− 第534回 −  筆者 中村 達


『アウトドアズの参加人口』

 アウトドアズのトレンドを考えるときに参考になるのが、米国のアウトドアデーターだ。
「アウトドアレクリエーションの参加人口2017」版によると、この10年間、その人口は伸び続け、2016年には全米でおよそ1億5000万人が、何らかのアウトドアレクリエーションに参加している。
 その中で子どもたちは、どの年代でもキャンピングがトップだ。学校や家族での参加機会が多いのだろう。成人になると、ランニング・ジョギングがトップで自転車、フィッシング、ハイキング、スイミングなどが、多少の年代に違いがあっても、ほぼ同じように並んでいる。ただ、年齢が上がるにつれ、健康志向が顕著で健康のためのスイミングなどが上位に登場する。しかし、年齢が上がってもキャンピング(RVなども含む)の参加人口が多いのが注目される。
 また、2015年から2016年にかけては、自転車、ハイキング、クロスカントリースキー、登山(Ice Climbingなど)が15〜9%伸びた。背景に歩く、汗を流すなど健康志向が見えるような気がする
 さて、アウトドアアクティビティの項目別参加人口は、バックパッキングが約1000万人。これは1泊以上の山岳旅行と考えればわかりやすい。キャンピング(RV)が1600万人。
 登山が280万人。日本のデータでは登山はおよそ850万人とされていて、アウトドアズの全参加人口から考えてもバランスが悪いように見える。
 米国のデータはClimbing(Traditional/Ice/Mountaineering)と、しっかり定義されているので、正確な参加人口がわかる。日本の登山人口は、夏の富士登山や高尾山登山も、登山に分類される。例えば、厳冬期の富士山は強風、雪・氷、低温などで夏とは比較しようもないほど厳しい気象条件だ。一定のトレーニングをしたうえでも、指導者なしに登るのは難しい。だから、夏の富士登山とは全くの別物になるのだが、統計では夏も冬も一緒に登山というカテゴリーに入れられている。これでは参加人口を正しく考えられないのではと危惧する。

 さて、米国のアウトドアズでハンティングがおよそ2700万人(ハンドガン、ショットガンなど)で、いずれも参加人口は伸びている。この参加人口はアウトドアアクティビティの中で上位に入る。米国ではハンティングは伝統的なアウトドアアクティビティで、ライフスタイルの一つとして定着しているのだろう。このあたりが日本とは大きく異なる。

 毎年更新されるデータを見ると、米国ではアウトドアズが生活の中にしっかり根付いていることが分かる。日本でもアウトドアライフが単なるバーベキューレジャーだけでなく、教育、共生、環境、自然、健康、癒しなどのニーズの台頭とともに、大変注目されるようになった。しかし、確たるデータが非常に乏しいように感じている。
 アウトドア参加人口などのデータの必要性を、マーケティングの見地から、あるいは学際的な視点から、しっかり論じる時代になったと思う。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員