- 第554回 -  筆者 中村 達


『外国人を迎えて』

 インバウンドで外国人観光客が急増している。東京や京都といった大都会から、あるいは有名観光地から地方へと、トレンドが変わりつつある。その動きはさらに進化?して、地方都市から田舎、そして一部の観光客はアウトドアに向かっているような気がする。

 先日、外国から客人を招く機会があった。到着地は成田空港で、そこから乗り継いで指定の場所まで来てもらう必要があった。到着時間が夕刻だったので、空港近くのホテルに宿泊して、翌日来てもらうことにした。
 事前の連絡でその旨を伝えた。客人は「了解した、ホテルは自分で予約する」とメールで回答があった。彼は予定どおりに成田に着き、ホテルに宿泊した。翌朝、成田エクスプレスで東京まで来て、新幹線に乗り換えて、最寄りの駅に何事もなかったように無事に着いた。顔を見るなりlong long way と彼が言った。

 一連の予定をこなしたのち、彼は長野県のとある温泉地に行くと言って、パックを担いで一人で出かけ、3日ほど滞在して帰国の途についた。温泉を堪能して、スノートレッキングを楽しんだようだ。

 彼は事前に滞在中のアクセスや温泉などの観光地を調べ、ネットですべてを予約していた。しかも、彼にとって最もリーズナブルで、満足度を高める方法をとっていたように思う。
 来日に際し、アクセスや宿泊地、宿などはどうするのか気がかりであったが、全くの杞憂に終わった。考えてみれば、何度か外国から客人を招いたことがあるが、たいていは、彼らがすべて下調べをして、自由に各地を訪れていた。ある米国人は、京都を案内した翌日、今日は自分たちだけで、レンタル自転車で京都を観光したいと、丸一日、市内を走り回っていた。

 今回の訪日客もそうであったが、一口に言えば「旅慣れている」だが、それだけではなく私たちと視点や価値観が、少し異なっているように思う。
お土産に日本人形をもらっても、西洋のリビングには似合わない、という趣旨のことを何かの本で読んだことがある。
今回、お土産に日本製のデジカメを贈ったのだが、肝心の海外仕様のプラグを渡すのを忘れてしまった。

※画像はイメージです。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員