− 第613回 −  筆者 中村 達


『安藤百福センター森のイベント』

 秋の一日、安藤百福センターで通称ツリーハウスイベントが開催された。今回のテーマは「信州冒険ものがたり」で、百福センターでできる30の冒険、ワークショップなどが行われた。
 ツリークライミング、ボルダーリング、ロッククライミング、火おこし、ナイフワーク、弓体験、木工、魚を食べる、ジビエなどなど、多くの体験プログラムが用意されていた。もちろん飲食のコーナーもあり、パン、コーヒー、蜂蜜、ジャムなど、多くの販売ブースが森の中に用意された。

 天候が心配されたが、オープニングの頃には青空が見え始めた。10時30分の開会時間には、大勢の参加者が受付で長い列を作り出していた。
 共催者の長野朝日放送の協力もあって、2000人を超える参加者があった。回を追うことに参加人数が増えている。そして毎回天候に恵まれているのは幸運ではある。
 何よりも私たちを感動させてくれるのが、子どもたちの目の輝きだろう。森に入る否や、子どもたちは好奇に満ちた表情に変わる。大人では見ることが少なくなった輝きだ。引率の大人たちを振り切って、体験型プログラムにすっ飛んでいくのが面白い。

 昨年、百福センターに設置した7mのクライミングタワーでは、最初は少し緊張するようだが、インスタラクターにハーネスとザイルをセットしてもらうと、巧みに攀じって、あっという間に登りきってしまう子どもが多い。お大人だと見学者の視線が気になりがちだが、子どもたちにはそれがあまりないのだろう。だから思いっきり登れるのかも知れない。

 このイベントを見るたびに、子どもたちにはもっともっと自然に触れる機会が必要だと痛感する。目の輝き、好奇心に溢れた姿こそが、本来の子どもたちではないかと思う。ゲームやスマホも今時のことだから必要なのだろうが、やはり子どもたちは、自然の中がいい。もちろん、私たち大人も・・・。


(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員