- 第500回 -  筆者 中村 達


『山の日 と500回』

 8月11日は、国民の祝日「山の日」である。これまで何度となく、自然体験活動の基本は山であると述べてきた。正確には山を歩いて自然を体験するのが、この国では最良の方法の一つだと考える。国土の70%が山岳丘陵地帯で、同時に森林地帯でもある。こんな地勢を持つ国は珍しい。古くから私たちは山の恩恵をうけてきた。日本人の歴史は山と非常に深く、強く結ばれてきたと思う。
 子どもたちに山の話をすると、目を輝かせて聞いてくれる。なぜなら、山は「不思議」「発見」がいっぱいあり、歩くたびに、登るごとに、風景が変化し、新たな世界が広がってくるからだ。
 自然体験活動のフィールドのひとつは、山であるはずだ。自然体験活動の指導者には、ぜひとも機会をつくって、もっと山を登って、歩いてほしい。この国は、低山から高山まで、四季を通じて豊かなフィールドに恵まれている。
 歩けば山に突き当たるというのが、この国の地形の特徴だから。ただ、国内の山々は急峻な地形が多く、平坦な部分は少ない。そんな山に登るには、指導者には例え低山であっても、ある程度のトレーニングと、安全確保や不慮の事態に対処できる基礎知識が最低限必要だ。「山の日」がいい機会になればと願う。

 「『山の日』は山の恵みに感謝するとともに、美しく豊かな自然を守り、次の世代に引き継ぐことを銘記する日です。山々が身体の健康や心の健康に、欠くことのできない国民の財産であることを再確認し、山との深いかかわりを考える日・・・。」である。(全国山の日協議会)
 山の日を契機に、自然体験活動と山の関わりを、あらためて考えてみたいと思う。

【謝辞】
 このコラムは今回で500回となった。何とか書き続けられたのも、読者のみなさんのご支援があったからこそだと思う。心よりお礼申しあげます。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター副センター長、日本ロングトレイル協会代表理事、全国山の日協議会常務理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、全日本スキー連盟教育本部アドバイザーなど。アウトドアジャーナリスト。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員