− 第677回 −  筆者 中村 達


『自然を歩く人々が増える』

 WTN(World Trails Network)のレポートによると、世界中のトレイルもコロナ禍で、大きな影響がでている。特に、トレイルのメンテナンス、ガイドサービス、アクセス、運営組織の機能の停止など、様々な問題を抱えている。
 その一方で、自然、ソーシャルディスタンシングス、健康、家族の共生などへのニーズの高まりがあって、トレイルを歩く人たちが大幅に増えているそうだ。
 例えば、米国のアパラチアントレイルには、およそ400万人もの人々が訪れたし、スルーハイク(全行程を歩く)の登録者は4,000人に達している。トレイルの利用は翌年に、というトレイル運営者の呼びかけにも関わらずにである。そのため各所でホットスポットが発生しているそうだ。

 国内でも近郊のハイキングコースやトレイルを歩く人たちを、よく見かけるようになった。また、日本ロングトレイル協会に加入(予定含む)のトレイルは、今年に入って増加傾向だ。アフターコロナを見越して、地域や観光の活性化が大きな目的だ。
 また、アウトドア用品の売れ行きが好調だ。コロナ禍で人々のライフスタイルに変容の兆しがうかがえ、自然指向が顕著になってきているように思える。

 個人的なことだが、これまで日本でアウトドアライフをライフデザインにするにはどうすればいいのか、ここ数十年間、試行錯誤の連続だった。しかし、ここにきて人々のライフスタイルが、自然と強く関係するようになりつつあると感じている。
 環境やSDGsが強く意識される時代になったが、その基本は人々のライフスタイルだろう。
ともあれ、自然と環境問題は、ライフスタイルをベースにして考察しなければならない時代に入ったようだ。


(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員