第73回「台湾商談会」② 著者 村田 浩道


 さて、翌日は正午に会場入りのために台北市内へ向かった。会場は台湾でも老舗のホテルで、なかなかの高級感があるホテルだ。私は今回も僧侶の身分をフル活用しようと、コスプレ(法衣の別称(笑))を持参して乗り込んでいる。早速着替えて皆さんの反応を伺うが、反応薄いやん・・・。まぁ、まだ日本の皆さんしかいないからしょうがないなと席について通訳さんの到着を待つ。

 台湾はもちろん中国語が母国語である。大学時代、第2外国語は中国語だった。大人になって何度も同じ後悔をしているが、やっぱり勉強はちゃんとしておくべきである。
 通訳さんと合流して、商談会が始まったものの、一向に現地の旅行者の人が来ない。状況を確認すると、どうやら外は大雨で交通機関が大幅に遅れてしまっているらしい。予定を1時間以上もまわってようやく多くの現地事業者がやってきた。限られた時間で20社以上の事業者とお話させていただいたが、体験コンテンツにはみな一様に興味が大きい。
 宿泊場所と食事は当然のことだが、そこでどんな事ができるのかが集客の決め手でもあることは間違いない。しかも、日本の自然と文化へも関心度合いは格別に大きい。同じアジア圏ではあるが日本の自然環境と、その中で醸成された民俗文化には非常に興味は高い。その中で【ロングトレイル】とは移動の基本である【歩く】という舞台であり、その国の自然と歴史文化はトレイルを歩くことで多くを感じることができ、時間をかけてその国を知ることで、その経験は忘れられない価値の高いものになると、商談をとおして改めて感じた。

 翌日は1日時間を取って台湾の街と自然の中を歩き、日本統治下の歴史や民俗文化を感じることにした。スピードによって感じるものや体験価値は全く変わってくる。私たち人間は歩くスピードで体験することが一番心地よく感じるんだと実感した今回の台湾であった。



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■著者紹介

村田 浩道(むらた ひろみち)
日本山岳ガイド協会認定ガイド、トレイルコーディネーター
NPO法人日本ロングトレイル協会理事・事務局長、NPO法人高島トレイルクラブ理事ほか。
高島トレイルをはじめ、全国のトレイル活性化事業にたずさわり、ロングトレイルとビジネスをテーマに活動している。また、禅宗僧侶として、禅と登山についての考察も日々おこなっている。