2008年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。
NO | 学校・団体名 | 都道府県 | 企画の概要 |
27 |
岡崎市立千万町小学校 |
愛知県 |
「ふるさと千万町 山里の自然と生活の知恵がいっぱい!『みんなが主役 手作りワイルドキャンプ!』」
山里の自然と触れあうキャンプ体験。地域の人々から自然素材を生かした生活の技の伝授や、学校農園で栽培した食材で手作り料理などをおこなう自然体験活動。 |
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ふるさと千万町 山里の自然と生活の知恵がいっぱい!「みんなが主役!手作りワイルドキャンプ!」 竹棒まきまきパン&竹水鉄砲合戦! [7/19]
日 時:
場 所:
参加者:
地域講師:
2008年7月19日(土)
岡崎市立千万町小学校 校庭・運動場
全校児童5名、保護者10名、教職員7名
島田パティシエ(給食調理員さん)
佐宗お父さん(保護者・竹水鉄砲作り)
浅見志貴雄さん(竹水鉄砲合戦協会副会長)
<飯にありつくにはまず「火おこし」だ!>
食事にありにつくには、まず火をおこさねばと原始的な火おこしに挑戦する。
前回のキャンプに使ったマイギリ式の火おこし器で子どもたちは挑戦した。
調子よく回転を上げるのが難しく回転している棒は熱くなるも、なかなか煙は出てこず苦戦。それでもぎこぎこ弾み車を回し続ける。
北京オリンピック開催の年にちなみ、もう一つの方法として、理科の実験道具として購入した太陽光を凹レンズで集めて発火発熱させる太陽光集光器でも実験する。
こっちは焦点が合えば即座に木ぎれに焦げ目がつき、発火した。太陽の光の威力はすごいものだと実感する。
「おおい、早く火をおこさんとパン生地が伸びちゃうよう!」という島田パティシエの声で、ちょっと残念であったが、子どもによる発火はお預け。お父さん達が前もっておこしておいたドラム缶の炭火で昼食の食べることになった。
「炭火起こしの秘密兵器とは?!」
この時の炭火起こしで、父親のYさんの野外生活(ワイルド生活)の知恵を学んだ。
「新聞紙なんかなくっても自然にあるものを使って炭火なんか簡単におきるよ!」
「家の娘も何でどうやれば火がおこせるか、ばっちり知っててやれるから聞いてみりん。」
本当にその通り、この秘密兵器を使うとなんとばっちり炭火が簡単におこせた。
その秘密兵器とは、「松ぼっくり」である。
自分が子どもの頃は風呂の火をおこすのに杉の枯れ葉を使っていたが松ぼっくりとは意外であった。
なるほど確かにこの地域でも、松の木の「じん」(脂身のある赤身)の部分は、油分も多く、お盆の迎え火の松明などに使ってきた歴史がある。戦前は松根油を供出したという話も聞くが、松の木を使って簡単に炭火をおこすというのもなかなか貴重な生活の知恵である。
もう一つの生活の知恵は、「火吹き竹」である。
まつぼっくりに火がつき煙が出たところを見計らって余った竹で即席に作った手製の火吹き竹を活用する。
手作りワイルドキャンプで生活の知恵を学ぶということがこんなところにも生きている。
<島田パティシエ特製の「竹棒まきまきパン」はおいしいぞ!>
一日目の昼食は、
島田パティシエ(給食調理員さん)特製の「竹棒まきまきパン」である。
これがおいしいのなんの!以前のキャンプでも大好評!
今年は竹がメイン素材だけにこのメニューは手作りワイルドキャンプには欠かせない。
パン生地は島田パティシエにお願いしたが、
生地を巻き付ける女竹は、6年生の2人が川原から切り出した物だ。
発酵したパン生地を竹の棒に巻き付け炭火で焼いていく。
ドラム缶の中におこした炭火であぶるといい具合に焼き色がつきいいにおいがしてくる。
早速「いただきます!」とあつあつをいただく。
「あつあつ、あつあつだけどおいしい!!」これが竹棒まきまきパンを食べた子どもたちの一番の感想である。
<竹で作った竹の食器・竹水鉄砲>
竹のスプーンも、手作りでいかんといかんと子どもの分をお父さんが奮戦して作成してくれる。
バーナーで焦がすと竹を削るのにやりやすくなるとか、使い込んだ竹の感じが出て、味わいが出た。
竹割りの慣れ(なたを実にうまく操るB子の使う手つきの良さ、初心者には割る位置に刃先を合わせてカナヅチで打ち込めば危険が少ない)こんな再活の知恵を実地に教えてくれたのもYさんだ。生活力を感じてしまう。
竹の節を生かして切り半分に割って竹の食器作り、これがまた格好がいい!これに盛ったカレーがおいしく感じる。
竹水鉄砲作りの材料は子どもたちとも切り出してきたりした。
昔を思い出して、筒用に真竹、ピストン用に女竹を準備しようとしたが、短時間での作成という制約もあって、ネットで探し、材料を通販していた「あれこれ それなり クラブ」の「宮さん」(東京都東大和市トトロの森の近くで自然体験活動をやっている方)に依頼した物を使用した。
竹の乾燥具合もよく筒とピストンとの具合もよく、品質的に優れていた。すきまテープをうまく活用していて、どの子が作っても具合のよい物ができるという利点があった。「それなり」というよりも「かなりのでき」の竹水鉄砲が完成した。
またこの「宮さん」からていねいな手紙も頂き、「手作りワイルドキャンプ」の成功にエールを贈っていただいた。
こんなつながりもうれしいものである。
「自然体験.com」も充実しており、このホームページがこうした自然体験活動のポータルサイト的な役割を果たしてくれるといいなあと思った。
さあ、次はいよいよ竹水鉄砲合戦の始まりだ!
<親子で竹水鉄砲合戦!!>
「子どもチーム 対 親・教師チーム!!」 これが楽しい!笑い声が絶えない、しかもハードなスポーツである。
親子で対戦し、子どもも力一杯活躍できる、大人とも対等に戦える、そしてヘルメットにつけた金魚すくいの「ぽい」を竹水鉄砲で打ち抜くというのが、どうしても笑える。なぜか夢中になれる。
夏は水がかかっても気持ちがいい。最適のスポーツだ。この竹水鉄砲合戦にはみんながはまった!
今回、竹水鉄砲の先生として来てくれた竹水鉄砲合戦協会副会長の浅見志貴雄さん(形埜地区在住)の夢は、全国大会の地元岡崎開催と壮大である。
竹も竹水鉄砲として生まれ変わって喜んでいるかも知れない。それにしても楽しかった竹水鉄砲合戦である。
竹水鉄砲への熱い思いをそのホームページからのぞいてみると以下のようである。
[以下、竹水鉄砲合戦協会より引用]
どうして『竹水鉄砲合戦』をはじめたのか。
まずは、環境面についてですが、日本人の生活になくてはならなかった竹ですが、今ではその製品の大半がプラスチック等の石油の加工製品で賄われています。そうする事で竹は使われなくなり、竹薮は管理されなくなってしまい荒廃してきました。
以前は杉や桧の造林地帯とは竹薮はちゃんと区別してあったはずですが、竹は根で生殖範囲を広めて行き杉と桧と一緒に山の中で生えています。この事は果たしてよいことでしょうか?
私はこのようなことの専門ではありませんが自分の考えとしては、杉や桧の造林地帯は木の成長とともに間伐をする必要があります。間引くことで地面に日が当たり植物が生えてきて地山を安定させます。それに、残った木にも日が当たり成長を促します。それを踏まえれば杉や桧と並んで生える竹は不要な物となります。
このような状態を起こさないために竹の消費をする方法をずっと考えていました。
竹とんぼや竹馬等の昔ながらの遊びもありますが、それでは多くの需要を望めません。やはりスポ-ツとして使用することが一番だと考えました。このままにしておくと・・・色々インタ-ネットで調べてみますと、竹が増えている事に対して危機感を持っているところがありますが、決定的な打開策を持っているところは今の無いと思われます。
もっと行政が真剣になって考えないといけないと思うのですが先が見えないからかある意味真剣に考えて無いように思います。マスコミもこの事にあまり触れてないようですね。このまま放置すればどんな事になるか専門家の方たちはわかっているはずです。
その時行政は杉や桧の間伐に補助金を出すように竹の駆除に補助金を出して解決する方法とるのでしょうか?
そんなことでお金を使うなら・・・竹を駆除をするのにお金を使うなら『竹水鉄砲合戦』の道具を竹で考えて竹の商品を開発した方がどれだけ前向きかと考えました。競技規則上も竹で使えるものは竹で考えています。
このスポ-ツが盛んになれば世の人々は今まで見向きもしなかった竹に注目するはずです。
邪魔物が資源へと変わります。竹薮の所有者も竹に価値があればちゃんと管理するようになるはずです。色んな竹を使います。
この競技は、色々な竹を使うように考えてあります。水鉄砲は、筒は真竹で柄は女竹。的は真竹。それに竹垣は真竹や孟宗を使用します。
最後は竹炭です。・・・道具として使用できなくなった竹は炭として活用します。
その炭焼きは年配者の方が中心なので世代を超えた交流にもなります。
(全日本竹水鉄砲協会 副会長 浅見志貴雄)
竹水鉄砲合戦・・・これほど単純にして、現代社会で抱える問題を解決すべく有効な方法(遊び)は無かったのではないでしょうか?
行政は混沌とした世の中で起こっている様々な問題を、何とか解決しようと難しい会議を開いては複雑化しているようにしか感じません。でも、問題の根底にあるのは全てコミュニケーションの欠落であると思います。
竹水鉄砲合戦の発案は、当協会副会長 浅見志貴雄氏が純粋かつ真剣に子どもたちのことを考えたのがきっかけでした。
遊びは学びへとつながってくとともに、自ずとコミュニティーが形成されます。
加えて、タケを通じて環境問題への気づきをも育てます。
最後に、子どもから大人まで心から楽しめるこの竹水鉄砲合戦の輪を大きく広げるためにも、みなさまに当協会の活動へのご参画を心からお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
(全日本竹水鉄砲合戦協会 会長 谷岡郁子)