− 第561回 −  筆者 中村 達


『小諸ツリーハウスイベント』

 先日の土曜日、安藤百福センターで「小諸ツリーハウスイベント」が行われた。今回のテーマは「森の生きものがたり」。アウトドアズと食と昆虫、それにアートがテーマだ。
 小諸市内のほか東御、上田、佐久など近隣の町からも、子ども連れのファミリー、およそ900名がやってきた。
 百福の森は新緑におおわれ、躍動感にあふれていた。そんな森に昆虫のコスプレ着たファミリーもおおぜい訪れて、見ているだけで楽しそうだ。今回は生き物、なかでも昆虫が主題なので、昆虫写真家海野和夫さんによる「昆虫撮影会」と写真教室が行われた。海野さんは世界的にも有名な写真家で、私も大変興味深く聞かせていただいた。
また、「巨大ミヤマとパレードしよう!」などのほか、昆虫コスプレのコンテストにはたくさんの子どもたちが、思い思いの昆虫になってエントリーしていた。入賞者した子どもたちには、カップヌードルやチキンラーメンなどが贈られた。
 また、安藤百福センターの森では「おさんぽで使えるかご作りと柿渋塗り」、露岩での「フリークライミング教室」など数多くの教室が開かれた。また、菜食料理やコーヒーハウスなどの食に関わるコーナも人気だった。日清食品の小諸ツリーハウスプロジェクト限定メニューのコーナーでは、チキンラーメンのオリジナルメニューが提供され、長蛇の列ができていた。
 ステージでは「ヒネモス」「kukka」「The holy ground」などのコンサートやパレードも行われ、森は音楽の響きで包まれていた。盛りだくさんのプログラムで、およそ2万坪の森は、天候にも恵まれ終日にぎわっていた。
 そして、今回の目玉の一つは「小諸絶滅危惧種ビオトープ」だった。安藤百福センター前の斜面にビオトープを作って、小諸市付近に生息していた様々な昆虫や植物を呼び戻したり、再生しようとするプロジェクトが、このイベントを機に始まった。
 「子どもが大人になる、大人が子どもになる」そんな「小諸ツリーハウスイベント」だった。
 イベントの終了後、森の中を歩いた。たくさんの人たちが参加し、終日にぎわっていたが、ゴミ一つ落ちていなかった。少なくとも私は目にしなかった。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員