− 第618回 −  筆者 中村 達


『快適キャンプがトレンド』

 今年はキャンプの人気がさらに高まったようだ。各地のキャンプ場もにぎわったし、キャンプ用品やそれにまつわるアウトドア用品やウェア類もよく売れた。財務省の貿易統計によると、2018年のテントやシュラフなどの輸入金額はおよそ164億円で、底だった2008年の2.5倍となる伸びだった。このことからもキャンプ人気がよくわかる。ちなみにキャンプ人口は850万人(オートキャンプ協会)と推計されている。

 キャンプは四季を問わずに行われるようになったし、その楽しみ方やスタイルも大きく様変わりしてきたようだ。30年ほど前のオートキャンプブームは「安・近・短」がキーワードで、お手軽なレジャーとして人気があった。私も家族で「まあキャンプでも行くか!」と流行のRV車に、キャンプ道具やバーベキューセットを満載して出かけたものだ。それはそれで、子どもたちは喜んでキャンプ場で走り回っていた。
 キャンプ用品などはディスカウントショップやホームセンターで、安価な東南アジアからの輸入品を、使い捨て感覚で買ったように思う。そして定番のバーベキューを楽しんだ。

 さて、いまは少し事情が異なってきた。デモシカ的なキャンプではなく、非日常の空間を楽しむという風だろうか。テントもシュラフも品質がかなり良くなって、快適さが向上したと思う。デザイン的もオシャレなものが多くなった。これなら家族でもグループでもカップルでも快適に過ごせるのではと想像する。
 キャンプスタイルの進化と用具類の向上は、その国のアウトドアライフデザインの指標になると考える。アウトドアファッションも人気があるし、一つのカテゴリーにもなった。

 ところで、私自身は最近ではテントで寝ることはほとんどなくなった。山では山小屋のお世話になることが多くなったし、キャンプ場でもロッジなどを利用している。
 現役で山に登っていた頃は、大半がテント利用だった。そのテント生活も快適なものとはいえず、寝ることが出来ればよしとする程度だったと思う。登山では軽量化が命題で、快適さは二の次だった。最大で年間100日以上がテント生活という年もあった。少ない食糧で、汗と埃で汚れた衣類で何日も過ごし、危ないことをして・・・まさに3Kの日々だったと思う。キャンプは目的ではなく手段だったといえる。その固定概念から脱却できないのは古い山屋の性なのだろうか。

が、いまはそんな時代やシチュエーションはなくなりつつあって、快適で誰もが気軽に楽しめるアウトドアズの幕開けである。とくに子どもたちや若い人たちが、安心して楽しめるアウトドアズが求められる時代になったと思う。これもアウトドアズの進化であり、この先の発展が楽しみである。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員