− 第558回 −  筆者 中村 達


『GWのアウトドアズ』

 まもなくGWがはじまる。今年は5月1日、2日と休暇がとれれば9連休となる。ただ、子どもたちは学校があるので、そうはいかない。とはいえ、最長4日間は休日だ。
 アウトドアへ家族で行くなら定番はキャンプだろう。準備の段階から子どもたちはウキウキして楽しそうだ。キャンプ場に着いたらまずはテントを張って、住居を確保する。そして夕食はバーベキューが人気だ。肉を食べると元気が出るような気がする。子どもたちも大好きだ。
 が、あるキャンプ場の管理人が、GWはバーベキューの匂いが鼻について、しばらくは焼き肉類が食べられない、とこぼしていた。バーべキューや焼き肉の煙がたなびいているのが、GWの風物詩になったようだ。
 1990年代初めにバブル経済が崩壊して『安・近・短』の代表的レジャーがオートキャンプだった。そして、全国各地にオートキャンプ場がつくられた。米国のそれとはずいぶん違うものが多かったが、どこのキャンプ場もGWは満杯の盛況だった。米国のアウトドア企業の社長が「日本のアウトドアズはバーベキューだ」と言ったことが耳に残っている。
 このブームは10年ほどで沈静化して、キャンプ人口も減少の一途を辿ったが、ここ数年で再び人気が出てきたようだ。

 その間、キャンプ用品は随分進化するとともに、人々の生活の中に溶け込んできたかに見える。また、防災グッズとして兼用できるアウトドア用具も多いので、入手する人たちも増えたのではないか。
 いまやキャンプ用品やバーベキューセットなどは、ごく普通にスーパーやホームセンターなどで売られていて、簡単に入手できるようになった。つまり、キャンプをはじめとするアウトドアレジャーが、日常化しつつあるということだろう。

 しかし、せめてGWは「食べて寝る」だけでなく、キャンプ場をベースにして、子どもたちを連れて、トレイルでも歩いてみてはどうだろう。子どもたちは歩くと様々なことを考える。思う。感じる。しんどい、頑張ろう、もう少し、あそこまで登れば休める、頂上までどのくらい。木々や花の名前は。登るにつれ変化する風景に、感じるものもあるだろう。友達のこと、家族のこと、・・・。そんな思索が「歩く」の要素の一つでもある。
 キャンプ場からまずは歩いてみる。そんなテーマがあってもいい。

(次回へつづく)


■バックナンバー

■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員