− 第533回 −  筆者 中村 達


『ロングトレイルの参加年齢は若い?』

 7月の中旬、愛媛大学でロングトレイルのお話をする機会があった。四国にはお遍路があるので、はたしていまさらトレイルの話をしても、と思っていた。が、広い大講義室に大学生や教職員、それに関心のある市民などおよそ200名が聴講にこられて少し驚いた。
 始まるまでは、3コマ4時間半の講義はきついなぁと思っていたが、聴講いただいたみなさんには大変真摯に聴いていただいた。質問も順番待ちが出るほど多く、ロングトレイルの関心が非常に高い印象を受けた。そして、何よりも学生はもちろんだが、参加者の年齢層が若いのが特徴だった。
 講義の感想文を読むと、トレイルや自然の中を歩きたくなったという意見が多く、中には子どもを連れて歩きたいというのもあった。

 また、先日安藤百福センターで『ロングトレイル入門講座』があった。私も少しお話させていただいた。この講座は年に3〜4回開講しているもので、常に満席で人気がある。
 2日間にわたって、講義とフィールドワークが行われている。一般にロングトレイルが知られるようになって、少しずつその意味も理解され始められてきたようだ。当初は登山や、山歩き的なイメージが独り歩きしていたが、ここにきて山旅とか、歩く旅という理解が浸透してきたと思う。

 GWに国道142号線を車で走っていると、側道をリュックを担いで歩いている人たちを数多く見かけた。考えてみれば、中山道に沿って国道が作られたのだから、中山道や旧中山道といった旧街道を、歩いて旅をしている人たちなのだ。中山道とか旧中山道などと言われると、歩いてみたくなる。
国道だと自動車とか、排気ガスなどを思い浮かべるが、旧街道であれば、なんだか旅のイメージが膨らむ。事実、車道のない山道や杣道のようなところもある。旧街道はまさにロングトレイルだし、歩く旅のわかりやすい道程なのだ。

 「歩く旅」が広まるにつれ、この講座の参加者の年齢が下がってきた。登山やトレッキング講座であれば、中高年が多いのだが「ロングトレイル」は2〜3世代、場合によっては20歳代にまで広がってきている。
 ほんの10年前までは、若者の自然離れが危惧されていたが、ここにきて若い風が吹いてきたように感じる。
 講座のあとの懇親会で「ピークハンティングではなく、山麓や自然の中を歩きたい。山旅をしたいのです」と熱心に語る女性の姿があった。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員