,000円+税 ■『南極、行っちゃいました。〜極寒ほんわか日記』第48次南極観測隊4ヶ月間のブログ「山経験、技術なし、体力・・・自信なし。スポーツ紙女性記者の121日」をまとめたもの。南極について書かれたものは数多くあるが、著者ならではの「ちょっとゆるめ」の視点が大変面白く、共感をよぶ。昭和基地での隊員の研究や作業、そして日常生活の様子が、このゆるめの目線でとらえられ、南極を身近に感じる。南極大陸に初上陸し、マーキングするシーンなどには笑いを誘われた。 また、巻末の取材機材や衣類などの装備品一覧は、『南極越冬記』(西堀栄三郎著)の時代と比べると隔世の感がある。それでもともかく南極は、究極の自然体験と認識させられるお薦めの一冊である。 小林 千穂 著 日刊スポーツ出版社 刊 定価 1,575円(税込み) ■『冒険手帳』まえがきに「現代の文明がピンチにおちっているのは、一見「頭」の勝利があらゆる利便を提供してくれているようにみえて、そのじつひとりひとりの人間が自分の頭を使うことをまったくしなくなってきているからだ。この本で「冒険」とよぶのは、じつは「人間らしさ」をとりもどすことなのである。」とある本書は、1972年に書かれたものを加筆・修正して文庫本として再出版されたものだ。この時代、アウトドアという言葉は今日的な意味を持っては、まだ一般的には使われていなかった。 副題の「火のおこし方から、イカダの組み方まで」の基本技術は、いまでも変っていない。今日では、様々なアウトドア用品や素材が開発され、アウトドアでの技術をカバーしてくれるかに見えるが、野外での生活技術の基本は不変だと、あらためて考えさせられる、冒険のための教書である。 谷口 尚規 著 光文社刊「知恵の森文庫」 定価 724円 + 税 ■『インスタントラーメン発明王 安藤百福かく語りき』今年の1月にご逝去された、故安藤百福氏の語録である。安藤スポーツ・食文化振興財団の理事長として、自然体験活動の普及、振興という分野ではトム・ソーヤースクール企画コンテストをはじめ、数多くの支援活動を推進されてきた。もちろん、インスタントラーメンの発明者として、世界中でその名は知られている。この語録は、日清食品の役員、社員、OBから記憶に残る言葉を収集し編纂されたものであるが、自然体験活動の指導者にとっても、含蓄のある言葉が多数掲載されている。「ベンチャー精神とは、無から有を創造することである。」「子どものように、いつも『なぜ?』と疑問を発しなさい。」「いつも心の窓を開いておけ。するとほかの人には見えないものまで見えてくる。」・・・・・ 自然体験活動の指導者、教育の関係者には、ぜひ手にとっていただきたい語録である。 安藤 百福 著 中央公論社 刊 定価 1,200円 + 税 ■『BE-PAL』 NO.313 2007年7月号特集『子供たちに伝えたい 野外遊びの知恵とテク』 その昔、子供たちは父親から、あるいはガキ大将から自然や野外での遊びを教えてもらった。川遊び、虫取り、魚釣りなど、自然の中での多様な遊びと体験が、子供たちの生きる力を育んだ。自然体験活動が豊かに行われ、TVゲームなどがない時代であれば、声高に野外遊びなどと言う必要がないのだが・・・。 『野遊びパパなら頭に入れておいてください「データに見るニッポンの子供の遊び環境」』では、子供たちを取り巻く遊びの環境劣化に、愕然とする数値が紹介されている。 子供の自然体験の原点は親にある、と認識を新たにする一冊である。また、小特集の「ニッポンの低山は寄り道が楽しい!」は、身近な自然が楽しく発見できガイドとしてもお薦めだ。 小学館 刊 定価480円(税込み) ■『昆虫の食草・食樹』たとえば、「あこがれのチョウ・オオムラサキに会いたい!と思ったとき、あなたならどうしますか?」が本書のテーマだ。それには、憧れの、好きな昆虫が食べる植物を探しだせばいい。これが、食草・食樹を調べるということなのだそうだ。昆虫が好きな木はどこに生えて、どこにあって、いつ探せばいいかなど、観察者の目線に立って大変分かりやすく解説されたハンドブックである。本書は植物と昆虫の専門家が、それぞれの疑問をぶつけ合いながら書かれたもので、フィールドワークでは大いに役立つと思う。写真もきれいだ。 共著者のひとりである、林 将之氏は、この自然体験.comでもお馴染みのライターであり、氏のユニークな観察視点は本書でも随所にあらわれている。自然体験活動指導者や教育関係者にお薦めの一冊である。 森上 信夫・林 将之 著 文一総合出版 刊 定価1,200円 + 税 ■『素朴だけではない 田舎暮らしの馴染み方』団塊の世代のおよそ3割が田舎暮らしをしたい、半数が週末は自然指向という統計がある。この688万人の新たなライフスタイルの模索がはじまっているが、自然とともにあるライフスタイルは、長い時間をかけて醸成されるものであって、そうやすやすと手に入れることは出来ない。「自給自足の自然暮らし」、「自然の中で悠々人生」、「楽しい田舎暮らし」などというコピーが氾濫しているが、現実は決してそんな生やさしいものではない。 本書は中山間地域の自然的人間のスケールを「時速4キロの文化」、グローバル化が進む現代の都市文明を「時速50キロの文化」と定義して、田舎暮らしの実像を社会学的な視点で分析している。 著者は30年数年前、東京から長野県のスキーリゾートに移り住み、人目には羨ましくも見える山荘を経営しながら、森の中の生活を続けている。しかし、閑散期には「食べていく」ために、ときには肉体労働者として、まるで馬車馬のように働かねばならない厳しい現実がある。さらに、田舎という地域社会で、その土地のコミュニティに受け入れられることがいかに難しいかを指摘しながらも、都市との「人・もの・情報」を得るネットワークを構築することがポイントだと、「田舎暮らし予備軍」にメッセージを送っている。 また、訪れてくる一部の自然保護団体の「林業体験活動」などを、遊園地のような余暇レジャーだと厳しく批評し、富に増加している「自然愛好家」にも、その本質について疑問符を投げかけている。「田舎ブーム」への警鐘であり、自然体験活動指導者にも少々耳の痛いお薦め一冊である。 扇田 孝之(おおぎだ たかゆき)著 現代書館 刊 定価 1,800円 + 税 ■『ヤマケイJOY 秋 これぞニッポンの秋山』日本の紅葉は世界的に見ても特に美しいといわれる。とりわけ山稜部から山麓へと降りてくる紅葉の彩を見ると、この国の自然のすばらしさを実感する。本書は高く険しい山だけでなく、日帰りのハイキングコースや、ファミリーで歩ける紅葉の山々を「身近ないい山『トモダチ山』」として、やさしくガイドしている。また、「こどものやま」特集では、小さな子ども達を連れて山に出かけるためのコツや秘訣などが、子どもの目線や、家族の視点で解説しているところがユニークで参考になる。「山に対する子どもの好奇心を刺激する」などは、自然体験活動指導者が常に心がけておかなければならないキーワードだろう。 山と溪谷社 刊 定価990円(税込み) ■『スズメの少子化、カラスのいじめ』著者が日常生活の中で見る野鳥がいる風景を紹介しながら、専門家でもよくわかっていないスズメやカラスの生態と、彼らが存在する理由をわかりやすく解説している。スズメの寿命がわずか1年数ヶ月というのは驚きであり、一方で、都市化が進み空間が少なくなってきたなどの環境の変化が、スズメの少子化に繋がっているのではと警鐘を鳴らしている。また、カラスの賢さや学習能力は良く知られているところだが、「カラスを見分け、聞き分ける」ことで四季を知ったり、彼らと遊ぶことも出来ると「野鳥のプロ」ならではの視点が楽しい。子ども達にスズメやカラスの生態を面白く伝えられる読み物でもある。 そして、見たい鳥や出会いたい場面は限りがなく、出費もなく、老後は不安などころか楽しみでしかたがない、という著者のライフスタイルを、うらやましいと思う読者も多いのではないだろうか。 著者 安西 英明 ソフトバンク新書 刊 定価700円+消費税 ■『ヤマケイJOY 夏2006 北アルプスの歩き方大特集』「日本アルプス」と命名したのは、英国人の科学者ガラウンドだったが、現在でも外国人には、日本にはアルプスがあるじゃないかといわれる。韓国や台湾など東アジアの国々や米国、ヨーロッパなどからも登山者が増えているそうだ。登山は自然体験活動の基本であると思う。国土の7割近くが山岳丘陵地帯なので、山は必然的に自然体験活動のフィールドであり、登山は必須のプログラムとなる。夏のアルプス、特に北アルプスは登山者の間で人気があった。昭和30年〜40年代は多くの若者たちで登山道は大渋滞ができ、学校集団登山も盛んだった。だが昨今では、北アルプスも中高年者の独占された感がある。 この特集では計画の立て方や、装備、歩き方などのほか、家族や初心者でも楽しめる北アルプスの登山コースも紹介されている。3000m級の山々は、地上に比べて気温も10数度は低く、夏でも快適だ。1泊2日のコースや、立山室堂のお花畑散歩道なども紹介されていている。今年の夏休み、家族で北アルプス登山にチャレンジしてみてはいかがだろう。 山と溪谷社刊 定価1,100円(税込み) ■『フクロウの大研究』(小学中級以上)日本人にとって、フクロウは明治時代以前は、不吉な鳥とされていた。 しかし、現在では「福」に通じる鳥として、絵画や置物、アクセサリーにもなっている。また、学問や芸術のシンボルでもあり、知の象徴である。 世界で146種と数えられるフクロウの種類や生態、さらには人間の生活とのかかわりなどを、丹念な取材のもとに大変わかりやすく解説している。「羽音を立てないで飛ぶフクロウ」の飛行術が、世界でもっとも優れた列車といわれる「500系新幹線」の設計に生かせれているなど、興味深い逸話も多く、大人でもフクロウ世界に引き込まれる好著である。 国松 俊英 文・関口 シュン 絵 PHP研究所 刊 定価1,250円+税 ■『子どもの安全ハンドブック』子ども達の外遊び声は、いつの間にか途絶えてしまった。連れ去り事件や、誘拐事件、そして殺人事件などが多発し、子ども達を取り巻く環境はきわめて危険な状態になった。公園などでの一人遊びはもはや論外で、登下校でさえ保護者が同伴しないと危なくなった。この国はいつからこんな状態になったのか・・・。子どもの安全管理を真剣に考えなければならなくなった社会の病巣は根深い。 本書は、子ども達が危険に直面したり、あるいは回避するためのノウハウが分かりやすく解説されている。「ひとりで誰もいない家に帰るとき」「知らない人に声をかけられたら」「連れられそうになったら」など、目次を見るだけでリアルな現実が想起されるのが怖い。 もちろん犯罪だけでなく、生活の中で非行の芽を見つけたり、学校生活でのいじめや、教師のわいせつ行為への対処法など、シーン毎に細かく解説されている。さら日常生活での事故や事件に遭遇した場合にどう対応したらいいかなど、子どもの安全対策が網羅されている。このような図書が出版される社会は悲しいが、現実を直視し、いかに子ども達を守っていくかは、きわめて重要な私たちのミッションである。複雑な心情ではあるが、推薦させていただく一冊である。 森 健・岩崎大輔・子川 智 著 発行 且Rと溪谷社 刊 定価980円+消費税 ■『目で見る日本登山史』(別冊『日本登山史年表』) 山と溪谷社 編日本のアウトドアアクティビティのフィールドは、基本的に山岳地帯だ。国土の68%が山岳丘陵地という地勢的特徴から、「山」が必然的にアウトドアズの舞台である。そんなこともあって、日本の登山史を抜きに現在の登山はもちろん、野外活動や自然体験活動も語れないように思う。本書は江戸後期の宗教登山から現代の中高年の山登り、そして山の環境問題までを、数多くの写真を中心に、大変分かりやすく構成している歴史書である。また、10年近くの歳月をかけて制作された大作で、資料として手元においておきたい一冊として推薦したい。別冊の『日本登山史年表』は、本邦初の登山記録のデータベースとしても大変貴重である。 発行 且Rと溪谷社 定価7,800円+税(別冊 日本登山史年表セット) ■17年度版『農山村漁村体験の宿』 (財)都市農山漁村交流活性化機構 編田舎でゆっくりした時を過ごし、様々な農業や林業、あるいは漁業などの体験をする旅の形が、グリーンツーリズムである。子どもたちの自然体験活動だけでなく、07年問題などといわれる団塊の世代の、定年後のライフスタイルのひとつとして注目されている。本書は、田植え・稲刈り、キノコ狩り、山菜採り、ジャムづくり、ガラス工芸のほか、様々なアウトドアアクティビティができる、体験型宿泊施設のガイドブックである。民宿などを中心に、全国およそ450の施設のコンセプトと、体験可能なプログラムを紹介している。宿泊費は1泊2食付で、ほぼ7,000〜8,000円に設定されていてリーズナブルだ。家族の体験旅行にもおすすめである。 発行所 且Rと溪谷社 定価1,400円+税 ■『あなただからできる 自然災害ボランティアABC』(社)日本ネイチャーゲーム協会 編阪神淡路大震災で、「ボランティア」という言葉が、その意味を理解されて社会に定着した。地震や台風などの被害がでると「ボランティ募集」などいうのにも、何の違和感を持たなくなった。しかし、ボランティ活動をしたいと思っても、何を、どのようにしていいのかまだまだ分からないことが多い。本書は、自然体験活動の普及指導団体が著しているだけに、視点が大変ユニークだ。冒頭の「子ども達の遊び相手」になろうでは、とかく子どもたちに目が向かない災害地の状況を指摘し、ストレスが発散できるような遊びの指導をすすめている。また、災害発生のメカニズムの説明はもちろん、災害現場に向かうボランティアの装備やルールなども、実際の体験にもとづいて分かりやすく書かれている。子どもたちへの心理ケアなど、自然体験活動の指導者には、ぜひ読んでいただきたい一冊だ。 発行所 潟lイチャーゲーム研究所 定価1,575円(税込み) ■『365日信州野遊び宣言』 なべくら高原・森の家 編なべくら高原は長野県飯山市の北端にある。そこは国内でも名だたる豪雪地帯で、周辺部には農家が点在するだけで、名の知れた名所旧跡があるわけでなく、ましてスキー場やレジャー施設などが整った観光地ではない。1997年、そんな過疎の地域にグリーンツーリズムのさきがけとして「なべくら高原・森の家」が建てられた。全国からインストラクターを募り、地元の住民とともに農業体験、自然体験、アウトドアアクティビティまで様々なプログラムが創作された。過疎の地域にありながら、毎日、何がしかのプログラムが行われ、多くの参加者があるのは驚きである。いまや「新感覚の田舎のリゾート」をうたい文句に、全国的にも注目される存在になった。本書は、「なべくら高原・森の家」の遊びの教本であり、指導マニュアルでもある。けっして無理をせず自然と付き合いながら、土地の風土風習にあったプログラムづくりは、読み物としても面白い。 なべくら高原・森の家 http://www.iiyama-catv.ne.jp/~morinoie/ 信濃毎日新聞社 刊 定価 1,500円+消費税 ■『BE-PAL』7月号 特集 夏休みの遊び道具アウトドア用具つまり遊び道具は、カタログを見ているだけでも楽しい。機能優先につくられた遊び道具(アウトドアギア)には、フィールドを彷彿させるコンテンツや物語が凝縮されているように思う。虫取り網を手に入れただけで、虫の専門家になったような気分になることもある。この特集では、磯遊び道具、雑魚採集道具、鉱物発見道具など、それぞれ分野別に紹介されている。遊び道具から夏休みの自然体験を考えてみる、そんなアプローチがあるのかもしれない。他に、「川ガキ」が棲む清流ベスト10、正しい「川ガキ」の育て方、など興味深い特集が組まれている。 小学館刊 定価450円(税込み) ■『Walk 関西版 歩く』歩くことは運動の基本である。健康のためのウォーキングが静かなブームだ。しかし、ウォーキングは楽しくいなければならない。GWは家族で歩くっていうのは、いかがだろう。『Walk 関西版 歩く』は、関西圏の水辺を歩く特集で、醒井、武庫川、赤目四十八滝、滝谷四十八滝、布引の滝など、自然豊かなウォーキングコースが紹介されている。また、大河ドラマ「義経」の舞台となっている鞍馬、東山、福原、屋島などがウォーキングコースとしてガイドされているので、歴史ファンには便利な特集である。単なる観光からウォーキングに行動を少し変えるだけで、景観は随分と違って見えてくるものだ。 山と溪谷社 刊 定価 780円(税込み) ■『ハトの大研究』〜古代から人とともに生きてきた鳥〜公園や街かどでなにげなく見かけるハト。平和の象徴でもあるハト。糞害が社会問題になるハト。しかし、ハトの生態や人間とのかかわりについて、私たちはどれほど知っているのだろうか。国内には7種のハトが生息しそれぞれ固有の特徴がある。ナトリウムを補給するために毎日数十キロの距離を飛んで、海辺まで海水を飲みに来るアオバトの生態などは、公園で見るハトのイメージとは大きく異なる。 また、主に軍事通信の手段として利用されてきた、伝書鳩の歴史と役割についての記述は、通信とは何かをあらためて考えさせられる。伝書鳩はレースハトとして現在に受け継がれているが、帰巣率が激減しているという。ハトのもつ独自の帰巣本能が、携帯電話などの無線基地局によって影響を受け、方向感覚が狂ってしまったのではないかという著者の推察は、決して私たち人間にとっても無関係ではない。そして、日常の目線でハトを丹念に観察する著者の姿勢から、子どもたちはフィールドワークの必要性を学んでくれるだろう。 国松 俊英 著 PHP研究所刊 小学中級以上 定価1,250円(税別) ■『ソトコト』2005年4月号 特集「保存版ソトコト的元気NPO大百科」自然体験や野外活動の普及指導のために、非特定営利法人いわゆるNPO法人を設立する団体が増えている。NPO法人を設立する最大のメリットは、何といっても法人格を取得することによって社会的に認知され、資金面でもさまざまな優遇措置が受けられることだろう。そのため自然体験活動に限らず、多種多様なNPOが設立されている。本号は元気のでるNPO特集であり、環境保護、自然学校、福祉などの分野別に主なNPOが紹介されている。また、「今どきのいい男はみな、NPOに所属中!」などというコーナーもあって、多彩なNPOの活動が興味深く掲載されている。NPOで働いてみようと考えている人や、NPO法人の設立を計画中の方々には、大変参考になる特集である。 発行 木楽舎 定価800円 ■『ホールアース自然学校の今 年報』1982年にはじまったホールアース自然学校は、日本の自然学校の歴史でもある。 同校は、農作業を基本に、富士山の山麓で『生き方、暮らし方』を自然体験活動の理念にしてきた。その後、地域づくりや人材の育成などを行いながら、今日ではエコツーリズムや国際協力のリーディング校として、全国2000校はあるといわれる自然学校の旗手となっている。 同校では年間6万人以上の生徒が野外活動を体験するが、フィールドは富士山麓だけでなく国内外にひろがると同時に、国際協力活動としてバングラデシュなどにも積極的に支援を行っている。本年報は単なる活動報告書ではなく、自然学校や学校などの教育現場でも活用できる、同校の理念とノウハウが凝縮された教本でもある。 ホールアース自然学校編 非売品 お問い合わせ E-mail info@wens.gr.jp URL:http://wens.gr.jp ■『野外毒本』被害実例から知る日本の危険生物フィールドを野山と海に分け、“危険生物”について、被害の起こりやすい季節と時間帯、予防策、被害状況、そして、その対処方法などを、具体的な実例をあげて解説している。 ヘビ類、ハチ類、大型動物など野山の危険生物、食べてはいけない植物や花粉症や、かぶれの被害を与える野山の植物、海の危険な生物などが詳しく紹介され、“危険生物”の多さに驚かされる。しかしながら著者は、“危険生物”というのは、人間の一方的な定義であり、彼らには生きるべき存在意義があり、そこに人間が立ち入るから問題が起こると指摘し、大切なのは謙虚な気持ちで自然に入ること、と述べている。 自然体験活動や青少年活動の指導者、教師、アウトドアズマン、登山者、釣り人などには必読の、すぐに役に立つ『野外毒本』である。 羽根田 治 著 山と溪谷社 刊 定価 3,360円(税込み) ■3Dスカイトレック 白馬・黒部を飛ぶ』CD-ROMで楽しむ、動く3D立体画像ガイド。『白馬・黒部』などをエリアにした、北アルプス北部山域版である。好評の「槍・穂高・上高地」、「釼・立山・鹿島槍」に次ぐ第3弾。 この『白馬・黒部』版で北アルプスのほぼ全域が、鳥瞰できることになった。これらの3Dは、航空写真と標高データをもとに、3次元の立体画像として、パソコンでリアルの再現できるということで、大変注目されている。どの角度からでも、あるいは、任意の標高から風景をながめることができ、登山前のルート確認や、ガイドブックとしても利用できるのはもちろんだが、なんと言っても地形がリアルに理解できるのがいい。コンピュータグラフィックスではなく、実写に基づいた空撮映像をプログラム化しているので、かなりリアルだ。地理や地学の教材としても、活用できる。パソコン操作が苦手なお父さんでも、簡単に扱うことができ、パソコンの学習にもなる、お奨めのソフトである。 山と溪谷社 刊 定価 3,360円(税込み) ■『まさか!のときの生き残り塾』空き缶と新聞紙でご飯を炊く 30秒で焚き火をおこす 泥水をやかんで蒸留する 太陽熱で卵をゆでる レジ袋でジャガイモを育てる・・・ 身近な物を活用した様々な衣食住術や、救助方法が紹介されている。あえて写真を使わす、シンプルなイラストで解説されているので大変わかりやすい。災害時などのサバイバル技術として書かれているが、野外活動だけでなく、日常生活さらに、省エネ・リサイクルなど、環境保護意識の向上に役立つだろう。(大) 進士 徹 著 家の光協会 刊 定価1,365円(税込み) ■『3Dスカイトレック 釼・立山・鹿島槍を飛ぶ』北アルプス中部編CD-ROMで楽しむ、動く3D立体画像ガイドの第2弾。『釼・立山・鹿島槍』などをエリアにした、北アルプス中部山域版である。かつて登ったあの尾根、渓谷、そしてピーク。あるいは、憧れの岩峰、登ってみたい山々を、パソコン上で自由に鳥瞰することができる。CGではなく、実写に基づいた空撮映像をプログラム化しているので、かなりリアルである。3000mの峰々を、まるで遊覧飛行のように楽しめるほか、登山ルートや山名などの情報も画面上に表示されているので、ガイドブックとして利用することができる。学校での地理の教材や、パソコンの学習にも活用できるなど、用途は広い。 なお、6月下旬には白馬・黒部エリアの『北アルプス北部編』が発売される予定。 山と溪谷社 刊 定価 3,360円(税込み) ■『自然の仕事に就こう。』自然の中で働いてみたい。自然とかかわる仕事がしたい。こんな人たちが多くなってきた。また、リタイア後は、田舎で暮らしたいという人も、これから数多く出てきそうだ。 この本は副題に『大いなる自然とともに働き、新たな人生を見つける』とあるように、自然の仕事に就くための、講座ガイドブックである。自然といっても都会に近いところか、全くの山の中か、海の中か。資格は必要か、などが『森と山』『海』『大地』『空』『動物』『環境』『食べ物』別に、73職種がわかりやすく紹介されている。自分にあった仕事に就くための講座やスクール、あるいは体験教室なども、地域別に記述されているほか、仕事の内容が具体的に、収入や、どうすればその仕事に就くことができるか、なども紹介されている。 巻末には仕事別、エリア別の求人情報もあり、自然の仕事の広がりが、よく理解できる。 山と溪谷社 刊 定価980円(税込み) ■ヤマケイJOY増刊号『2004山のウェアの選び方』山登りやアウトドアのウェアは、ハイテク素材がいまや常識である。汗を吸収する、通気性がいい、速乾性に優れている、・・・・などというのは、当たり前になった。汗で発熱するという、不思議なアンダーウェアは、この冬、ちょっとしたブームにもなった。 特に山登りでは、ヒヤーッとする不快な思いに悩まされてきたが、ひどい汗をかいても、さらーっとした肌触りの、アンダーウェアも売り出されている。 アンダーウェアだけでなく、レインウェアも高機能だ。一昔前は、雨より汗で濡れることが多かった。また、ハイテクレインウェアは、機能が優れていたが、高価なのが難点だった。しかし、同等以上の機能をもちながら、1万円そこそこのレインウェアが登場するなど、進化が著しい。 しかし、あまりにもあまりにも種類やブランドが多く、どれを選べばいいのかわからないのも悩ましい。この『2004山のウェアの選び方』は、そんな快適・快感ウェアの選び方が、詳しく紹介されている。また、メンテナンスや洗濯の方法なども記されているので、大変参考になる。 山と溪谷社 刊 定価990円(税込み) ■『葉で見分ける樹木』この自然体験ドットコムの連載でも大変好評だった、林 将之さんの待望のフィールドガイドが出版された。 本書は葉で木の名前を調べる、ポケットサイズの検索図鑑である。身近な公園や森で見られる350種が、わかりやすく紹介されている。とかく難しい専門用語の漢字にも、ルビがふってあるのがうれしい。 『従来の樹木図鑑では、初心者が木の名前を調べることはできなかった・・・私はこう言い切っても間違いではないと思っています。』と著者が述べているとおり、樹木の名前を覚えたり、見分けるのは難しい。素人は、幹や枝を見て名前を当てようとするので、なおさら見分けがつかなくなり、ついつい諦めてしまうのだ。「葉で木の名がわかる」というのは、もっとも手頃な自然へのアプローチのひとつだろう。 詳しくは、http://www.ne.jp/asahi/blue/woods/book.html 林 将之 著小学館 刊 定価 1,838円(税込み) ■『エベレストから百名山へ』〜ヒマラヤから教わったこと〜日本を代表する登山家、重廣恒夫氏の登山記録である。サラリーマンである氏は、入社したその年のクリスマス会で、社長に将来の夢を聞かれ「ヒマラヤへ行くこと」とこたえた。社長の「がんばりなさい」というひとことで、「これはしめた」と思ったそうだ。そこから、エベレストやK2をはじめ、数多くのヒマラヤ登山がはじまった。氏の実践したヒマラヤの登山戦術や準備の過程が、それぞれの時代を映しだしながら綴られている。 123日で登りきった、日本百名山の一筆書き連続登山には、なぜ、ひとは山に登るかという情景が見えてくる。 重廣 恒夫 著 光文社新書 刊 定価820円 + 税 ■『姉崎一馬の新自然教室』山形県の朝日連峰山麓で、植物写真家姉崎一馬氏が主宰する、「わらだやしき自然教室」を舞台にした、ユニークな自然教室のテキストである。ブナ林や田畑で、さまざまな活動に参加する子ども達の姿が、生き生きと綴られていて、読み物としても面白い。 いまどきの子どもたちの自己紹介、ホームシックと特効薬、珍メニュー「バナナ・キムチ」など、指導者や若いお父さんやお母さんにも、ぜひ読んでいただきたい一冊である。 『「自然教室」に参加する子どもを見ていると、だんだん野性的な子どもが少なくなってきたことに気づく・・・・中略・・・・それでも「わらだやしき自然教室」には、この絶滅危惧種の元気の塊のような子どもが出現する。』とある。いまや自然教室は、絶滅危惧種再生活動なのかもしれない。 あねざきかずま 山と溪谷社 刊 定価 1,600円 + 税 ■日本スキー教程『スキーへの誘い』 全日本スキー連盟 編集「スキーはすべての人のために」をコンセプトにした、スキー教本。小学生の女の子、ワールドカップレーサー、スキー教師、100歳を間近にひかえた、三浦敬三さん、などの滑りを紹介しながら、スキーはだれでも、年齢や性別に関係なく、技術に関係なく、楽しめるスポーツだ、とといている。 子ども達や、若者達のスキー離れがすすむ中で、スキーの技術だけではなく、スキーがいかに楽しいか、どう楽しめばいいのかがわかりやすく記述されている。難しい漢字にはルビもふられているので、子ども達も読みやすい。 スキーをしたことがない人に、スキーをしばらくしていない人にお届けする、『スキーへの招待状』と帯にある。女優吉永小百合さんのエッセイや、スキーの切手、オリンピックのポスターなどの項目もあり、スキーの世界を親しみやすく紹介している。 スキージャーナル 刊 定価1,800円 + 税 ■BE-PAL 10月号 特集『地震に備える』9月26日早朝、北海道で大きな地震が発生した。震度6以上の地震だった。日本列島は活断層の上にあることを、あらためて認識させられる。アウトドア用品が地震対策に役に立つことは、阪神淡路大地震で理解された。しかし、時がたつと、ついつい忘れがちである。必読特集として組まれた、今回の記事は、まさに時宜をえた、というのだろう。 最近のアウトドア用品は、高品質である。コンパクト、軽量、高機能がコンセプトであり、新素材が多用されている。テーマは「家族と自分と隣人を守るためにアウトドアの知識と道具を生かす!」とある。アウトドアズと自然体験は、サバイバルと表裏一体である。いまこそ、備えのために読んでみたい特集である。 小学館 刊 定価430円(本体410円) ■『無酸素登頂8000m14座への挑戦』〜スーパークライマー小西浩文の愛と墓標〜この自然体験.COMで連載中の登山家小西浩文さんの、無酸素によるヒマラヤ8,000m峰全14座完全登頂をめざすノンフィクション作品。なぜ、小西さんは無酸素にこだわり、14座完全登頂を目指すのか。「神に選ばれた者」にのみ許された行為なのか。最強の登山家の「生と死の」極限世界が、ノンフィクション作家によって、鮮やかに表現されている。 自然体験活動の指導者には、ぜひ読んでいただきたい、一冊である。 長尾 三郎 著 講談社 刊 定価1,800円+税 ■3Dスカイトレック『槍・穂高・上高地を飛ぶ』まったく新しいガイドブックが出た。航空写真の実写映像を、3次元の立体映像で山々を再現したCD-ROM。まるで鳥のように、北アルプスの槍ヶ岳や穂高岳など、を自由自在に高度や角度、さらにはスピードを変えて飛ぶことができる。登ったコースを空からトレースしたり、登りたいルートを確認するのにも役に立つ。もちろん地形や地勢などを立体的に学習することも可能で、使う人や目的によって用途は広がる。パソコンとこのCD-ROMで、ダイナミックな映像がリアルに再現でき、これまでの地形図にはない楽しさを味合うことができる。 なお、http://www.yamakei.co.jp/dsn/index.htmから体験版のダウンロードが可能となっている。 山と溪谷社 刊 定価3,200円+税 ■ドキュメント気象遭難アウトドア、特に山で起こる大きな事故の大半は、急激な気象の変化によるものだ。書名のとおりこれは、『気象遭難』といわれている。天候の急激な変化が、事故の原因だとされる7例の山岳遭難を詳細に検証しながら、その対策と危機管理を述べている。これからの季節は、とくに落雷の危険が大きい。検証事例は山岳遭難が中心となっているが、国内の自然体験フィールドの大半が山岳地だけに、リスクをいかに回避するか、指導者にはぜひ読んでいただきたいドキュメントである。「『これぐらいの天気なら』と判断して行動を続けていると、必ずどこかで一線を越えてしまうとことがある」と、警鐘を鳴らしている。 羽根田 治 著 山と溪谷社 刊 定価1600円 + 税 ■『ソトコト 7月号 通巻49号』〜夏休み、エコ体験ツアー100選〜 スローライフ&エコ・トラベル宣言として、「海流の中の日本再発見の旅100特集」が組まれている。カテゴリー別に、グリーンツーリズムとして「第1次産業を体験する旅」、ネイチャーツーリズムの「自然の中にある真実を探す旅」、そしてアドベンチャーツーリズムの「冒険・探検の旅」が、紹介されている。夏休みの計画の参考になる旅やツアーが、思いのほか沢山ある。 木楽舎 刊 定価600円(税込み) ■『自然の暮らしがわかる本』 自然志向で「田舎暮らし」やスローライフがブームだ。そんな中で。自然が豊な田舎で、どう暮らしていけばいいかというマニュアル本である。『田舎暮らしとは、田舎や山の中ですむということだけでなく、自然のサイクルに沿って暮らすことである』という著者の、『自給自足の知恵と暮らし方』が体験的に詳しく記述されている。農家の補修、井戸水のこと、トイレと排水の問題など、生活周りのことがわかりやすく解説されている。『農と自給の楽しみ』では、肥料、堆肥のことはもちろん、鶏やミツバチの飼い方も記述され、田舎での暮らし方の一端が理解できる。『収穫と食品加工』の章には、手作りパンや、蕎麦打ちの方法なども紹介されている。そして、『里山での遊び方』は、自然体験活動に、すぐにでも利用できるテキストにもなる。 新田 穂高・城ノ内 まつ子 共著 山と溪谷社 刊 定価1600円 + 税 ■『子どもたちには危険がいっぱい』学校教育の現場では『生きる力』をどう育むかが課題となり、そのために、自然体験活動が推奨されている。しかし、自然体験にはつねに危険がともなう。危険だから行なわないのではなく、その危険をいかに回避し、対処するかが子どもたちにとって必要な学習だと著者は指摘している。さらに『生きる力』の育成は学校だけでなく、家庭も含めた社会全体で取り組むことが重要であり、事故を怖がって避けるのではなく、野外に潜む危険をいかに冷静に分析し、どう向き合うかという視点が必要だとしている。具体的な学校内の事故や、野外における様々な事故、山岳遭難などの事例を検証しながら「計画と発想を問い直し」ている。 村越 真 著 山と溪谷社 刊 261P 定価1,600円 + 税 ■『星野道夫物語』1996年8月、カムチャッカ半島でヒグマに襲われ命を絶った、伝説の動物写真家「星野道夫」の物語である。大学時代は探検部に入り、北海道や琵琶湖で熱気球を飛ばすなど、好奇心に満ち溢れた星野は、アラスカで大自然と野生動物に魅せられる。動物写真家田中光常氏に師事し、写真の技術だけでなく野生生物とどう向き合うのか、動物写真をどう考えるのかを学ぶ。その後、アラスカ大学で野生動物管理学を専攻し、アラスカの大地に根をおろし、エネルギッシュに夢を追い続けた、若き日の「星野道夫」のノンフィクション。著者は星野の冒険心と行動力について、こう書いている。『多くの人々は、こうした探検をやってみたいという気持ちをいだいたことがあるに違いない。けれどだれもが思うだけで実現できずに大人になって、都会の生活に流されてしまっている。星野は私たちのできなかった夢を実現して、アラスカの大自然の旅を続けていた。』と。 国松 俊英(くにまつ としひで)著 ポプラ社 刊 定価 1400円 + 税 ■『どんぐり校長の自然塾』この自然体験.COMで、「私の実践している自然体験活動」を連載中の渋谷区立中幡小学校校長杉原先生の書き下ろしエッセイ。いまや名物校長となった著者の教育と自然体験学習へのフィロソフィーが、小学校の教育現場から厳しく、時にはやさしく語りかけるように書かれている。 ドングリを校長室で発芽させ、その苗を伊那谷のアルプス山麓に植えて森を作ろうという、子どもたちが地球規模で参加できるスケールの大きな環境教育を、様々な障害を乗り越えて実践した著者の熱い思いが語られている。 また、現在の教育界がかかえる問題を提起し、「公立学校が危ない」と警鐘を鳴らしながら「校長」や「教師」のあり方について、自伝的メッセージを送っている。 教師や指導者にはぜひ読んでいただきたい一冊である。 杉原 五雄 著山と溪谷社 刊 定価 1400円 + 税 ■『海の楽校』『川の楽校』『森の楽校』 「自然と遊ぼう」をテーマに、野外で大人から子どもまでが体験できるヒントが満載された、フィード別マニュアル。環境学習や自然体験学習のためにも、あるいは大人が子どもと遊びためのガイドブックとしても推薦したい。 ![]() 『海の楽校』は、海と友だちになろうがコンセプト。海の不思議を知るための子どもと大人のための入門書。泳ぐだけが海遊びではなく、海と話をしようからはじまる。海と友だちになれば。海が好きになる。海が好きになれば、海のことがわかってくる。生物のこと、植物のこと、遊び方、大人たちへのアドバイスまで、写真入でやさしく解説している。ビーチでビンゴ、潮だまりの遊び、岩場の探検など楽しそうなプログラムも紹介されている。 不思議な海のことが見えてくる一冊。 長谷川 孝一 著 山と溪谷社 刊 定価 1,600円 + 税 『川の楽校』は「川は危なくないの」「川で泳げるの」という疑問からはじまっている。 立松和平さんのいう、絶滅危惧種「カワガキ」について、遊ぶ親が「川ガキ」を育てると書いている。『川の楽校』も、川と友だちになろうがコンセプトだ。川に行けば面白いことがいっぱいある。面白いことが発見できれば、川はすぐに親しい友だちになる。そのためには、川で安全に遊ぶためのパスポートが必要だと、著者は述べている。本書はまさに川遊びのパスポートだ。川の生き物、釣の方法、遊び方、料理など川で学ぶ方法が楽しく紹介されていて、大人が読んでも大変参考になる。 皆川 哲 著 山と溪谷社 刊 定価 1,600円 + 税 『森の楽校』は森の不思議を知るための入門書。「森ってどんなところ」という素朴な疑問にはじまり「森にはどんな木があるの」から「アニマルトウォッチング」まで、『森と友だちになろう』という視点で、大変わかりやすく解説されている。森で遊び、学ぶためのノウハウと、指導者や大人たちへのアドバイスも記述されている。知っているようで、実は知らないことが多いのが森のこと。この『森の楽校』一冊で、自宅近くの森や鎮守の森でも、新しい発見ができることだろう。「森での冒険」などは、ファミリーキャンプでも取り入れてみたいプログラムだ。 小林 毅 著 山と溪谷社 刊 定価 1,600円 + 税 ■「自然の実りがわかる本」いま、都会では家庭菜園がさかんだ。庭や市民農園で、農薬を極力使わず、旬の野菜などを食べようとする人たちが増えている。子どもたちにとっては、野菜や果物を栽培し収穫し、そして食べるプロセスは、最良の自然体験である。サブタイトルは、完全有機農法で育てる菜園作づくりの12ヶ月となっており、「菜園をデザインする」からはじまり、3月から月ごとにどんな野菜を、どのように植えればいいか、詳しく記述されている。 また、栽培の難易度は☆印で示され、適期、適量、連作の可否、前作の種類なども記載されているので、入門者には大変わかりやすい。さらに、料理の方法や食べ方などもわかりやすく書かれている。4月は「桜の花の塩漬けのつくりかた」だ。ちなみに、家庭菜園でも20種類以上の野菜がとれるそうだ。 新田 穂高、城ノ内 まつ子、中村 顕冶 共著 山と溪谷社 刊 定価1600円+税 ■「人気のB&Bの宿300」海外に出かけると、B&Bの宿が多い。B&Bとはベッドと朝食つきの宿のことで、夕食はついていない。したがって、比較的リーズナブルに宿泊することができる。これだと、夕食は外で好きなところでとったり、コンビニなどで買うことによって、少ない予算でも旅ができる。宿に泊まればお仕着せの料理を、選択の余地なく、食べなければならなかったし、時間にも縛られがちだった。これまで国内のB&Bの宿は、非常に少なかった。しかし、旅のニーズの多様化で、B&Bの宿にも人気が出てきた。そこで登場したのが、『B&Bの宿300』だ。300ではまだまだ少ないが、5,000円台からの宿が結構あって、家族連れの自然体験や旅行にも利用できそうだ。 山と溪谷社 刊 定価1,500円 +税 ■「実践・自然学校運営マニュアル」-国際自然大学校20年の極意国内屈指の自然学校として知られる国際自然大学校が、創立20周年をむかえ、その経験を集大成して製作した「自然学校運営マニュアル」。 組織の運営方法はもちろん、事業計画のノウハウ、安全管理、収支計算書、請求書の書き方、業務委託書の見本、スタッフの出勤簿など、自然学校経営のすべてが仔細に記述されている。また、NPO法人の同学校の定款なども附則されているので、資料としても活用できる。 佐藤 初雄、桜井 義維英 共著 山と溪谷社 刊 \1,400+税 ■CONE HAND BOOK『自然体験活動指導者手帳』自然体験活動推進協議会(CONE)編集した、指導者のための教本。自然体験活動とは何か、その理念などなどから、歴史、安全対策や保険の加入の仕方、指導法まで分かりやすく解説されている。自然体験指導者や、これから指導を目指す人には必携のハンドブックだ。すぐに役に立つ、待望の指導者教程。 山と溪谷社刊 定価667円+消費税 ■「グリーン・トラベラー」Vol.1 ネイチャーライターの堀内一秀さんが中心になって創刊した、エコツーリズムの専門誌。21世紀のキーワードは「環境」であり、旅の環境を考えたとき、名所旧跡めぐりでもない、リゾートでもない、もっと主体的に問われる旅の時間がある。そんな旅の情報を届けたいというの、が創刊の趣旨。創刊号は世界最初の国立公園であるイエローストーンが、バックパックキングによるエコツアー視点で、特集されている。また、全国体験民宿のリストも掲載されていて、データとして貴重である。(有)アドヴェント発行・編集 〒222-0023 横浜市港北区仲手原1-18-46 申し込み先 http://www.eco-travel.ne.jp ■「自然体験活動指導者評価ハンドブック」〜知を知って、自ら育てる〜 自然体験活動が活発になるにつれ、指導者の質と指導の内容をどう評価するかが大きな課題となってくる。そのために制作されたのが本書。このハンドブックの目的は、指導者に求められる成果や役割・技能を明らかにし、指導者の育成が効果的に行われることだ。自然学校で実際に行われている事例を紹介しながら、指導者の育成プログラム、評価の方法やそこで働くスタッフの給与査定の評価表なども例示されている。自然学校、自治体、学校の先生にも、具体的にすぐに役に立つハンドブックだ。 なお、本書は市販されていないので、下記まで申し込むこと。 自然体験活動推進協議会 定価500円(税・送料別) 東京都新宿区新宿5-7-8-6F TEL.03-5363-2501 FAX.03-5363-2502 E-MAIL:info@cone.ne.jp URL:http://www.cone.ne.jp ■「なんで山登るねん」、続「なんで山登るねん」、続々「なんで山登るねん」 著者 高田 直樹 河出書房 刊 定価 正編 ¥750(税別) 続、続々編 各 ¥800(税別) 「人はなぜ山に登るか」かという山屋種族の悶々とした疑問に、けっして大上段に論説を試みたものではない。京都語で自伝的登山論を、はんなりと記述しているが、そこには人を愛し、後輩達や教え子を「山」というフィールドで指導してきた、教育者としての著者の顔がある。旺盛な好奇心で、山登りや人と自然の関係を多層的にとらえた本書は、自然体験活動の原典として読まれても不思議ではない。「自然体験学習」とは何かという本質論が随所に述べられていて、例えば『山は自由の感覚の学校』であり、『山登りは創造的活動なんや』は、まさにいま総合学習の中で、子どもたちに求められている教育そのものである。 ヒマラヤやチベットへの登山隊を幾度となく指揮し、BMW1100Rのバイクを乗りまわし、オーディオに凝り、高校の教師を辞めたあとは、気がつけばパソコンの権威になっていた。そして、還暦を経てもG4を携え、世界を駆け巡る著者の「なんで山登るねん」は、際限のない好奇心とともにいまも続いている。本書は山と溪谷社から出版され、ベストセラーとなった同名本シリーズの文庫版。 ![]() ■『森の中の小さな旅 日本の森 ガイド50選』 山と溪谷社 刊 定価1,500円(税別)日本の国土のおよそ70%は山岳地帯である。そして、その山麓や中腹には、開発され森が失われようとしている中で、少なくなったとはいえ巨樹巨木の森が残されている。本書は「こころ安らぐいやしの場」として、NHK-BS2で放映された『日本の森』のすべてをまとめたもの。知っているようで、案外知らなかった身近な森へのガイドも記述されている。 なお、同名のビデオも発売されている。全10巻・各巻定価3,000円(税別) ■『子供に伝える野外生活術』 広瀬 敏通 著 地球丸 刊 \1,000(税別)野外活動やアウトドアに関する技術書は数多く出版されているが、本書は年間6万人もの子どもたちや学生に、毎日のように「野外活動」を指導している「現場の実践的経験」に裏打ちされた、野外生活術のテキストである。日本の自然学校のパイオニアでもある著者の、自然に対する哲学や思想といったものが、遊び方から技術、道具の選び方にまで貫かれていて明快である。 「自然と遊ぶ」「動物とつきあう」「食べるとは」・・・こんな流れで、目次が構成され、書名の「野外生活技術」は、そのあとで登場する。つまり自然と遊ぶこと、接触することが重要であり、技術はその先である。とかく、道具や技術に走りがちなこの国の野外活動やアウトドアズとはスタンスが違う。それは著者が「自然とのつきあいかたが、どうしてこんなにヘタクソになってしまったのか。知らない相手と上手につきあうことは難しい。現代人は、昔より遥かに豊富な情報に囲まれているにもかかわらず、自然を理解できなくなってきている。実体験が消えていることが原因のひとつだ。子供は体で得られる新鮮な感覚で自然と出会う。余分な情報などいらない。」と述べていることでも示されている。 指導者の言葉で書かれているので、大変読みやすく分かりやすい。自然体験活動の指導者や学校の先生、それに、もちろんお父さんお母さんも、野外活動のための必読のバイブルとして推薦したい。 ■『自然体験・野外活動ガイド2002』 山と溪谷社 刊 \980(税込み)「環境の世紀といわれる21世紀。学校の週休2日制、自然共生型社会への回帰など、今あらためて自然体験が見なおされている。人が生かされ、生き生きと輝く場所・・・」(本書より)そんな自然体験のフィールドや自然学校などが、関東甲信越、中部、関西地域毎に紹介されている。施設名、可能な体験プログラム、場所、URLなども掲載されているので、大変便利だ。場所選び、プログラムを考える上で参考になるだろう。 ■『ソトコト』8月号 特集:森の学校、ドイツの環境教育 木楽舎 刊 定価600円 ドイツといえば、その徹底した資源のリサイクルと環境保護で知られる。 そのドイツの「環境教育」特集した本号は、自然の中で学をテーマに子どもたちに対して行われている環境教育の現場を入念に取材している。ドイツは環境先進国だが、牛は紫色をしていると思いこんでいる子どもたちが多いという、驚きから環境教育がはじまる。 とくに、体験学習の場として利用されている森の学校や、環境センター、学校農園などの紹介は興味深い。また、学校で実践する環境監査のプログラム「教室の温度調査」「学用品のエコ度チェック」「水の使用量調査」などは、日本の教育現場や自然学校などもすぐに応用できそうだ。さらに環境団体の環境教育の具体例も詳しくレポートされている。ドイツの環境教育を分かりやすく特集されている本号は、おすすめの一冊。 ■『ヤマケイ関西 京都北山・比良山』 山と溪谷社 刊 定価1300円 京都市街から北に広がる山地を「京都北山」という。京都北山の定義は人によって違うが、京都の登山家の間では丹波山地から日本海までの広大な地域をそう呼んだ。 「京都北山からヒマラヤへ」という言葉がキーワードであり、今西錦司や西堀栄三郎など日本を代表する数多くの探検家や登山家を輩出した。若者たちはパイオニアワークを京都北山で学習し、それが僻地の探検やヒマラヤなどの高峰登山につながった。 戦後の高度成長期には、京都北山で多くの若者や学生たちが汗を流しながら、広大なフィールドでまさに自然体験を行った。京都北山はフィールドワークを実践する格好の場であった。だから北山は京都の登山家の間には独特の思い入れがある。 そんな京都北山を多彩な角度から特集したのが『ヤマケイ関西・京都北山、比良山』だ。 京都北山の豊富なコンテンツが一挙に読める本書は貴重である。歩き方ガイドから登山史、博物誌まで詳しく記載されている。資料としても価値ある一冊だ。 ■「自然学校をつくろう〜あなたも自然体験活動のリーダーになれる」 岡島 成行著 山と溪谷社刊 定価1,200円(税別) 環境ジャーナリストで、このサイトの制作委員でもある著者が、なぜいま自然学校が必要かというテーマを、現場や生活者の目線でわかりやすく解説した必読の一冊。 『自然学校を全国に作る作業は、過疎地域の振興策であり、都市住民の福祉につながる。また、自然学校システムを確立するための基盤整備は新たな公共事業として位置づけられるし、旅行観光業、飲料、食料メーカー、アウトドアメーカーなど、各種業界が総合作用を起こす形で新規マーケットの創設にもなる。 そしてなによりも、多くの人々が自然学校を利用するようになれば、走りすぎる時代の中で、一歩立ち止まって考える人がふえ、世の中は落ち着いた明るさに包まれるようになるにちがいない。 みんなで自然学校をつくりましょう。だれでもすぐに自然体験のリーダーになれますよ。』(まえがきより) この本は日本環境教育フォーラムのサイトで購入ができます。 ■BE-PAL BOOKS「親と子の週末48時間」 九里 徳泰 著 小学館刊 定価1,200円(税別) 総合学習と完全学校週5日制の導入は余暇時間が大幅に増加するとともに、家庭での教育がいっそう重要視される。この著は文部科学省の新学習指導要領にそった自然体験教育入門書。1年間の毎週末に何をすればいいのか、日本を代表する冒険家であり、1児の父親であるもある著者が父親の復権への一助になればと願いをこめた家庭教育書でもある。 ■「野外教育入門」 星野 敏男・川島 直・平野 吉直・佐藤 初雄 編著 小学館刊 定価1,980円 税込 日本を代表する自然体験活動の指導者が「やさしくわかる自然体験活動」をコンセプトに、自然の中で体験する指導法、プログラムのたてかた、リスクマネージメントなどさまざまな問題や、指導者の疑問200にわかりやすく応える、指導者のためのバイブル。巻末のデータ集や年表は、わが国の野外活動の実態をしるうえで大変役に立つ。 |