− 第660回 −  筆者 中村 達


『コロナ禍でのアウトドアアパレル』

 スポーツアパレルという産業のカテゴリーがある。スポーツやアウトドア活動などで着用を目的とするウェアのことを、スポーツアパレルと称している。このスポーツアパレルは、ゴルフ、サッカー、テニス、陸上競技、スキーなど、スポーツのほぼ全種目にわたってのウェアのことだ。ユニフォーム、トレーニングウェアなどが主なモノで、もちろん、アウトドアウェアも含まれる。
 このアウトドアウェアは、ほんの10年ほど前まではさほど注目されず、ランキングでも下位に位置付けられていた。ところが、ここ5年ほど前からだろうか、一躍人気が上昇して、これまで1位だったトレーニングウェア、2位のゴルフを抜いて、昨年はトップに躍り出る予想だ。ちなみに出荷市場では、アウトドアウェアが1,155憶円、トレーニングウェア1,100憶円、ゴルフが820憶円となっている。サッカーは245憶円、野球213憶円、テニス162憶円である。(いずれも見込み データ:矢野経済研究所)なお、小売市場はほぼ出荷市場の2倍程度と思われる。

 いま、コロナ禍で3密が避けられて自然の環境が満喫できるキャンプが大人気だ。あるアウトドアショップはキャンプ用品が売れに売れて、昨年は一昨年の2倍近く売れたそうだ。となると、アウトドアウェアも人気が出る。ヒマラヤや雪山でも着用でき、防水はもちろん、保温性と透湿性の高い高機能なものがよく売れているそうだ。
 特に北米やヨーロッパのアウトドアブランドが人気だ。登山やアウトドアズの専門店だけでなく、セレクトショップなどでもラインナップされていて、人気商品は品薄だそうだ。

 キャンプ場や街で着るだけなら、そんな高機能素材が使われた高価なアパレルは必要ないと思うのだが、この考え方はかなり古いらしい。
 私がヒマラヤに最後に登りに出かけたのは1979年だった。当時、ようやく防水透湿機能に優れた画期的な素材といわれた、○○テックスが国内でも出始めた頃だった。ただ、当時としては大変高価で、私たちには手が出せなかった記憶がある。
 だから当たり前のように、撥水処理だけのナイロン製のパーカーとパンツで登りに出かけた。古いお話ではあるが、それでも何とか事足りたように思う。そんなものだと思い込んでいたのかも知れない。

 その時代を考えると、いまのアウトドアアパレルは夢のような出来栄えだ。が、例え街着であっても、アウトドアウェアを着ると、お洒落でカッコいい。そして、着ているとなんとなく自然に足を延ばしたくなる。そんな気分や雰囲気になるのではないか。
 アウトドアアパレルの伸長がアウトドアズの振興に役立ってくれればと願う。


(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員