− 第724回 −  筆者 中村 達


『少し気になるスキーのこと』

 お正月明けの今日現在は、太平洋側は降雪量が少ない。気温もさほど下がってはいないようだ。年末に履き替えたスタッドレスタイヤの出番はまだない。
 ところで、先週、信州に出かけてきた。寒いだろうと防寒用のパーカーを着込んだが、目的地に到着するまでは脱いだままだった。途中、南アルプスや中央アルプスの山々は積雪量が少なく見えた。中央アルプスの宝剣岳は岩肌が見えていた。南アルプスの甲斐駒岳付近も例年より雪は少ないようだ。

 雪が少ないと湧水量が減って、農業に大きく影響するという。雪解け水が田畑を潤す、というサイクルが成り立たなくなる可能性がある。ただ、予報では今日あたりから気温がうーんと下がり、強力な寒波が来るらしい。

 さて、一昔前なら1月はスキーやスノボの最盛期だった。高速道路では屋根に板やボードを積んだ車がたくさん見られた。もっともいまは、スキー板は短くなったので、車内に積載できるので目立つことは少なくなった。それでもスキーやスノボに出かけるという雰囲気の人たちを見かけることはなかった。TVでもスノースポーツの映像はほとんど流れない。TVで放映されるウインタースポーツは、フィギアスケートやジャンプぐらいだろうか。つまり、見るものばかりになった。アルペン競技はオリンピックでさえ、国内では放映は少なくなった。

 一方で、大衆化したスキーやスノボではあるが、いざやるとなれば、それなりの費用がかかる。用具類、ウェア、リフト券、交通費。目的地によっては宿泊費も必要だ。特に若者たちはコロナ禍で収入の減少が顕著で、近頃の物価の上昇も日常生活に大きな影を落としている。
 国内のスキー場などのインフラは大きな資産でもある。これを生かし地域の活性化にはインバウンドに頼るしかないのか。

 お正月に家の近くを歩いたが、子どもたちの声はほとんど聞こえなかった。公園で遊んでいる姿も見ることは少なかった。ガレージには車があったので、おそらく家の中で過ごしていると想像する。ゲームに夢中になっているのだろうか。


(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員