著者 桜井 義維英・国際自然大学校


 子どもと野山で遊ぶ時の目のつけどころ。

 子どもたちは、野山に行けば、とにかく楽しくて、あれもこれもときょろきょろしながらちょこまか動き回ります。
 そのペースに巻き込まれてはいけません。
 自然の中に来たときは、ゆったりと構えましょう。
 ゆったりと構えるにはどうしたらいいか?
 それは、あれもこれもしようと思わないことです。やることがない、そんな閑な状態も楽しいものです。とかく都会人は何もしない時間とか、会話のない、音のない時間に対して何か物足りなさや罪悪感すら感じるようです。
 しかし、自然の中では、まさにその瞬間に自然を感じることが出来たり、楽しさを見つけることが出来たりするのです。
 とはいっても、どうすればそんな楽しさを見つけることが出来るか。そんなちょっとした知恵を授けましょう。

楽しむポイント
その1 食べることを楽しむ


 何もかもを家から持って行こうとしないでください。
 何もない中から色々考えてみるのは楽しいものですよ。
 今ここであるもので何とかするとか。地元のお店や、スーパーにあるもので素敵なものを作ってみようとか?
 そんなことすると、地元の特産品なども知ったりして結構楽しいですよ。

 たとえば、小麦粉だけを持っていく。
 さて小麦粉で何を作ろうか?
 出発前にみんなで考えましょう。小麦粉で作るものってなんだろう?そしてそれに必要なものはなんだろう。
 うどん、ピザ、お好み焼き、すいとん、パン…色々ありますね。
 まずそんなところから子どもたちと考えて、では小麦粉のほかにいる物は何かな?材料もですが、道具も考えましょう?


その2 暑さを楽しむ

 暑さをしのぐには?
 そう水遊び、これは古来よりの定番、そしてきっと未来永劫に定番でしょう。でも、それしかないでしょうか?

 もう一つ、日本人が涼を得ていたものは風です。そう風を感じることです。風を感じるにはどうしたらいいのでしょう。
 風がないときには自分が動くことです。自分が動けば汗をかく?そんなことはないですよ。

 たとえば大きめの古シーツを一枚持っていきましょう。そして、その上と下をロープでしっかり縛れば、即席のハンモックの出来上がりです。大人にはちょっと小さいですが、子どもには十分です。そしてハンモックをつるしてゆっくりゆれてごらんなさい。汗なんかかかずに風の中に漂えますよ。
 このハンモックはきっとすることがなくなって閑になった子どもたちのとっても素敵なくつろぎどころになると思いませんか?

 もう一つは風の通り道を探すことですね。地上にはなかなか風の通り道がなくても、木の上を風がさわさわと通り過ぎて行くことがあったりしませんか?そんな高くまで登らなくても大丈夫です。
 でも、命綱をつけるとかの安全対策だけはきちんとしましょうね。
 きっと風を見ることができますよ。


 このような遊びを考えだすためのポイントは、いろいろ困った状況を自分で想定してみることです。その中でどうやって楽しもうか?
  小麦粉を使って料理を作るとしたら…
  お鍋ひとつで全部の料理を作るとしたら…
  鉄板だけだったら…
  夜の灯りを用意しないで行ったとしたら。
  灯りをどうやって作ろうか…
  灯り無しで暮らしてみようか…

 どうです、結構色々楽しくなるものでしょう?
 今年の夏は工夫する楽しさを味わってください。