− 第607回 −  筆者 中村 達


『雷』

 夏の終わりになって天候の不順な日が続いている。各地で豪雨災害やゲリラ豪雨による様々な事態が発生している。かつてはこんなことはなかったように思う。これも地球温暖化の影響と言われているが、どうだろう。

 8月の末、夜になって豪雨になった。前線に寒気が流れ込んで、大気の状態が不安定になってきた。しばらくして雷が鳴りだした。遠雷が徐々に近づいてきて、自宅のすぐそばでも鳴り出した。雷鳴と落雷の轟音が同時だったので、頭上に落ちてきた感じだ。見ていたテレビの画像が乱れたので、あわてて消した。
 突然、ものすごい稲妻とともに轟音が炸裂した。続けさまに、また猛烈な稲妻が光った。
どうやらすぐ近くに落ちたようだ。
 その後、しばらく稲妻と雷鳴が続いたが、少しずつ去っていった。当地に長年住んでいるが、こんなひどい雷の経験は初めてだった。すぐ近くにある標高600mほどの山が雷の通り道と言われていて、比較的雷には慣れている方だと思うのだが今回は凄かった。そして、どこに落ちたのか気になった。

 翌日になって、すぐ近くの民家に落ちたことがわかった。その家はオール電化だったので、落雷によりコンセントにつないでいた家電製品は、全て修理不能のダメージを受けたそうだ。大型テレビも、冷蔵庫も、クーラーも、電子レンジもすべて修復不能になった。どの電化製品にも電子部品が組みこまれているので、強烈な過電流で一気に破壊されるという。被害額はかなり大きいと思う。気の毒なことだ。

 私の仕事場のパソコンには、以前から雷ガードをつけているが、自宅は全くの無防備ということに気がついた。とりあえず、雷ガード付きのコンセントに替えることにした。

 ところで、山でも雷にけっこう遭遇している。昔のことだが、北アルプスでひどい落雷にあい、テント場ですぐ隣のテントに落ちたこと。剣岳の岩壁を登攀中に光り出して、ヘルメットの中で髪の毛が逆立ったこと。雷鳥沢を登っていると、突然、雷鳴が轟き、ピッケルがブーンという音を立てたこと・・・どれもこれも忘れられない恐怖体験である。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員