− 第750回 −  筆者 中村 達


『秋の連休ハイキング』

 スポーツの日の連休に、信州の山を歩いてきた。10日前の天気予報では晴れだった。それが、日が近づくにつれ、雲いきがあやしくなった。これまでの経験では、この時期3,000mでは降雪があるのがふつうだ。
 2,000mあたりでは氷点下になったり、薄らと雪が積もったりしたことも希だが経験した。晴れていれば紅葉が素晴らしいし、フリースやセーターで行動できることもある。しかし、曇ったり小雨でも降ると急激に気温が下がり、ダウンやパーカーなどを着込むことになる。
 今年のように酷暑の夏が9月まで続くような状態では、寒さに身体が適応仕切れず、より寒さを感じる人も多いのではないか。

 さて当日、空には雲が広がっていたが、少なくとも午前中は雨は降らないだろうと判断した。ただ、天候は間違いなく下り傾向だ。高気圧が東に移動し、寒冷前線が近づいている。風も出てくるだろう。標高が高くなると天気の変化が早いので予断は許さない。
 そこで登山ガイドとも相談して、コースを変更しショートカットすることにした。この日の参加者は15名で、年齢も千差万別なので、まずは安全を最優先に考える必要があった。当然のことだが。

 今回の目的のルートは、晴れていれば北アルプスの山々が眺望できる人気のあるコースだ。特に危険な箇所や急峻な登降も少ないハイキングコースだが、秋が深まるこの時期は、お天気に慎重な対応が求められる。見晴らしが良いコースだけに、遮蔽物も少ないので風を避けることが難しい。だから、常に観天望気をし、気圧の変化に注意する必要がある。

 コースをショートカットしたが、雪をかぶった穂高連峰や槍ヶ岳などを眺望することができた。そして予定より1時間ほど早く目的地に着いた。
 ゆっくりお湯を沸かしてコーヒータイムもとることができた。帰路、迎えのバスに乗り込み、しばらく走ると雨が降ってきた。


(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問など。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員