2008年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。
NO | 学校・団体名 | 都道府県 | 企画の概要 |
47 |
広島県山岳連盟 |
広島県 |
「わんぱく登山部」
山登りや沢登りを通して、子どもたちに「楽しい」「好き」といった気持ちの原体験を提供する。同時に登山の活性化や「山行中の屎尿の持ち帰り」を広報し、社会に提言する活動もおこなう。 |
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「わんぱく登山部」 大きな山に登ってみよう! [9/6]
日 時:
場 所:
参加者:
2008年9月6日(土) 曇り時々雨
広島県庄原市比和町
部員14名(小学校4~6年生 男子7名、女子7名)、スタッフ5名
<活動のねらい>
・大きくて深い山に登る楽しさ
・クーリングダウンと班内の再構築
<活動内容>
「ハイキング」 広島ベスト20選の山として挙げられる福田頭は
ふもとの里の人々に愛され、適度に整備されながら
そのままの自然を見事に残している。
広島の登山愛好者に人気の里山だ。
不安定な天気で、周りには雲も多く、お昼前には少し雨も。
きのこ狩りも白熱しながらしっとりぬれた懐深い山を楽しんだ。
最近よく雨がふるので きのこの収穫を期待して入山!
沢山はなかったけれど、
直径20cmくらいのホットケーキのようなシイタケを発見!!
タマゴタケやハナビラニカワタケも。
その他、いろんな木の実を大人の人に教えてもらって、その味に喜んだり顔をしかめたり・・・。
ヤマボウシの実は「マンゴーみたい!」と女の子に好評でした。
<タイムスケジュール>
07:30 横川出発
09:40 登山口着・出発
11:30 大波の峠
15:00 下山
15:30 現地出発
17:45 横川駅到着
<運営ポイント>
・ゆるゆるハイキング。きのこの時期なので、キノコ狩りも楽しみながら。
・大人おすすめ!の大きな山をインフォメーション。期待やイメージもふくらませて。
・攻撃的な言動が目立つこどもや、気になる行動のこどもについて、個別に丁寧に接して。
<こども達の様子>
とてもたくましい。自分達でよく遊ぶ。
結構大きなやまだったけれど、けろっと登って降りちゃった、という感じである。
山頂が特に広場になっているわけではなかったので、おにごっこなどで走り回る機会もなく
降りてきてからもまだ遊び足りないという感じ。
今回は入山と下山口が違うルートをとったので、
登山口でこどもを下ろした後、車を下山口に回し 車道4キロをスタッフ1名が走って追いついたのだが
それを聞くとこどもが「おれも走ってみたい!」と言う。
一人が走り出すと、次から次へと「僕も!」「私も!」と走り出し
4名残してほぼ全員が「登山口まで走って降りよう大会」に参加してしまった。
先月のキャンプを経て、班の中で互いの認知が良く出来ており、全員にリラックスした感じもある。
これまで なかなかうまく関われなかったこどもも、自信をもって周囲の友達に働きかけている様子がみられた。
帰り際に友達の名前を呼びながらなんどもふりかえって手を振る姿がみられ、印象的だった。
夏合宿で良いものを持って帰ってもらえている、とここでも感じることができた。
年齢があがって経験がふえてきて、最近は「雨、いやだ~」と言うようになっている。
雨の不快さにも気づいていく年齢か。
不快に対する耐性が出来ると、また新たな雨の姿にも気づけるようになるのだけれど・・・。
しばらくはそんな感覚が続きそうだ。
<安全管理>
「管理ポイント」
・主稜線に出るまでがきついので、早いペースにならないように。
・様子を見ながら大人がコントロールも。
・大人1名が最後尾でスイープして。
「インシデント」
・特になし
<評価・反省>
「運営」
ゆったりとした山遊びにしたことで、ひとりひとりに比較的丁寧に接することができた。
「プログラム設定」
当初は大きな山を二つつなげた「大縦走」を考えていたが、
8月の大きなチャレンジの後ということや班内の状態を考え、一旦ゆるゆるの楽しい山遊びにもどして
更なる班の再構築をねらった。
チャレンジではなくいつもの山遊びに戻したことは、
いろいろな意味で、それぞれのこどもによい効果をもたらしたと感じる。
こどもが遊び足りない感じの要因は、
こどもの遊びへの欲求やレベルが上がってきていることの他に、フィールド自体の形状によるか。
ひたすら深い山で、広場や岩場はない。
アクティブな感じはなく、どちらかというとヒーリング系な森。森の深さや美しさを感じるには最適。
<総合評価>
これまでなかなかうまく友達と関われなかった、また入り切れなかったこどもに向けては
夏のキャンプで得たことをゆっくりと試す時間として提供できた。
また、日常的な山遊びで一旦全体的なクーリングダウンもできた。
楽しくも穏やかな時間と心地よさを提供できたと感じる。
本音を言うと最初は「晴れてルンルンな初秋の山」がいいな、とイメージしていた。
こども達が心を解放されて思わず遊びたくなっちゃう状況が欲しい。
今まで不安があって入って来れなかったこどもの為にも、彼らが思わず一歩ふみ出してしまうような
心浮き立つ状況が欲しい。そんな風に欲張っていた。
実際にはブナの森はちっともキラキラした木漏れ日をもたらさなかったし、
山頂では心が広がっていくような眺望は望めなかった。
だけれど、終わってみて雨に伴われた山行は良かったと感じる。
「雨、いやだ~」とみんは言っていたけれど、雨に閉じ込められた森はしっとりとぬれて優しかった。
森が提供する落ち着いた穏やかな時間に、私達は自然にクーリングダウンされていたように感じる。
いつもハイテンションで頑張らなければいけない自然体験でなくていい。
私たち生き物の命のリズムと自然の営みのリズムは同じもので、
私達はそれを素直に受け止めれば良いのだと感じられた回にもなった。