− 第535回 −  筆者 中村 達


『台風に向かって帰る・・・』

 台風5号が四国沿岸をかすめ、近畿に直撃とニュースが報じていた。その時、白馬山麓にいて、台風の進路に向かって帰宅しなければならなくなった。
 まだ、来ないだろうと高をくくっていたのだが、どうやらまともに来そうなので、急遽予定を繰り上げて8月7日の早朝に出発することにした。5時に目を覚まして、顔だけ洗って出発した。

 そこで迷った。北陸道を通るか中央道を走るかだ。信州方面にはほぼ毎月のように出かけているが、これほど帰りの道について迷ったことはなかった。
 距離的には中央道を経由する方が、北陸道より30kmほど短い。しかし台風情報を見ると、台風は南南東に大きな雨雲を伴っていて、これがかかると大雨と強風で高速道路が封鎖されるかもしれない。台風は左周りだから、東側は早く雨雲がかかると思った。
 一方、北陸道は日本海に沿って西に走るため、強風に煽られる可能性は否定できない。ただ、天気図と雲の予想図を見ると、午前中なら北陸道の方が走りやすいと考えて、意を決してそちらにハンドルをきった。

気象庁ホームページより(http://www.data.jma.go.jp/

 運よく予想は的中で福井までは青空が見えて、風も弱く快調に走ることができた。しかし、敦賀辺りで雨が降り出して、琵琶湖の北部を走る頃には暴雨風となった。激しい雨で前の車が見えず、ヘッドライトを点灯した。風に煽られてハンドルが取られた。
 米原で名神に入り少しはましになったが、強風と激しい雨は続いた。時刻は午前11時。ラジオでは今夕和歌山県北部に上陸の予想と言っていた。
 あとでわかったのだが中央道は渋滞していたらしく、北陸道を選んだのは正解だったようだ。が、この夜、豪雨で北陸道の下を流れる姉川が決壊して、大きな被害が出た。

 無事に帰宅できたが、台風が接近しそうな時には、早め早めの行動が大切だと、つくづく思った。異常気象といわれる昨今では、なおさらそうだ。
 ブラブラと遊んでいないで、情報をしっかり把握して、さっさと切り上げれば、ヒヤヒヤものを経験せずに済んだのかもしれない。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員