− 第661回 −  筆者 中村 達


『今シーズンのスキーとスノボ』

 今シーズン、スキー場は積雪に恵まれたところが多かったようだ。都市近郊の日帰りで滑れるスキー場もそれなりに賑わった。ゲレンデ内のレストハウスやレストランは、どうしても混みあいがちで、三密を避けるために駐車場で車の中で食事を摂る人も多かったと聞いた。ここでもはやりのキャンプ用具が役に立つ。
 私も子どもが小さい頃は、リーズナブルに楽しむためと、人の目を気にすることなくリラックスできるので、ワンボックスのシートをアレンジして昼食を食べたり休憩をした。

 また、コロナ禍で宿泊を伴うスキーは、どうしても敬遠されがちのようだ。スキー場や宿舎でクラスターが発生すると、一気に客足は遠のく状態がみられた。学校単位のスキー修学旅行やスキー研修旅行なども大幅に減少している。仕方がないとはいえ、困ったことである。

 一方、スキーやスノボなどの小売店が少なくなった。これまで取り扱っていた大手のスポーツ量販店も取り扱いが減ったように感じる。ただでさえスノースポーツの参加人口が減少しているのに、コロナ禍でそれがさらに深刻な事態を招いた。
 ただ先日、あるスキー・スノボの専門店に話を聞くと、今年はいつになく好調だそうだ。その訳は、それなりに降雪があって近場のスキー場でも十分楽しめたこと。それに、専門店や取扱店が減って、競合が少なくなり必然的にお客が増えたからだそうだ。

 近年、国内のスノースポーツはインバウンド需要に支えられてきた。ある有名スキー場にある老舗ホテルオーナーの「外国人抜きには旅館業はやっていけない」という言葉が耳に残っている。
 閉鎖するスキー場も増えてはいるが、国内には設備の整ったところは、まだまだたくさんある。地域経済の核となっているところも多いし、雇用にも大きく貢献している。コロナ禍で危機的な状況とも言われているが、スキーやスノボは冬季の最良のアクティビティだと思う。
 自然の中でのアクティビティだけに、子どもたちには多様な体験と感動をもたらすはずである。なんとかうまく再興してほしいと願う。
※画像はイメージで本文とは無関係です。


(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員