- 第549回 -  筆者 中村 達


『1日違いの豪雪』

 爆弾低気圧とともに強い冬型の気圧配置となって、日本海側に豪雪が降った。列車が長時間停車し、多くの乗客が車内に閉じ込められると事態も発生した。翌日がセンター試験日なので、閉じ込められた受験生がうまく受けられたのか心配になった。
 この2日前に出張で、長野から北陸新幹線、北陸線経由で帰ってきた。天気予報と天気図を前日から絶えず見て、東京経由で東海道新幹線に乗るか、迷いに迷った。 上越以北と金沢付近は雪で、ところによっては豪雪の予報だ。福井も若狭周辺も湖北あたりも雪。ただ、強い寒波のピークは11日12日との予報なので、前日のこの日はまだ大丈夫だろうと考えた。

 天気予報はあくまで予報であって、予報は外れることだってある。新幹線の駅で尋ねてみた。「北陸新幹線と北陸線は、大丈夫ですか」。駅員が部屋の奥に行って何やら資料を見ていた。しばらくしてその資料を片手に「いまは動いていて問題はありませんが、この先、大丈夫とは言いきれません」。
 確かにその通りだ。絶対なんてありえない。まぁ大丈夫だろうと、予定通り金沢行の新幹線に乗車した。さすがにこの日の車内はガラガラで、いつもなら外国人スキーヤーやボーダーを見かけるのだが、誰一人いなかった。

 車窓の外を眺めていると長野までは雪はなかったが、トンネルを抜けて妙高あたりで雪になった。糸魚川、黒部も雪景色だったが、例年よりむしろ少ないように見えた。そのあと、ウトウト眠ってしまった。
 「間もなく金沢」という車内アナウンスで目が覚めた。外は吹雪になっていた。金沢駅で確認すると、今のところ北陸線は順調らしい。予定の列車に乗り発車を待っていると、稲妻とともに雷鳴が轟いた。それでも列車は予定どおりに発車して吹雪の中を走った。ホッと一安心した。福井の手前まで雪だったが、若狭、敦賀に入ると青空も見えてきた。車窓の近場の風景には、雪はほとんどなかった。
 あの予報は何だったのかと訝しんだが、翌日、翌々日と寒波に見舞われ、北陸は豪雪が降り、冒頭のような事態も発生した。この時期の移動は運まかせのようだと、つくづく思った。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員