− 第620回 −  筆者 中村 達


『今年度のトム・ソーヤースクール企画コンテスト表彰式』

 第18回トム・ソーヤースクール企画コンテストの表彰式と講演会が、1月25日横浜のカップヌードルミュージアムで行われた。第1回は応募数が130団体ほどだったと記憶している。今年度は2百数10団体であった。
第1回の最優秀団体は東京渋谷区立中幡中学校だった。当時、修学旅行以外で宿泊を伴う学年毎の体験学習は、開催するのはかなり難しいと言われていた。そんな中で、校長先生らの熱意で教育委員会などを説得して実施されたのが、長野県飯田市での飯田自然体験学習だった。

「(略)6年生たちは飯田市の郊外の『なかはたのもり』近くで拾ってきたどんぐりを発芽させて、新6年生に託す。新6年生たちは、その苗を『なかはたのもり』に植樹し、またどんぐりを拾って、持ち帰り発芽させて、次の6年生に託す。」(「私の実践している自然体験活動」http://www.shizen-taiken.com/sugihara/20031001f.html より)
 先生たちの熱意と発想、さらにその連続性が高く評価された。その翌年の秋、中幡小学校の飯田自然体験学習を見学させていただく機会があった。中央アルプス山間部の旧宿場を利用しての体験学習だった。昔のままの宿や民家を利用しての体験学習だ。当時は無人の宿場で整備された宿舎ではなく、まずは掃除から始め、自分たちの生活空間を確保しなければならなかった。不便な生活ではあったが、子どもたちは嬉々としてドングリを拾い集めた。山を駆けたり、間伐を体験し、囲炉裏で炊事して寝袋で寝た。早朝、山中の朝もやの中、朝礼と体操を眠い目をこすりながら行っている姿が印象的だった。

 その後、この企画コンテストは徐々に全国的広がり、いまや北海道から沖縄まで、時代のトレンドを、うまく企画に反映させたものが増えてきた。
今年度の表彰団体も時代を映した企画が多かったように思う。マイクロプラスチックの回収で環境問題を学習した神奈川県の「海の森・山の森事務局」が安藤百福賞を、また、福井県の越前市立味真野小学校は、古い本に記されていた七不思議の発見と復活をさせる体験活動で文部大臣賞を受賞した。

 今年度も50の学校、団体がこの企画コンテストで、さまざまな事業を熱心に行った。共通しているのは、優れた企画であることはもちろん、先生や指導者の熱意、地域社会、PTAなどの理解と協力がうまく機能していることだろう。その結果が子どもたちの嬉々とした姿となって現れるのではと思う。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員