− 第530回 −  筆者 中村 達


『雨とレインウェア』

 いよいよ本格的な梅雨に入った。干上がった河床にも流れが戻ってきた。田植えの終わった田んぼにも水が満たされて、農家の人たちもホッと一息だろう。ただ、この先は集中豪雨やゲリラ豪雨、それに台風にも注意しなければならない季節でもある。

 山で雨に降られた思い出はそれなりに、インパクトがある。気温が下がって、体温が奪われガタガタと震えたことは数えきれない。特に高度が上がると気温は急激に下がる。そして、雨で体が濡れ冷えてくると、低体温症になる危険性もある。

 夏、アルプスの稜線を雨の中、3日間歩いた。低気圧が日本海を通過し、それに伴う寒冷前線が伸びてしばらく停滞した。3000mの稜線では暴風雨となった。
 そんなとき、最新の機能素材が使われているレインウェアでも、3日も着ていると表も裏もグシャグシャになった。それでもレインウェアの機能をなんとか果たしていたので、最新のテクノロジーは凄いと思った。まさにアウトドアウェアは科学になった。
 さらに、速乾性のアンダーウェアを着ていると、体温の低下が抑えられるようだ。ウールでもいいと思う。濡れて体を冷やさないことがポイントだろう。だから山ではレインウェアも大切だが、着ている服やアンダーウェアも重要だ。

 テレビで記者やレポーターが、雨の中、カメラに向かって語るシーンをよく見かける。最近では欧米アウトドアブランドのレインウェアを着ていることも多くなった。中には拘りがあるのか、玄人?好みのブランドを着用している記者もいたりして、すっかりビニール製の雨合羽は少なくなった。
 山のモノが確実に街に下りてきた。と、思っていたら、まだ透明のビニールカッパで、横殴りの雨の中、風に煽られながら報道するレポーターがいた。見るからに辛そうだった。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員