![]() ![]() ![]() − 第795回 − 筆者 中村 達
『年賀状』 今年の元日年賀状は4億9100万通で、昨年より25.7%減らしたとネットに出ていた。また、年賀状の発行枚数は10億7000枚で、ピークの2004年に比べて半数になったという。 年賀状仕舞い、メールやSNSに変更、企業などの取りやめ、それに郵便料金の値上げも追い打ちをかけて、減少に拍車をかけたように思える。 考えてみれば年賀状を出す、という行為はそれなりに手間がかかる。年賀状の必要枚数を想定して購入するから始まる。そして、文面やデザインを考え、制作して宛名を書く。あるいは印刷する。宛名は郵便番号を書けば市区町村は不要だ。が、過去にいただいた賀状には記載忘れが時々ある。宛名書きを中断して調べなければならない。さらに書き終えた年賀状送付先リストを作る。これをしないと出したかどうかわからなくなるのだ。細かい作業は他にも色々あって、面倒に思うこともしばしばだ。それでも賀状が唯一の動静がわかる手段となっている場合もある。学校を卒業してから一度も会っていない同級生からなどは、その最たるものだろう。 そして。最後の作業が出来上がった年賀状を投函。考えてみれば、年賀状を買う、作る、出すまでの作業は大変で面倒でもある。 そのせいもあって、年賀郵便に代わって活用されているのがメールやSNSだ。特に若い人たちはその傾向が強いと思う。それさえ出さない人も多いようだ。 いずれにしても、この先、年賀状は大きく減少するのだろう。 また、私がいただいた年賀状は高齢の方が多いこともあり、健康のこと、あっちこっちが不具合、終活の近況などが目立つ。そして、今回で年賀状はおしまい、も多かった。 もちろん、今年ヒマラヤへ行くとか、どこそこの山に登るや外国旅行の計画など、ワクワクするような賀状もあった。ロングトレイルを作っているというのもあり、これは元気が出る。 いただいた年賀状を見ていると、世相を反映しているようにも感じる。社会の動向の縮図の一端を見る思いだ。私には年賀状は大切である。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー 安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問など。アウトドアジャーナリスト。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員 |