− 第584回 −  筆者 中村 達


『今年の年賀状』

 今年も年賀状をたくさんいただいた。その年賀状を見ると、今の時代や世相の一端がわかるように思う。
 高齢化社会を反映して、友人知人も健康について気づかいの記述が目立つ。そのためか、健康のために無理をせず「歩く」というワードが多くなった。以前はどこどこを登るとか、ネパールの山に出かけたというのがあったが、今年は米国の岩壁を攀じっているのが1枚だけだった。中には昨年は山で骨折したので、今年は無理をせずに、という文面もあった。

 ここ数年増えてきたのが「今回で年賀状はやめます」だ。少し寂しい気もするが、それはそれでよしだろう。
 孫と遊んでいるのが楽しくて、何にも増して可愛い、というのも多かった。
リタイアしてボーッとしているというのもあったが、スキーが思い存分できるので楽しい、というのも数枚。これは嬉しい。

 また、最近の傾向としては勤め先からの賀状が減って、個人からのものが増えた。理由はリタイアしたので、勤め先のからは出せなくなったというのもあるが、勤務先の賀状は減る傾向で、個人からが多くなったのかも知れない。

 さて、最近は年賀状の利用者が少なくなっているという。郵便料金も値上がりしたし、何よりも手間がかかるのが敬遠されているのが理由だろう。それに年賀状に代ってネットによる新年の挨拶が増えた。FacebookとかLineなどのSNSなどが多用されている。

 一方、送られてくる賀状のほとんどが、宛名はプリンターで印刷されている。私も来年こそは、次回からは印刷しようと思うのだが、未だ果たせないでいる。郵便番号さえ間違えずに書けば、行政区以下の住所、番地だけで届くので、パソコンに入力する手間を考えると、まぁいいか、ということになってしまっている。

 いただいた年賀状に、年末に映画「Bohemian Rhapsody」を観て感動したというのがあった。恥ずかしながらクイーンには興味もなかったし、よく知らなかった。しかし、年賀状を読んで、なぜか観てみたいという気になり、隣町の映画館に足を運んだ。クライマックスで、なぜか不思議に涙があふれ出た。
 
(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員