![]() ![]() ![]() − 第578回 − 筆者 中村 達
『フリーマーケット』 久しぶりの秋晴れの休日、カメラをもって近くの森林公園に出かけた。あまり人が歩かない起伏のある山道を辿って、野球場やサッカー場もある広いエリアへと向かった。道端にはイノシシが夜間に跳梁跋扈して、土を掘り返した真新しい跡が延々と続いていた。 再び整備された散策路に出てしばらく歩くと、人の声が聞こえてきた。近づくとタープテントがズラーッと並んで、大勢の人たちが集まっていた。ほとんどが子ども連れで、その子たちが走りまわっている。フリーマーケットが開催されていたのだ。 いらなくなったり、余ったりした数多くの衣類などが、ところ狭しと並び、物色するおおぜいの若いファミリーの姿があった。 ![]() ![]() 子どもの成長は早いので、衣類などは1年で身に合わなくなってしまう。こんなところで格安に古着が手に入れば、それで十分なんだろう。これも生活の知恵だ。並べられている品々を見て、モノは違うが雰囲気は、フランスの蚤の市と似ているなぁと思った。 フリーマーケットを離れて森の散策路をすすんだ。整備された道だが、適度に起伏があり汗が出てきた。すれ違う人はほとんどなく静かだ。その散策路からは、森を囲む山稜へと踏み跡が伸びている。かつてはよく整備されて、いいハイキングコースだった。しかし、利用する人が少なくなったのか、予算の削減で整備費が捻出できないのかどうかわからないが、かなり荒れている。人気のなくなったトレイルは、イノシシ専用の通り道のようだ。 しばらく歩くと、私の最もお気に入りの場所に着いた。まだ、紅葉には少し早かったが、桜の葉が少し色づき始めていた。ここでおにぎりをほおばって、お茶を飲むというのがいつもの行動パターンだ。ベンチに座って、ぼーっと時を過ごすのが何ともいい。 ![]() ![]() ゲート付近で待っていると「アンパンマン」のぬいぐるみを、手にしていた。嬉しそうに「10円だった!」と。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー 安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員 |