− 第631回 −  筆者 中村 達


『ゴールデンウィーク』

 山は新緑におおわれて、季語の「山笑う」が近くの里山でも毎年と変わらない風景をつくり出している。そんな美しい季節なのに、GWはどこにも出かけず、ステイホームだった。とはいえ、必要な食品の買い出し、それに適度な散歩だけは何度か行った。車の洗車もした。衣替えも何とかできた。
 運動不足をTVの柔軟体操やストレッチで少しでも補い、夕刻、地域で流れてくるラジオ体操のメロディーで身体をほぐすのが、GWの日課だった。
 ところで、案の定というか、やっぱり、とともにため息が出たのが、GW中の山岳遭難だった。大変残念だ。あれだけ、いまは山に行かないで、登らないでと言われていたのに、山での事故が多発した。「自分だけは大丈夫」は、山では通用しない。
 事故が発生すると、山岳警備隊や警察、消防、山岳関係者など、多数の人たちが救助に向かう。特に、いまは新型コロナ感染症が広がっている最中なので、遭難者が感染していないとは限らない。そのため救助できても、慎重にならざるを得ない。ヘリが出動した場合、搭乗員も自宅待機になる可能性がある。そうなると、通常の緊急搬送に大きな影響が出るのは必然だろう。

 山岳遭難保険というのがあり、私も加入している。万が一の山岳事故に備えての保険だ。
 幸いにして、まだ一度もお世話になったことはないが、山に行っている以上、事故はつきものだと考えて加入している。つまり、どんな登山者にも、ハイカーにも、プロの山岳ガイドであっても、山岳遭難や事故は起こりうる。登山やハイキングは魅力的だし素晴らしいが、山は常に危険とは隣り合わせだ。100%安全はない。だから、自分だけは大丈夫は絶対にない。
 新型コロナウィルス感染症が収束するまでは、この先しばらくは、山に登るのは自重したほうが賢明だろう。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員