- 第524回 -  筆者 中村 達


『GWはオートキャンプ場が人気?』

 GWはオートキャンプという人も多いことだろう。人気に陰りが見えた時期もあったが、その後少しずつ回復して、また盛り返してきたようだ。そして、アウトドア市場では、いま、もっとも成長している分野ともいわれている。
かつて米国のアウトドア関係者に、日本ではオートキャンプが人気だと言うと「オートマチックにテントが張れるのか。さすがにハイテクの国だ!」と笑われたことがあった。オートキャンプというのは造語であり、英語ではカーキャンプだそうだ。
 1990年代のオートキャンプブームは「安・近・楽」の代表的なレジャーで、RVブームが追い打ちをかけた。フロントにグリルガードが付いたクロスカントリー車も人気があった。私もそんな車に乗っていた。ハンドルを握ると、荒野が見えるような気がした。
 しかし、向かった先は整備されたオートキャンプ場で、そこで大きなテントを張り、家財道具を並べ、バーベキューをするのが定番だった。夕刻ともなると、焼き肉の匂いがキャンプ場をたなびいた。

 その時代、バブル経済がはじけ、全国各地で開発されたリゾート地もブームに陰りが見えはじめ、それならと建設費がさほどかからないオートキャンプ場に注目が集まった。しかし、当時、オートキャンプ場はビジネス的にはいまひとつとされ、建設ブームは間もなく終息に向かった。結局はライフスタイルが、追い付いていなかったのではと思う。

 その後、アウトドアズはしばらく低迷するが、2010年頃から人々の自然指向、環境意識の高まりや健康ニーズの台頭などで、再びオートキャンプが静かなブームとなってきた。生活の中にアウトドアズがなんとなく入ってきて「自然を満喫しながら、ゆっくり時を過ごす」ということだろう。
 ようやくライフスタイルの中に、アウトドアズが取り入れられようとしているのかも知れない。結局はライフスタイルが、自然と結びつくことがポイントなのだ。ローインパクトもキーワードだ。そして、何より若い人たちが増えたのがいい。
 GWはキャンプだけでなくハイキングに出かける人も増え、キャンプ場をベースにして、近くのトレイルや山に登る人たちも多いのではと思う。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員