− 第651回 −  筆者 中村 達


『スキー・スノボのシーズンがやってきたが・・・』

 師走に入って冬らしい季節になった。北海道や東北などではスキー場に雪が積もって、いよいよスキー・スノボのシーズンだ。しかし、今シーズンはコロナ禍で各地のスキー場の関係者は気が気ではないと思う。どのスキー場もできる限りの感染予防は行うだろうし、何とか安心して楽しんでもらいたいと願っていることだろう。
 スキー場は地域活性化の重要なコンテンツだ。地域の雇用や観光産業に大きく貢献してきた。この辺りへの影響も危惧される。  ただでさえスキー・スノボ人口の減少で、それをインバウンド需要で補ってきたという背景がある。そのインバウンドも今シーズンは期待できそうにない。学校などの団体利用も期待薄だろう。

 スキーやスノボは滑っている限りでは三密は避けられるし、空気もいい。スキーシーズンは寒いからこそで、気温が高いのは困る。レストハウスなどでは換気と暖房をどのように折り合いをつけるか、利用者も運営者側も知恵を絞る必要がありそうだ。

 私の子どもたちが小さい頃、スキー場では安く上げるためにワンボックスカーの中で、昼食を摂ったり休憩したものだ。炊事用具は登山用のものを使い、車の外でお湯を沸かした。昼食のメニューはカップヌードルやレトルトカレーで、子どもたちは大喜びだった。随分昔の話だが・・・。

 ウィンタースポーツの代表であるスキー・スノボの人口をいかに増やすか。子どもたちにリーズナブルに、安全に楽しんでもらえるような施策が長期的に必要だと思う。この国には数多くのスキー場があり、インフラは程度の差こそあれ整っている。その建設には莫大な費用が費やされた。この社会的資源が利用されないままに閉鎖されるようであれば、大きな損失でもある。
 かつてスキーは、国民的な冬の代表的なレジャーだった。国民総スキーヤー的な雰囲気があった。ただ、そのスタイルは欧米のスキーリゾートに見られる風景とは大きく異なる。スキー・スノボが再び冬のレジャーとして定着するためには、長期休暇と遊びのライフスタイルともいえる生活様式が必要なのかもしれない。
※画像はイメージで本文とは無関係です。


(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員