− 第585回 −  筆者 中村 達


『登山靴ソールの張替え』

 年が明けて山の道具類を整理しようと、物置をゴソゴソと調べてみた。登山靴も引っ張りだした。ソールはまだすり減ってはいなかった。ただ、古い靴はポリウレタン樹脂が劣化している可能性があり、見た目では大丈夫でも歩いている途中で、剥がれる可能性があるそうだ。
 実は、過去に数回ソールの剥離を経験したことがある。北アルプスの山々から下山して山麓を歩いていると、足が引っ掛かったので、見るとソールの踵が剥がれていた。よくぞ登山中に剥がれなかったことだと冷や汗が出た。イタリア製のその靴は、輸入代理店でソールの張替えをしてもらい、それから数年間履き続けた。都合10年の寿命だった。

 メーカーが推奨している登山靴のソール寿命の目安は、おおむね5年だそうだ。保管状態や使用頻度と、さらに個体差があるので一概には断じられないが、5年が目安と考えた方が良さそうだ。頻繁に使用しているならアッパーもかなり劣化しているし、買い替え時ということになる。安いモノではないので、さほど履いていないならソールの張替えをすればいい。なお、ソールの張替えができる靴かどうかは、調べておく必要がある。

 さて、私の登山靴は手に入れてから10年近く経過しているのではと思う。ヨーロッパのトレイル歩きや、国内の登山やハイキングでも使い、ずいぶん重宝した。私の足にはぴったりの登山靴で大変気に入っている。
昨年の秋、東北の山に行く際、この靴を履くか迷ったことがあった。結局、不安なので他の靴にした。見た目は何ともないが、使用年数からいつ剥がれてもおかしくはない。
 新年の挨拶ついでに、このことを電話で知人の専門店主に相談すると「貼り替えないとだめですよ!」と、言われてしまった。さっそく登山靴を持ってその店に出かけた。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員