- 第550回 -  筆者 中村 達


『火山噴火』

 草津白根山が水蒸気噴火して、大きなニュースとなっている。被災された方々に心からお見舞いを申しあげる。
 日本の活火山は111か所とされていて、至るところに火山があると考えていい。秀麗な山岳には火山が多いが、私たちはアウトドアの最適なフィールドとして利用している。また、火山の周囲には温泉が湧いて、保養地として昔から大変人気がある。最近では温泉のあるスキー場に訪れる外国人観光客も増えた。スキーはバブル時代をピークに減少の一途を辿ってきたが、ここにきて落ち着いてきたといわれている。今回の噴火でスキーヤーやスノーボーダーの動向が気にかかる。
 さて、私たちが山に登ったり、トレイルを歩くと有名な山岳が火山であることを実感することが多い。その代表は富士山だ。北アルプスの立山(弥陀ヶ原)には地獄谷があり硫黄の匂いがする。御嶽山は噴火があったばかりだし、白山も活火山だ。浅間山は噴火警戒レベルが2に引き上げられている。
 こんな火山地域には自然が豊かで、魅力的なところがたくさんある。これからも多くのハイカーや観光客が入山すると思うが、噴火に対してどのように対処すればいいのだろう。
 まず、教訓として活火山は、いつ噴火しても不思議ではないと認識することだ。私もそうだが、火山地域にでかけても足元の地中にマグマだまりがあるなんて意識する人は少ないように思う。噴火した直後は気にはかけているものの、治まれば忘れてしまいがちだ。
 噴火の予測は専門家でも難しいといわれているが、私たちにできることは、気象庁のHPなどで、当該山岳の噴火警戒レベルや火山情報を確認してから出かける、ということだろうか。
 今回の噴火で、この国は自然災害が普通に多いということを、あらためて認識させられた。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員