2008年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
47 広島県山岳連盟 広島県 「わんぱく登山部」
山登りや沢登りを通して、子どもたちに「楽しい」「好き」といった気持ちの原体験を提供する。同時に登山の活性化や「山行中の屎尿の持ち帰り」を広報し、社会に提言する活動もおこなう。

「わんぱく登山部」 おもいっきり夏遊び!~沢登りであそぼう~ [7/27]

日  時:
場  所:
参加者:
2008年7月27日(日) くもり・晴 のち夕立
広島県山県郡安芸太田町 奥三段峡
部員12名(小学校3~6年生 男子7名、女子5名)、スタッフ6名
 <活動のねらい>

・沢登りという夏の山遊びを知る・沢を楽しむ
・自然の中で挑んで遊ぶ面白さ、楽しさ
・(8月のキャンプに向け)よりダイナミックな自然遊びに向けての好奇心を耕す

 <活動内容>

わんぱく登山部2班、今年4回目の例会山行。
奥三段峡で日帰りの沢登りを実施。途中の畳平を昼休憩をかねてゴールとし、往復で楽しんだ。

沢そのものを楽しむことを目的に、途中の淵でとびこんだり泳いだり、小さな滝になった段をのぼったり、
逆にすべりだいにして楽しんだりと、ポイントごとにいろんな「沢あそび」を楽しみながら遡行した。

途中、危険な箇所は高まきしてやり過ごした。その際は、事前にはったフィックスロープのほかに
トップロープでの確保もおこなった。
朝から雲が多く、とりつき始めは気温が低く、低体温症によるモチベーションの低下が心配されたが
全体的に太陽が顔をだしてくれ、なんとか高い気温の中で沢登りができた。
下山して登山口にかえってきた際に、夕立に。

 <プログラム>

07:30  横川出発
09:00  登山口到着・装備付け
09:50  出発・F2高まき
10:50  沢に到着・沢登スタート!
12:15  畳平到着・昼食
13:40  下山開始
15:30  下山・駐車場着 着替え・片付け
16:00  現地出発
17:30  横川着

 <ポイント>

・沢を楽しむ。ポイント毎に沢それぞれの形態をいかしたそれぞれのあそびを十分楽しんで。
・滝や淵の中を通るルート。「挑戦的」なあそびを楽しむ。大人もプッシュ。
・カラビナでのセルフビレイのとりかたを伝え、こども自身が実行。

昨年は「沢のぼりというあそびをやってみよう」というねらいで、
滝や淵を避けてたかまき、なるべく体力を温存させた。
今年はこども達の嗜好や傾向、体力を考慮して、よりチャレンジ性のある沢登りで展開。

 <こども達の様子>

全員が沢遊びを大いに楽しんだ。
フィックスロープでの高まきや、トップロープで確保しての高まきなど、
必然の中で生まれた「命綱をつけて突破する」体験も、挑戦的なあそびの気分を高めてくれていた。
「大きな沢にはいって、自分の力で自分を守りながら危険な箇所もやりすごし、沢を1日あそびきった」
という感じ。彼らはそれらも含めて大いに楽しんでいた。
興奮がアイスブレイキングにもなり、
それまで話しかけたり働きかけたりできなかったもの同士の距離を一気に近づけた。
男女の性差をこえて、大きなガマガエルの捕獲に夢中になるもの同士ができたり
底の見えない淵で泳いで楽しさを分かち合ったり、
最後は「水かけごっこ」で、大人もこどもも全員がわけのわからない楽しさを共有しあった。

小学校3年生で、体が小さく他の部員にくらべて歩みの遅いこどももいたが
他のこどもと同じように初めてのことにもどんどんチャレンジし、それを楽しんでいる様子がみられた。
他のお兄ちゃんやお姉ちゃんのように、自分ももっと早く泳げるようになりたいし、歩けるようになりたい
という思いをもち、また、彼らと同じように遊んでいる自分を肯定的に捉えている様子。
「もっと早く泳げるように練習しなくちゃ」とニコニコしながら思わず口にした言葉が聞こえてきた。

沢という自然を体験し、その遊びの楽しさを知ることが出来た。
いろいろな沢遊びも満喫し、挑んであそぶ沢登りへの好奇心が膨らんできているように感じる。
次は「沢を登りつめてみる探検の楽しさ」か。8月の彼らに期待したい。

 <安全管理>

「管理ポイント」
・ヘルメット、ライフジャケット、ハーネス、すべりどめの靴下を着用。
・こどもは空身。飲み物・おにぎりは大人にあずけて。
・カラビナなど確保の最終チェックは大人が随時行う。
・沢の危険を事前にインフォメーション。(転倒、落石、溺れ、滑落、列をのばしてしまうこと など)
・装備を正しく使うことや メンバー全員が見えるところにいるようお互いに気をつけることで
 自分や他人の命を守ろう、など伝える。

発生状況:畳平(一枚岩の岸辺)で走り、足元がすべって後ろに転倒。後頭部をうつ。
要因分析:石がぬれていてすべりやすい上に、走ったため。
今後の対策:1班同様、ヘルメットとライフジャケットの着用が功を奏した場面。
 沢での行動中は絶対にヘルメットをはずさないようにしたい。
 また ぬれてすべりやすいため、瞬間的な動きをしない(走らない、飛ばない)を再度こども達に徹底してもらう。

 <評価・反省>

「運営」
物理的にも精神的にも、ねらいにそった運営ができた。
また物理的な運営面も、昨年度のデータも参考にできて順調であった。
F4のトップロープを使っての高まきは今年はじめてのルートだったが
上りは30分弱・くだりは20分弱で通過できている。

「プログラムの設定」
狙い通りの設定。気温が高かったことが大きく影響している。

「全体を通して」
沢登りが初めて、というこどもも多く、まずは「沢を知る」という事がこの班の第一目標となった。
昨年から続けてきている子の積極性が、班全体の雰囲気を前向きなものにしている。
「やってみたら楽しい」という規範を作り上げているようだ。
今年からの入部や、新しい顔合わせのパターンが多い2班(欠席やふりかえも多い)は
1班にくらべるとお互いの認知度が低い。
この沢遊びが彼らを興奮させ、一種アイスブレイキングにもなったが、認知度としては今一歩。
次回のキャンプがこの班のターニングポイントとなるように思う。
沢あそびの楽しさを知る、挑んで遊ぶ楽しさ、という目標については達成。



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