- 第545回 -  筆者 中村 達


『寒い冬?とスキー』

 12月に入って寒くなった。雪も降ってスキー場は、雪不足の心配はないのでは思う。昨年より早くオープンしたスキー場の映像には、スキーヤーよりもスノーボーダーが多く、時代の移りかわりを感じる。
 このシーズンになると、かつてのスキー狂騒時代を思い浮かべる。11月ともなるとスキーの専門店や量販店には、スキーヤーが押しかけて新製品のウェアや用具類を、先を競って買ったものだ。私のボーナスは、全て山とスキーの道具に消えた。
 当時はまだスノボーはなかったように思うし、あったとしても一般的ではなかった。もっぱらウィンタースポーツは、アルペンスキーだった。

 一方、スキー宿の予約は1年前にしておかないと、とれない異常な状態だった。分厚い宿のガイドブックを見ながら、民宿やペンションに次々と電話をかけまくったこともあった。
 また、ゲレンデの積雪量は、インターネットが一般的ではなかった時代だけに、もっぱら夕刊に掲載されている情報に頼るしかなかった。

 その当時のスキー人口は約1,800万人ともいわれ、年間のスキーの販売台数は、ピーク時にはおよそ250万台と推計されていた。いまは、スノボーと合わせて参加人口は5~600万人だそうだ。スキーやスノボーの販売量は、おして知るべしだろう。
 しかし、何と言っても、スキーは冬の最高のアクティビティの一つだ。老若男女が年齢や技術に応じて楽しむことが可能だ。新雪にシュプールを描き、自由に滑ることほど楽しいものはないと思う。また、樹氷や雪に覆われた木々は美しいし、小動物たちの踏み跡に、過酷な冬を生き抜く彼らの逞しさを感じる。

 現実に目をやると、国内のスキー・スノボーの実情は寂しい限りだ。この秋、ある有名スキー場のホテルのオーナーが「もはや外国人が来てくれないとやっていけない」と、寂し気に語ったことが耳に残っている。
※画像はイメージです。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員